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落ち着かない

落ち着かない
やることは決まっているのに

不安の原因は、心をゆるせる友達がいないからだろう
遠方だが、大学の同期はいる
前職の同期もいる

私を覚えてくれている人がいる
これだけでどれほど心の支えになるか

だけど不安は消えない
物理的な距離はあまりにも大きい
いくらつながれる時代になったとはいえ
話しかけづらくなっていく

話題が尽きて
同じ会話のループになる
それでも居心地の良い仲になれればいいけど
あまりにも付き合いが軽薄だった

自分が合いたいときにだけ声かけて
あとは知らんぷり
声かけられるのを待ってても、季節の節目にしか来ない

自分から誘ってみようかと思いはするが
何を話せばよいのかと、つまらないと思われたくないと
あれこれ考えて足がすくむ

こうやって殻に閉じこもり続けて
いつか本当に誰もかも自分の存在を気に留めなくなって
気が滅入って死んでいくのか

親は答えてくれる
血縁はなんとも心づよい
それゆえ依存している
外のつながりを得難い自分の性分に愕然としている

何が怖いのか
別に特別な自分を演じる必要なんかないのに
ただ少し、相手に歩み寄るだけすれば
多くを語る必要もないのに
そんな自分を受け入れてもらえないなら
それはただ相性の問題だったと
さして拒むこともしないで
今まで通りの距離感で付き合っていけばいいだけなのに

いずれ答え合わせさせられる
そのときのことを思うと不安で仕方がない

わたしは逃げただけかもしれない
自分の弱さを認めることから
可能性がない自分を受け入れるのがこわくて
ただ今の居場所に腰を据えることに
あたりまえの幸せを受け止めることに
自分が凡庸であることに
見て見ぬふりをしてきたのかも

わたしを愛してくれる人
わたしに時々連絡をくれる人
ささやかだが確かな心の支えが遠のくことの重大さに気付かず
ただ闇雲に自分の可能性を手放したくないあまりに
わがままを選んだだけなのかもしれない

趣味がどうした、お利巧になることがどうした、
傍で笑ってくれる人がいない人生に、意味なんてあるのか

わたしはことごとく衝動的で
向こう見ずで
自己分析できてなくて
人に相談もせず
独断と偏見をこじらせた価値なんの中で躓き倒している

ご機嫌に生きたい
どうせうまく立ち回れないなら鈍感なバカになって
陽気に生きていたほうが幸せだったかも

それにしても、なんの衝動だったんだろう
今更こんな気分になるなんて
連絡のつく友人はいた
そしてみんな結婚していった
もともと人付き合いの得意なほうではなかったが
みんな結婚してより一層ひとりの時間が増えた
もともと一人の時間は多かったし
もともと少ない友人との時間が減っても大したことはないと思っていた
でも違った
あまりにも効いた

異動のたびに新天地で支えになる友を見つけることが年々難しくなった
職位だけがあがり、責任が増す一方の未来が見えた
面倒見はよくなかった
自分で精いっぱいだったから
そうしていたら、だれからも相談されなくなった
この果てには、うだつの上がらない職場生活とスカスカの独身生活が
待ち受けているような気がして眩暈がした
だから逃げたかったのかもしれない
別の環境に行けば、独身であることが、私生活が充実しないことが
すべて許されるような気がしたから
仕事内容は幸い向いてなかった
それを言い訳にして、仕事を変えることにした
本当は、人間性に問題があるというのに
仕事を変えたところで、直面している課題は何一つ解決しないというのに

わたしは何がしたかったんだろう
結局は、もとの自分のところへ戻ってきてしまった
ゆがんだ自己愛、傷つきたくない、穢れたくない、優れていたい
虚像というには長く寄り添いすぎたもう一人の自分に

彼は不完全は私を認めてくれないから
傷ついてでも挑戦することを拒む、泥臭い戦い方を取らせない
はじめから勝ち目がないならやらない
でも、いつでも本気出せばできるとか思ってる

思春期のうちにへし折られるはずのヤドリギは
長い年月をかけて宿主を覆いつくそうとしている
もはや側だけ見ればもとの宿主と同じみてくれなほどに
ただし中身はからっぽ

ときには、どうしようもない振り払えない性ならば
一生添い遂げようと
このゆがんだ彼を受け入れて愛そうとさえ思った
でも、いまとても苦しい
彼はときに暴走し、わたしから大切なものを奪い去ろうとする
現に家族との時間は奪われつつある

きっといま私を苦しめている原因はこれだ
いままでは若さで何とか走りきってきたが、もう体力には頼れない
彼に絞殺される前に、宿主の私が強く根を張らねば・・・
という強がりを言わせたのも・・・お前か?




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