【書籍感想】信頼を考える リヴァイアサンから人工知能まで
興味深い本を読みました。
(ちょっと難しい本なので斜め読みですが笑)
冒頭にこんなことが書いてあります。
本当にそうだなと思いました。
どういう関係なら信頼している(されている)と言えるのかは明確ではないですし、捉え方は人それぞれですね。
話はちょっと逸れてしまいますが、言葉の定義って本当難しいです。私は事あるたびに「言葉の定義(イメージ)が一致しないのは当たり前。だから対話が必要」という話をしています。言葉のイメージが一致しているのが当たり前と思って話をしてしまうから、行き違いが起こってしまうのです。相手の話をよく耳を傾けて聴いていれば「この人はこの言葉を違うイメージで捉えているな」というのが分かるはずです。会話の中で出てくる違和感をそのままにして話を進めるのではなく、丁寧に対話を重ねることで後々のトラブルを防ぐことに繋がります。
話を戻します。
本書では「信頼」ということに対して、様々な領域と学問分野での研究成果をまとめられています。
いろいろな側面からの視点で書かれているのでとても興味深いのですが、何分その道の専門家の言葉がちょっと難しくて理解がついていけていないところもあります。自分の興味があるところだけ読んでみるというのもありかなと思います。
私は、ビジネス(チームとかステークホルダーとか)の観点でみた信頼に興味があったので、「第7章 ビジネスにおけるステークホルダー間の信頼関係─経営学での組織的信頼研究の整理とその含意」をメインに読んでみました。
その中に、興味深い図解があります。
「信頼」を端的に表した図だと思いました。「相手側の信頼性」も人によって信頼する性向は違ってくるし、生まれた信頼に対して何か想定外のこと(リスク)があれば一瞬で信頼が壊れてしまうこともありますよね。想定外のこと(リスク)も受け入れられれば、更に信頼が深まっていくというのは自分の経験を振り返ってみても確かにそうだなと思いました。
あと、単に「信頼」といっても、
対象となるその人自身に対する信頼
その人の行動(結果)に対する信頼
組織に対する信頼
製品やサービスに対する信頼
などあって、一口に「信頼」で括ってしまうのも難しいですね。
仮に「その人自身に対する信頼」であったとしても、
所属する会社や出身校といった属性によるもの
その人の言動や性格によるもの
その人の実績によるもの
他の人からの評価によるもの
など、その信頼が何から得られるかは、状況や信頼する側の考えで変わってきます。
特に明確な理由があるわけではなく、単にその人が好きだから信頼するってこともありますよね。
仮に、その人自身がそこまで信頼できる人でなくても、契約によってその人の行動(仕事)に対して信頼するということもあります。
こうやって、「信頼」というありふれた言葉でさえ、改めて色々と考えてみると頭が刺激されて面白なと思いました。
P.S. さっきたまたま、X(旧Twitter)で「好感度を保身に使っている」というのを見て、なるほどなと思いました。確かに好感度が信頼になるのかもしれないけど、好感度ってこれまた難しい言葉だなと思いました。