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「身近なことでも世界は繋がっている」

今の日本では、法を守る・秩序を保つ・慣例、習慣に従う・社会常識に則るなど大半の社会人の考え方、行動規範が一定の方向で収まっているので、ある程度安心できる。しかし、皆がやるべきことを坦々と、こなしているだけでは、活力がないし、面白くない。人がその道や仕事、趣味、道楽、裏技、奥義を極め、他の追随を許さぬ業績を上げる事により、賞賛され、羨望の眼差しを受け、尊敬される。我々は、その都度、精神的な点滴を打たれ、元気になり、楽しんだり、励まされ、再び頑張る事が出来、その恩恵は測り知れない。

プロ野球好きな人に限らず、由伸と言えば、山本由伸のことだとの認識が、広がっている。岡山県出身で、中学までは、頭角を現すことなく、宮崎県の都城高校に進学していたが、スカウトは、逸材を見逃さなかった。‘16年ドラフト四位でオリックスバファローズに入団したが、苦節四年、努力が実り、コロナ禍の昨年、18勝を上げ、優勝に貢献した。ヤクルトスワローズとの日本シリーズで知名度は全国区になった。今年は、研究し尽くされ、勝ち星に恵まれていないが、重力に負けずに落差のないストレートを会得し、更なる進化を目指しているそうだ。改めてエールを送りたい。

MLBでは、大谷翔平等が大活躍し、大衆の耳目を集め、アメリカ社会等に、アジア系の民族に対する偏見を変えるなど、その好影響は止まる事がない。所属のエンジェルスのフアンは元より、他のチーム贔屓の人達をも虜にしている。通常、各チームのフアンは、どんな勝ち方でも勝つことを願っている。大谷翔平が相手チームの投手や打者として、出場した場合は、好勝負を挑み、如何にスーパースターを攻略し、勝利に繋げたかで溜飲を下げ、彼の活躍で負けることになっても、無類のパフォーマンスが、見られたのだからと納得し、余韻にも浸るのである。勝負の世界でのこの爽やかさは、いったい何処から来るのだろうか不思議な気がする。自分がフアンであった頃には、考えられなかった。西鉄ライオンズ(現、福岡ソフトバンクホークス)や大洋ホエールズ(現、横浜DeNAベイスターズ)が勝っては、喜び、負けると意気消沈したものだった。他のチームにもスターがいたが、悔しさが募り、相手チームの選手を讃える余裕はなかった。

元々、西欧社会では、永いこと、数々の変革と民主主義の洗礼を受け、成熟した社会になりつつある。スポーツの世界でも自分を必要以上に誇示したり、相手を愚弄する行為は、顰蹙を買ってしまう。特に多民族国家のアメリカでは、著しい。日本でも、そんなスポーツ文化が定着すればいいし、一般社会でも相手を理解し、リスペクトする様になれば住みやすくなる。内外ともに、国や個人であっても、一度、好悪を認識すると、ラベルを貼り付けて分類してしまう事がある。それが差別を助長したり、生きにくい世の中にしているいるような気がする。多少でも、他国や、人々の来歴に思い至り、より深く知れば、景色も違って見える。因みに私の場合、今では、何かいいところを見つけ、認識を新たにする様、努めている。人の本質は、そんなに変わらないし、意外な一面を垣間見るとホッとする。ストレスが多く、イライラしている昨今、視点を変えて、鬱積したものを少しでも軽減した方が精神衛生上、プラスになる事だろう。

専制独裁主義の国では、体制に沿った考えの基、暮らしていれば、それなりに安泰だし、抜群の業績を挙げれば、国家への貢献と見做し、全面的に支援し、国威の発揚に務める。慣れさえすれば、余計なことを考える事なく、かえって楽かもしれない。しかし、個人個人や国家との拘り方にイデオロギーや宗教が絡んだら、ややこしい関係性になるのは、否めない。我々は、自由主義を信奉する国家の国民として、国に支援されたとしても、それはそれで、個人の尊厳と自由を留保し、国に同調したり、反対の意見も自由に述べられるツールを持っている。本来志向しているものが違う国家、国民が経済、軍事ブロックで裏打ちされた国家グループに属していたら、決定的な対立を迎える可能性がある。ましてや、他国に自分と同じ民族や考え方が近い人々が住んでいるからといって、思い通りにする為に、梃入れするようでは、地域紛争の種を、体制が絡んだ世界規模に広げる事になり、看過できない。

