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そ、そ、ソクラテスか、ピーカンか

ボーイフレンドの猫、ピーナッツと断腸の別れをしてから、次に飼う猫の名は、ピーカンにしようと思っていた。

ピーナッツとの別れとなる、ボーイフレンドのアパートを出る日の数日前には、膝に上がってきて、これでもかという可愛い顔をし、さらに引っ越し当日には、本当になぜか、いつもなら、寝しなにしか私の右脇の下にいないのに、朝までいて驚き、いつもは机上に寝そべるのに、椅子の上に丸まり、私が用意した朝ごはんを夕方になっても食べ終わらなかった。

じゃーね、といって手を振ると、とんでもない真剣な目で見つめられ、ボーイフレンドそっちのけで見つめ合ってしまった。

そんなピーナッツとの関係?だったので、自分のアパートで飼う猫はピーカンにして、ピーナッツに思いを馳せる予定だった。

だが、自分プロジェクト Let a cat #beYourSoulCat の一環で眺めていた Emergency Placement Cats という、さまざまな理由により、引き取り手がなければ安楽死させられてしまう猫の一覧で、雌猫ソクラテスを見つけ、引き取った際には、長年呼ばれていた名で呼ぶことにした。

一体誰が一番傲慢なのか、もしかして自分かも、と思いながらも、9歳半と1週間のソクラテスと暮らすことにした理由は、彼女が一覧に掲載されることになった理由である。

もっとも彼女だけではない、数匹が同じ理由だった。

due to behavior

振る舞い。しかもなかなか打ち解けないという振る舞いだ。

確かに、病気がちな猫の面倒を四六時中みれるとは思えないので、医学的理由で一覧に掲載されてしまう猫は、申し訳ないが引き取れない。

だが猫が思うように打ち解けないのは、猫だから、と理解している自分には悲しいほど意外だった。

さらに、ソクラテスの里親に応募して、30分もかかる電話面接があり、仕事を早く切り上げて保護施設に車で行き、再び、この猫は打ち解けるまで時間がかかる、もしかして打ち解けないかも、という同じ説明を受け、それでも引き取る、という契約書?に署名した、にも関わらず、彼女を移動用の簡易ケージに入れようとした際、スタッフを引っ掻いたそうで、それでも引き取るか、と念をおされた。

驚いた猫が引っ掻いたことを理由に、土壇場で引き取らないことにする人間もいるのだ、と呆れた。念には念を押さざるを得ない状況なのだろう。

晴れてソクラテスは我が家に来、保護施設で言われた通り、バスルームに猫トイレと食事と水を用意し、ケージのドアを開けたまま、バスルームのドアはほぼ閉めて、ペットグッズを買いに出た。

シャイで臆病なソクラテスはバスルームを探検し、狭い場所に留まっているはずだった。

ところが、帰ってきてみるとケージにもバスルームにもいない。

引っ越したばかりで何もないアパートには隠れる場所もない。馬鹿みたいに引き出しや、戸棚のドアもすべて開けて確かめ、何も入っていない棚の最上段まで確認した。

見つからない。

自分でもアホかと突っ込みながら、オーブンや食洗機まで開けてみた。

買い物に出たとき、ドアからすり抜けたのか。情景を思い出しても、オートロックのドアを閉める際には閉め出されないように気をつけたのであり得ない。

ボーイフレンドに引き取ったばかりの猫が見つからない、とテキストし、電話で話しているときにふと窓に立てかけた大鏡の脇を見ると、窓に映ったソクラテスの白い鼻が見えた。笑った。

ケージから出て、狭いバスルームからも出て、探検の結果、安心できる場所を見つけたならよかった。

次の日にはまた探し回るとまでは思わなかったが。

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