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「戦場のメリークリスマス」の坂本龍一

 DVDで、「戦場のメリークリスマス」を観た。十数年ぶりである。坂本龍一さんのサントラ「戦場のメリークリスマス」は、わりと年中聴き返している。坂本さんのファンだからである。でも、映画を観ようとは思わなかった。不思議なものである。
 作曲者としての坂本龍一さんは、魅力があるが、演技者としての坂本龍一さんは、どうだろうか。ミュージシャンなのだから、芝居が下手なのは、仕方がない。だが、こういう言い方は、よくないのかもしれない。映画に出演する以上、本業じゃないからという理由で、演技が下手でも許される、ということにはならない。
 この映画の場合、坂本龍一が演じたヨノイという大尉の人物のキャラクターがぶれていることにも原因があるような気がしてならない。軍人という枠組みを超越した神がかった人物として描かれているところもあれば、ただの軍人のボスとして描かれているところもあり、統一感がない。ヨノイは、捕虜になった、デヴィッド・ボウイに惹かれているようなので、男色の気配があるが、決定的にそうだとは描かれていない。どうも、よくわからない。
 なんでもはっきり描けばいいというものではないのは、たしかだが、その曖昧なものが、魅力的な曖昧、となっていない気がする。

 日本刀を振り上げた坂本龍一がデヴィッド・ボウイの頬にキスされ、よろける。そのとき、デヴィッド・ボウイに突進して突き飛ばす日本兵が売り出し前の三上博史だという話は聞いていた。今回、そのシーンをじっくりと観た。映像をストップして、たしかめた。
 たしかに三上博史だった。容姿が現在とほとんど変わらない。

 年を取らない魔法をかけているのだろうか。


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