ITで障害者を支えることが出来る
自己紹介
私は、Penという名前で仕事をしております。普段は、宮城県石巻市にある一般社団法人イトナブ石巻で、地域とIT、特に障害をお持ちの方向けにWebサービスを作ったり、プログラミングを教えたりしています。ちなみに、なぜ「Pen」と周りから呼ばれるようになったかというと、私自身も身体に障害を抱えており、特に手が重く、コインも掴めない手でキーボード入力をする際に、鉛筆にゴムを巻いた「ペン」をつかって、キーボードをたたくので「Pen」と呼ばれるようになりました。この話をしますと、時にいじめのように捉えられる方もおられるようですが、私はこのニックネームが、アイデンティティのようでとても大好きです。こうして、ゆっくりでもキーボードが打てるからこそ、いろいろなことができます。
今日は何の日
突然ですが、今日は何の日でしょうか?
ご存知の方もおられるかもしれませんが、本日は「国際障害者ディ」です。障害を抱えている者が、この日をアピールすることは押しつけのように捉えられる方もおられるかもしれません。押しつけのように感じられる方がもしおりましたら深くお詫び申し上げます。
今年は、東京でオリンピックがあり、パラリンピックもありました。自国開催と言うことで、公共放送を中心にパラリンピックも中継され、スポーツから見た障害者を多く見た年であったかもしれません。障害を抱えていてもアスリートとしてゲームに挑む姿に、多くの方も感動したことでしょう。でも、少し考えてみてください。そうした、障害者から得られる感動はスポーツだけでしか味わえないでしょうか?もちろん、そうではありません。私たちは、シビックテッカーとして、エンジニアとして障害者が直面してる問題の風穴を開けることができるかもしれません。
テクノロジーは、社会の弊害に風穴を開ける
実際に、開発をしなくてもデバイスを工夫するだけで、問題のいくらかを解決することも出来ます。例えば、スマホが普通になって今だからこそ、出来ることがたくさんあります。私は、言語にも障害を抱えていますので、子供の頃から筆談で伝えることが求められていました。しかし、コインも掴めない手で筆談すると言うことは、とても大変なことでした。しかし今はどうでしょうか?スマホがあれば、テキストを表示させることができます。しかも相手に合わせて、字の大きさも調整できます。コインも掴めない手ですので、コンビニのお会計も大変な時代がありました。周りに理解されないことは、余計な溝も生み、より社会の壁を大きく厚くさせることもありましたが、今は多くのお店でキャッシュレスが導入されています。こちら側で、デバイスさえ準備すればスムーズにお会計が出来る時代になりました。余計な溝も生まれなくなり、お店とも良い関係を築くことができるようになりました。
また、コロナ禍になり、オンラインで人と会うことが求められる時代になり、筆談で伝えることも難しくなりました。しかし、例えばOBSstudioの仮想カメラを使うことによって、オンラインミーティングに参加してる自分のウインドウに、テキストを表示することもできます。
これらに加え、障害者を考えたアプリなどもあります。その1つがUDトークです。UDトークは、人が話す音声をテキスト化するので、聴覚障害者向けと捉えられることが多いですが、使い方を工夫すれば、もっと多くの問題を解決することが出来ます。例えば私は、言語が不自由で、正確に発音することは出来ませんが、UDトークのテキスト読み上げを使うことで、伝えたいことを機械音で発音することにいよって、社内のMTGで意見を言ったり、イベントのファシリテートをすることができています。正確に伝えられる手段があるからこそ、出来ることが増え、不可能を可能にすることは、まさに感動を生みます。
自分も差し伸べる側になりたい
自分が、今の仕事始めるきっかけもこうした強い感動から始まりました。もちろん30代中盤までプログラムを書いたことがなく、そこからの挑戦は、周りから無謀と言われました。もちろん、今も周りのエンジニアよりもぜんぜん作業をすることはできませんが、ラッキーなことに、この熱い気持ちを理解してくれる経営者に出会うことが出来ました。今私は、「石巻トイレマップ」というwebマップから多目的トイレの機能が分かるWebサイトを作っています。
このプロジェクトに取り組んで数年が経ち、なかなか成果を挙げることができていませんが、今年は、既存の多目的トイレの情報をチェックボックスと、テキストボックスから検索出来る仕組みを実装することが出来ました。CodeforJapanのslackに専用のチャンネルを作ることができ、ディスカッションを重ねることによって、検索機能を実践することが出来ました。教えてくださったり、ご協力頂いた皆様に、この場をお借りし、深く感謝いたします。
これがあることによって、障害者専用の駐車場が有るか無いかを絞ることが出来ます。もちろん、ベビーベッドやオストメイトで絞れることによって、特定の人が使いたいトイレをWebマップから渡すことが出来ます。今後、どのように公開していくかは、今のところ未定ですが、いろいろな方に使っていただきご意見をいただきながら、皆様のために役に立つwebマップを作ることができればと強く願っています。
#WeThe15
ご存知の方もおられると思いますが、今年のパラリンピックを機に「#WeThe15」という世界的なキャンペーンが始まりました。世界人口の15%が何らかの障害を抱えているようです。そうした15%の方は障害によって何らかの不自由を味わっているのかもしれません。社会がすぐに、理解を持って対応を図ることは、時間が要します。変わることを訴えることも、待つことも大切ですが、テクロノジーを使って解決や、緩和が図れるのであれば、共に何かを作ったり、提案することによって、社会の壁を崩すことは出来なくても、風穴を開けることが出来ないでしょうか?もし良ければ、今日はこうした観点で、過ごしていただければ幸いです。