橋下徹氏が過去に第三者を「ヒトラー」に例える 石原慎太郎氏も橋下をヒトラーになぞらえる その裏で進む維新のメディア支配
立憲民主党の菅直人元首相が橋下徹氏について、「弁舌の巧みさではヒトラーを思い起こす」と指摘、対して橋下氏が「ヒトラーにたとえるのは国際的にはご法度」と反論した。維新代表の松井一郎大阪市長、副代表の吉村洋文大阪らも、「人権問題だ」と反論した。
1月25日の衆院予算委員会では、質疑に立った足立康史議員も、「こうして野党のひどいレッテル貼り、印象操作、デマが国益を毀損してきた」などと批判。
26日には、維新・藤田文武幹事長が立憲民主党本部を訪ねて抗議文を手渡すなどした。
抗議文は、維新の馬場伸幸共同代表の名前で、立憲民主党の泉健太代表宛てとし、そこでは橋下氏を「維新の創始者」としたうえで、
とした。
発端となったのは、菅氏の以下のようなツイートで、
というものであった。
しかしながら、橋下氏をヒトラーに重ね合わせたのは、菅氏だけではない。
渡邊恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役兼主筆も「文藝春秋」2012年4月号に寄稿した文章のなかで、「選挙はある種の白紙委任」という橋下氏の発言を取り上げて、「私が想起するのは、アドルフ・ヒトラーである」と指摘していた。
あるいは、かつて自民党総裁であった谷垣禎一氏も2012年、大阪維新の躍進を受けて、「政党政治が駄目だということで昭和10年代に日本で軍部が出てきた。ヒトラー、ムソリーニが出てきた時もそういう雰囲気だったのだろう」と維新とヒトラーとの共通性を指摘。
さらに石原慎太郎元東京都知事も、14年の政界引退会見において、「将来の総理候補」として橋下氏の名前を挙げ、「彼の演説もうまさ、迫力っていうのは若いときのヒトラーですよ」「ヒトラーの伝記を読んだけどね、彼に該当する政治家だね、橋下徹ってのは」と明言。
この石原氏が橋下氏をヒトラーに重ね合わせて称賛したことは、当時、多数のメディアで取り上げられたが、石原氏への批判は皆無であった。
そもそも、当の橋下氏自身が、過去に他者を「ヒトラー」になぞらえていた。17年2月18日のツイートで、橋下氏は京都大学の藤井聡氏に対し、
との投稿を行なっていたのである。
13年の麻生副総理(当時)の発言も有名だ。
と発言。
この発言に対し、ユダヤ人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)が抗議声明を発表したほか、ドイツの新聞ヴェルトも、「日本の副首相、ナチスの戦術を賞賛」という見出しで報じた。
さらに言えば、当時、橋下氏は、「行き過ぎたブラックジョークだったのでは」「政治家だとこういった批判は出るが、エンターテインメントの世界ならいくらでもある」などと麻生氏へ批判はすることはなかった。
あるいは、日本にはしつこく「ナチス・ドイツ」を礼賛する人物が存在する。高須クリニックの高須克弥院長だ。
高須院長といえば、「ナチスが消滅してもナチスの科学は不滅」「南京もアウシュビッツも捏造だと思う」などと度々、ナチスの肯定や、歴史修正のツイートを繰り返してきたほか、吉村大阪知事は高須院長から応援されるたびに、過去に「高須院長、ありがとうございます!」と返答するだけでなく、高須院長の顔がプリントされた枕を購入したときには、動画まで付けて「高須先生の枕をゲットした、なう」、「大阪でも販売期待、なう」と発信。
高須院長が入院したときには、カレーパンを差し入れしたり、誕生日には今治タオルをプレゼントしたりするなど、その交友関係をアピールしてきた。
それだけでない。維新の松井代表は、かつて「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」という発言を振りかざした、元フジテレビのアナウンサーであった長谷川豊氏を2017年に衆院選で擁立し、19年の参院選でも公認(のちに部落差別発言問題で公認辞退)していた。
京都でALSの患者の女性が元厚生労働省系技官ら2名の医師により殺害された事件が発覚した際には、松井氏は、
などと呼びかけ、
馬場幹事長も、自身がALS患者である「れいわ新選組」の船後靖彦参院議員がこの事件を受け、
という声明を出したことに触れ、これに対し馬場幹事長が、「議論の旗振り役になるべき方が議論を封じるようなコメントを出している。非常に残念だ」などと反応した。
松井氏にいたっては、16年に沖縄県の高江で進められていた米軍ヘリパット建設工事で大阪府警から派遣されていた機動隊員が反対派市民に対し、「触るな、土人が」と差別的な暴言を吐いたことが問題となったとき、
などと投稿。
「土人」というあからさまな差別語を投げつけたことが問題になっていたにもかかわらず、知事だった松井氏はわざわざ機動隊員を労うという差別の肯定と受け止められる言動を発す。
維新がナチス・ドイツかどうかはさておき、このような基本的人権の尊重を損なう面々が揃う政党であるのにも関わらず、一向に維新への批判が巻き起こらない背景には、徐々に進んでいる維新の”メディア支配”が背景にあるからだろう。
吉村知事、松井大阪市長、橋下徹氏が元日の毎日放送に出演
毎日放送が1月1日に放送した「東野&吉田のほっとけない人」に、吉村知事、松井大阪市長、橋下氏らが揃って出演。
このことに対し、「政治的公平性を欠くのでは」「偏向報道にあたるのでは」という指摘が相次ぎ、毎日放送は番組放送の経緯などを調査するチームを立ち上げたことを虫明洋一社長が会見で明らかにする。
スポーツニッポンの報道によると、虫明社長は、
とし、「企画段階、オンエア前のチェック段階でも問題視する意見はあった」こと、視聴者センターにも、「3人の起用に不満があるというか、問題があるのではないかという指摘もあった」と明らかにしている。
読売新聞、大阪府と包括連携協定を締結
一方、昨年12月、大阪府は読売新聞と「包括連携協定」を結ぶ。包括連携協定というのは、自治体と民間企業とが協力する官民連携の一種で、大阪府のホームページでは、
とする。
これまでも府は、もともと維新との関係が深かった吉本興業を皮切りに、最近では、セブン-イレブン・ジャパンやローソン、ファミリーマートなどのコンビニをはじめ、イオン、キリンビール、などの飲食・流通から製薬会社、運送会社、保険、銀行などと包括連携協定を結んできた。
そして新たに府は、「地域の活性化と府民サービスの向上」を目的に、読売新聞と包括連携協定を締結。昨年12月22日午後、大阪府庁で吉村知事と読売新聞大阪本社の柴田岳・代表取締役社長が締結式を行った。
基本的に、世界ではメディアは「第4の権力」として、司法・行政・立法と同様に相互監視の義務を果たす。ところが、日本では、国内最大の発行部数である読売新聞が、本来なら”監視対象”であるはずの行政と協定を結んだことは、そもそもメディアの役割を放棄したも同然だ。
このことについて、東京新聞の望月衣塑子記者は、
と投稿。
あるいは、富山市議の腐敗を描いたドキュメンタリー番組『はりぼて』(チューリップテレビ)が映画化され話題を呼んだ石川テレビの五百旗頭幸男記者も
と批判した。
事実、今回、府が発表した「情報発信に関すること」のなかには、
との記載がある。
このことは、大阪府と読売新聞との”癒着”のみならず、そもそも府が発信する情報が読売新聞の購読者にしか届けられないという、根本的な問題をはらむ。
少なくとも、維新のさまざまな問題は、ナチスどころか、「日本の北朝鮮化」をもたらすものであることは確かだ。
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