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美容師から、グレイヘアにしたい貴方へ

操作イトウです。

今回はグレイヘアについてです。

※追記 この投稿をベースに、R3.3.6、文春オンラインに寄稿させていただきました。こちらもご参照ください

自粛期間中に白髪染めに行けず、伸びきった白髪を前に「いっそ白髪染めは辞めて、グレイヘアにしようか」と考えている方もいるかと思います。

僕が美容師として強く言いたいのは、グレイヘアは「無精な私が何もしなくていい」ヘアスタイルではない、ということです。
何もしないでいると「最近、急に老け込んだ人」になって、周りから心配されます。

では「ステキな大人」のグレイヘアになるには、どうしたらいいのか。

尚、今回は女性で例えていきます。男性は白髪に対する抵抗が少なく、「大人の渋み」が演出しやすいのに対して、女性の方が見た目の変化が大きく、掴むべきポイントが多いためです。

トップの薄毛問題をどうする?

メディアで活躍されているグレイヘアのタレントや有名人たちは、なにもお顔が端正だからステキに見えているわけではありません。

川邊サチコさん

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草笛光子さん

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近藤サトさん

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ステキですね、彼女たちには共通点があります。

一つ目は、加齢による薄毛問題を感じさせず、トップのボリュームをキープしていることです。

それは彼女たちが元々毛量が多くて、歳を重ねてもフサフサなわけではありません。薄毛の問題を抱えていても、そう見せないように工夫している、ということです。

髪の毛は加齢すると、ハリコシがなくなり、毛量が少なくなります。年齢と共に一本一本細くなっていくので、芯が弱くなり、髪の体積が減ります。

すると、特にトップ(頭皮)が透けて見えるほどボリュームが失われて、悩みの種になります。なので、まとめ髪やアップスタイルにするなどして、ボリューム感を作っています。

また草笛光子さんのような後ろに流すクラシカルなスタイルは、後ろに流すブローによってボリューム感が出るので、多くの方に好まれます。


白髪のパサパサ問題をどうする?

二つ目は白髪をパサパサさせず、しっとりさせていることです。

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白髪は黒髪に比べてウェーブが強いため、パサパサしやすい特性があります。

髪の毛は真っ直ぐな方が真っ直ぐに光を反射するため、艶っぽく見えます。逆にウェーブがあると、光が乱反射するため、艶っぽく見えないのです。

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また白色より黒色のほうが光を強調しやすいため、アジアンビューティーな黒髪ストレートは、白髪では実現できません。

ウェーブは長くなるほど存在感を増すため、ロングになるほどパサパサ感が強調されます。パサパサした髪は清潔感が失われ、疲れた印象を与えやすいのです。

上記の近藤サトさんのように、ロングのグレイヘアをステキに見せるためには、艶感が必要です。

また草笛光子さんのようなショートスタイルは、ロングヘアよりも艶っぽく見えやすいので、多くの方に好まれています。

年代がひとつ上に見える

少しでも白髪が見えると、どうしても老けた印象になり易く、女性の場合、白髪染めをする比率が圧倒的に多いです。美魔女ブームなど、ファッションやメイクの進化もあり、最近は特に40代、50代を迎えても実年齢より若々しく感じる、ステキな大人が増えました。

結城アンナさん

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なので、昔よりも「見た目年齢」と「実年齢」に差が生まれています。極端にいうと、60代の方は50代に見えて、50代の方が40代に見えているので、40代でグレイヘアにすると、周りから比べてに60代の方のように見えやすいです。

たとえ自分が納得していても、相対的な見た目の年齢層が一つ上のランクに見えるのです。

東洋人は黄ばんだ白髪

グレイヘアというと、西洋人のおばあちゃんのような、ロマンスグレーの真っ白な白髪をイメージする方も多いと思います。

カルメン・デロリフィチェさん

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ですが、東洋人の場合、素のままではロマンスグレーにはなりにくいです。

あらゆる物の色は、赤(マゼンタ)、青(シアン)、黄色(イエロー)の三色の組み合わせで造られていて、髪の毛も肌の色も、赤青黄の配分でできています。

西洋人は青色が多く赤色が少ないのに対して、東洋人は赤色と黄色が多く含まれています。

白髪になった髪にもこの色素は残っていて、西洋人の白髪が青白い白なのに対して、東洋人は黄色味がかった、くすんだ白になります。

残念ながら黄色味がかった白は、品がある様に見えにくい色です。黄色味がかった白いTシャツは、経年劣化して「黄ばんだ」Tシャツに見えやすいのです。

黄色い白をより白く見せるためには、カラーリングで解決できます。紫を微量(紫に見えないくらい)白髪に乗せることで、色彩学の『補色の関係』によって、お互いが相殺して白く見せることができます。

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また、全体が白髪になりきらずに、いわゆる「ごま塩」ぐらいで定着する方も多いです。

人それぞれ白髪が集中しやすい場所があり(顔周りに白髪が多い傾向があります)、満遍なく生え変わることはありません。これについては未だ理由はわかっていませんが、科学の進歩で解明される日が来るかもしれません。


グレイヘアになるまで、どうする?

一度白髪染めした部分は、基本的には黒い色素が褪色して抜け落ちる方がありません。なのでグレイヘアになるには、黒髪の部分を切り落とすまでの時間がかかります。

エイッ!と剃毛するわけにもいかないので、多くの方は白髪染めを辞めて、根元だけ白いプリンの期間を長く過ごさなければなりません。

髪の毛は一ヶ月に1cm強、伸びています。例えばボブスタイルほどの長さで、根元から大体15〜20cmぐらい。大方生え変わるのに1年半〜2年程の期間を要します。

その間のプリンを変に見せないために、ヘアマニキュア(酸性カラー)で補っていく方法があります。

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ヘアマニキュアは表面をコーティングすることで着色するカラーで、中に浸透せず、少しずつ取れていく特性があります。なので、時間が経つと段々と染めた色が薄くなっていくので、グレイヘアへの道が緩和できます。


長いスパンで計画的に

昨今、グレイヘアはステキな大人像として定着しました。

「白髪染めはもうしない、自然のままの自分を受け入れる。」

これは『美魔女』のカウンターカルチャーだと僕は認識しています。キレイでいたいんだけど、なにも娘と街ブラしていて姉妹に見られたいわけではないし、歳相応の美しさで体現したい。

そうした自然派思考はサスティナブルにも通じるところですが、「飾らない」ことと、「横着・怠慢」は少し違います。グレイヘアにする気持ちが固まった時には、美容師さんに相談して手招きしてもらうことをお勧めします。


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ではまた。



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