諸々の因果関係を理解するには、俯瞰と仰視、演繹と帰納等の考え方も必常になるのだろう。体制・国家・個人が不即不離で繋がっており、由来、成り立ち、現時点を高所や現場から調べたり、その法則性を原点から説き明かし、逆に現時点から遡る等、詳細な分析もしなければ、一概に語れないのかもしれない。ロシア・ウクライナ戦争でも、元はと言えば、個人同士の確執が、住民グループを巻き込み、国家同士の争いにまで発展したのだと思う。古来、国家の成り立ちは、財力、武力のある者が、勢力拡大を図り、併合、侵略、略奪、実効支配、統治の歴史を繰り返してきた。歴史を辿れば、領土で紛争を抱えている両国のどちらにも何分かの理があるというものだ。アラブ諸国やパレスチナ対イスラエルは、国をそっくり取られたり取り返す騒ぎに加え、その地が、お互いに標榜する宗教の聖地であるなど複雑な条件が重なり、不倶戴天の敵みたいな存在になっている。最も、直近で、国を追い出されたり、併合されたり、人権を蹂躙されれば、、現状の回復を試みるのは、当然なのかもしれない。しかし、道理の根拠が乏しく、無理を通し、有事を招き、国際社会から、糾弾され、制裁を受け、結果的に、自国が最大の被害者になってしまったら元も子もない。地球規模の危機的状況を招来するよりは、当該国と国民に統治を委ね、友好関係を保った方がベターなのは、自明の理であろう。

個人的な考え方は、これ迄、自分自身の性向、家庭、隣人、仲間、社会、国家の影響を受け、形成されてきたのだが、主観にすぎない。識者の客観的に思える卓見でさえも、取り入れれば、主観になる。この世に、絶対的な真実が少ないことを踏まえつつ、卑近のことから、有事のことまで、当方の都合や理屈だけ述べずに、相手の立場や言い分にも理解を示した上で、何か提案できるのは、今となっては、日本国家以外には、考えられないのかと思う。平和ボケと言われ、1945年の敗戦以来、経済優先で、アメリカの傘の元で暮らしてきたと言えるが、数々の歴史的な体験を経て、あらゆる情報も駆使して、総合的な判断を下す事が出来る筈だと思う。日本国の最大公約数とも言うべき国民は、政府が取るべき外交政策には、ある方向性を期待していると思う。この度のことで、やはり、対立、緊張、抑止力の政治には、限界ががあり、展望が開けない事がわかった。世界は、有機的に繋がっている。北大西洋条約機構に秋波を送り、日米安保条約に頼り、韓国等東アジア諸国と経済、軍事ブロックを形成し、集団的自衛権の解釈で乗り切り、決められる政府を目指す先には、何としても無理があり、一触即発の時限爆弾を抱えているようなものだ。更に決められない政府を煽って、台頭してきた勢力もある。国民各層が、各分野で優れた業績を上げ、還元されて、誇らしい気持ちになり、頑張っているのに、国が不安を煽って、国民に二者択一を迫り、追い込んでいき、片方の陣営に組みするのは、外交努力をしてないに等しい。

国の表向きのリーダーは、政府、国家公務員、政治家などである。建前ばかりに終始せずに、どうあるべきかの本音と視点で仕事をしてほしい。 新任のフィリピンのマルコス大統領も、南西諸島の紛争を抱え、中国と経済協力をし、アメリカとの軍事協力も継続し、両天秤外交を打ち出した。ユン・ソクユル(ソギュン)韓国大統領も北朝鮮に核兵器全面廃棄を条件に、経済援助を提案している。潮目が変わるかもしれないのに、日本が手をこまねいているのは、合点がいかない。今こそ、最大のチャンスかも知れない。思い切って、最小限の自衛の為、アメリカから、武器、石油等を輸入したとしても、多国間取引もして、少なくても軍事同盟による防衛ラインに参加する事なく、戦争状態の対ロシアや北朝鮮と平和条約を結び、北方四島の帰属や拉致問題を解決し、上海、香港、台湾等の火薬庫に自ら、火中の栗を拾う事なく、尖閣、竹島の帰着を断固として主張する。日本の諸事情は、国際社会でも理解されるであろうし、功利主義とは、見做されないと思う。歴史的事実を示し、道理を説き、当方に過ちが見つかれば、訂正、修正をし、積み上げて、合意を形成する。すべて、互恵の為でもあり、世界平和の為にもなる事だ。仲間うちと、もたれ合いながら合わせ、他方、対立・緊張・幻想に過ぎない抑止力に頼る外交を続けていても世界の平和、地球の存続の道筋をつけられない。西欧型民主主義に依拠しつつ、労とコストを厭わず、未だ経済力を保ち、平和外交を期待されており、あらゆる分野にも通じている日本が、舵を切る事により、世界の流れを変える事になればいいのだが。


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