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2022年冬季パラリンピックが閉幕 戦時下のパラリンピック そもそもパラリンピックは戦争から生まれた


 北京冬季パラリンピックは、3月4日、中国・北京市の国家体育場(通称・鳥の巣)で開会式を行い、10日間の祭典がスタートした。


 ただ、ロシアのウクライナ侵攻の問題を受け、ロシアとベラルーシの選手団が”除外”されるという異例の事態となる。


 国際パラリンピック委員会(IPC)は2日、RPC(ロシア・パラリンピック委員会)ロシアと同盟関係のあるベラルーシの選手・役員の「中立的」な立場での参加を容認していた。しかし、他の参加チームや選手の反発を受け、翌日、両者の除外を決める。


 そのため、選手の日頃のパフォーマンスの成果だけでなく、パラリンピックの意義と平和の尊さを改めて問う大会となった。


 2008年夏にパラリンピックを開催した北京市は、史上初めて、夏と冬のパラリンピックを開催した都市となる。


 大会は、13日まで10日間の日程で、6つの競技78種目が行われる。大会に合わせ、聖火リレーも2日に始まり、3日午前、クロスカントリースキーなどの会場がある河北省張家口を通り、午後には北京市内の「オリンピック森林公園」へ。


 昨年夏の東京大会に続きコロナ渦での開催となり、聖火リレーも感染対策を理由に封鎖された地域内で行われた。


 4日夜に行われた開会式の入場行進では、参加する国や地域の名前を、オリンピックと同様、中国で使われる漢字で表記したときに1文字目の画数が少ない順にスタート。


 先頭のベルギーに続いて、2番目に日本選手団が入場した。4番目に入ったウクライナ選手団は、行進のときに車いすに乗った選手などが数人、時折、拳を突き上げるしぐさを見せた。


 国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長はスピーチの冒頭で、


 今夜は平和のメッセージから始めなければならない。


と述べ、


 今は対話と外交の時代であり戦争や憎悪の時代ではない。差別や憎しみとは無縁の紛争のない世界を目指す。世界は共に生きる場で分断すべきではない。


などと終始、強い口調で語り、最後には「ピース」と大きな声を上げて締めくくった。

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北京パラリンピックのミッション


 大会では、「雪氷上での喜びの出会い(Joyful Rendezvous upon Pure Ice and Snow)」とのビジョンを掲げ、中国における伝統、あるいは2008年夏季パラリンピックのレガシーに敬意を示すとともに、オリンピックとパラリンピックの価値、そしてビジョンを発信するという。


 大会は、4日~13日の日程開催、アルペンスキー、クロスカントリースキー、バイアスロン、スノーボードの雪上競技と、パラアイスホッケー、車いすカーリングの氷上競技の、合わせて6競技78種目からなる。


 各競技は、北京、延慶、張家口に位置する6つの会場で実施、このうち国家体育館(パラアイスホッケー)と国家水泳センター(車いすカーリング)2008年の北京五輪・パラリンピックでも使用された既存施設、いわば”レガシー”の会場だ。


 大会マスコットは「雪容融(シュエ・​ロンロン)」。包容や寛容を示す「要」や融合や親和を意味する「融」の漢字が入り、障害の有無に関係なく、すべての人が互いを受け入れ、互いに世界の文化を理解し合うという願いが込められた。

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