アンリ・グズヌー監督「マルキ」

　過去の作品も含めて、さまざまな映画がＤＶＤ化される時代だが、それでもされないものもある。そしてDVD化されても、すぐに廃盤になってしまったりもする。
　今回は、アンリ・グズヌー監督「マルキ」（１９８９）
　大昔、レンタルのビデオ（文字通り、本物のビデオＶＨＳ）で観たのだが、ＤＶＤ化されているのだろうか。見たことがない。
　マルキとはいうまでもなく、マルキ・ド・サドのことである。マペット（操り人形）映画で、もちろん、サドもマペット。バスティーユに投獄されたサドが描かれる。サドのペニスが独立した人格として現れ、サド自身と対話をするのである。面白い。
　この映画の最後で、サドは、自分のペニスとお別れする。こう書くと、ばかげた映画のようだが、その場面は、感動的ですらあった。監督の手腕である。私のおすすめの映画だが、現在、入手するには、レンタルの中古落ちがあるビデオショップで見つけるしか方法がないのではないだろうか。
　アンリ・グズヌーという監督が「マルキ」のほかに、どんな映画を撮っているのか、ネットで調べてみたが、わからなかった。奇想天外で、かつシュールな作風で、気になる。