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一日一個のQ&A 1(酒販免許申請)

お酒を売るために必要な手続きは何?

お酒を売る場合には、税務署に申請をして酒類販売業免許を取る必要があります。

「販売場ごとに」取る!

この販売業免許は、販売場ごとに申請・取得することが必要とされます。

どういうことかというと、次の例を挙げて説明します。
A株式会社という本社(例えば東京)があって、その会社の営業所にX支店(例えば大阪)があるとします。
今回、このX支店でお酒を販売することになりました。本社では酒類を販売しません。
このX支店は、当然のことながら経営母体はA株式会社です。
つまり、「A株式会社X支店」ということですね。
では、この場合酒類販売業免許を申請するためには、どうすればいいでしょうか。

販売場ごとに免許が必要だと先ほど説明しましたので、この例で言えば免許が必要となるのはX支店であり、X支店を管轄する税務署*に免許の申請をしなければいけません。
「A株式会社X支店」であっても、「A株式会社本社」を管轄する税務署に申請する必要はないということです。
もちろん申請する主体は法人ですので、「A株式会社」が申請人となります。
その後、本社でもアルコールを販売することになったのであれば、本社の所在地を管轄する税務署に改めて申請をしなければいけません。

*管轄する税務署
 管轄する税務署は、所得税などの申告をする際の管轄税務署であるとは限らないので注意が必要です。酒販免許の審査を行うのは「酒類指導官」ですが、この酒類指導官は日本全国全ての税務署に設置されているわけではありません。各地域ごとに統括する税務署が定められていて、そこの酒類指導官が申請書の審査を行います。
 ですので、申請の時は自分がどこの税務署に提出しなければならないのか、確認してから提出するようにしてください。
酒税やお酒の免許についての相談窓口(国税庁のHPに飛びます)


審査があります

申請書を提出すると、まず税務署の窓口で簡単に書類の確認が行われ、そこで問題がなければ、以降、本格的な審査に入ります。

酒類販売業免許の審査は、主に4つの要件に沿って行われます。
4つの要件とは、「人的要件」「場所的要件」「経営基礎要件」「需給調整要件」です。
この要件については、私のnoteの「一般酒類小売業免許取得のプロセスをストーリー形式で解説!」ページでも解説しています。ご参照ください。

審査は、厳密に行われます。ですので、審査にかかる期間は約2ヶ月ほどです。私がこれまでに経験した中では1ヶ月程度で免許された例もありますが、これは例外に近いと思ったほうがいいと思います。
ただし、免許が必要となる時期が迫っているなど、事情があれば酒類指導官に相談してください。必ず間に合わせてくれるというわけではありませんが、最大限考慮してもらえるかもしれません。

根拠となる法律である酒税法では、”酒類の販売業免許を与えることが適当でないと認められる場合には、酒類の販売業免許を与えないことができる”  という裁量権が認められているため、形式さえ整っていれば必ず免許が下りるというものではありません

ですから申請書の作成にあたっては、十分且つ念入りな検討が求められます。特に初めて申請しようとする人は、事前に酒類指導官との調整や打ち合わせをするようにしましょう。

まとめ

お酒を売るために必要な手続きとしては、以下のように考えてください。

税務署へ相談に行く前に考えておくこと

  • 誰が申請するのかを決める

  • どこで販売するのか(販売場)を決める

  • 販売する相手先が誰なのかを決める

  • 仕入先は誰なのか

  • どのような方法でお酒を売る計画なのか

  • いつから販売をする予定なのか

  • お酒を販売する計画の中で、お金はどのように流れるのか考える

  • いくらで仕入れていくらで販売すればどのくらいの利益が見込まれるのか

  • 販管費(販売費及び一般管理費)がどの程度かかるのか

  • 事業を行うにあたっての手持ち資金(又は受けられる融資)の額はいくらなのか

など、など、など、、。

これらをトータルに検討します。

その後、管轄の酒類指導官に相談します。

相談に行くことに対する、何かしら漠然とした恐怖があるかもしれません。
何が怖いってわけではないけど、なんとなく嫌な心持ちがする。

そういう気持ちもわからないでもありませんが、税務署は何も申請を拒絶しようとしているわけではありません。
酒税の保全のためということはありますが、頭から拒絶を前提にしているわけではなく、申請者からの話を聞いた上でなんとかうまく行くようにと思ってくれている担当官が多いのも事実です。
仮に、仮にですよ?
今回どうやっても申請が通らなさそうだということになったとしても、それで免許申請が未来永劫閉ざされてしまうわけではありません。
例えば、売上や販管費の関係で見込みがなさそうとか、税金の支払いに関して納付が難しいということがあったとした場合、確かに今年(今年度)の申請は難しいかもしれません。
しかし、それは当年度に限ったことなのであって、数年経過した将来の一定時期においては拒否要件に該当しないことだってあるわけです。
数年経過して申請した場合に、過去に “売上や販管費の関係” で拒否された事実などは、原則として不利益に働くことはありません。
ただし、国税などに関する不正行為や、酒販免許申請にあたって過去に不正行為をおこなって拒否処分を受けたような場合には、数年後にも審査が通らないことも考えられます。

ですので、免許申請についてわからないことや勝手な自己判断など、自分勝手なことをせず、なんでも相談することが大切ですし、結局早道になりますので、覚えておいてください。

お酒の販売免許を取得する上でわからないこと、困ったこと、聞きたいことなどがありましたら、「クリエーターへのお問い合わせ」からお問い合わせくださいね。

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