歴史
私は歴史。そう、みんながみんな学校で習うようなことや、みんなが懐かしいと思うこと、みんなが戻りたい時や、目を背けたくなるような事実、それら全てが私。それら全てを私になるようにしているのが私。性別?今は女だけれども、男の時もあるわ。
勿論とても大変な作業よ。一応私にだって善悪も美醜もあって、嗅覚をくすぐるような甘美な出来事も、目を抉り出すような惨たらしい出来事も全部私にしないといけないのだから。
歴史を全部知っているということは、私は全部を知っているということもできるし、何も知らないということもできるわ。
だって、私は未来とやらを知らないし、現実とやらを知らないわ。
私が全部知っているのは痕跡だけ。みんなが残したそれだけを全部知っているけれども、私はみんなを知らない。
あら、私に目や鼻があることに驚いている?当然ないけれども、私はそれを知っているから持っていると言ってもいいと思っているわ。
話が混んできたけれども、なぜ私がこんなものを書いているのかだけ説明させて欲しいわ。
まぁなんと言うか、満月だからよ。
不思議?そう言うものよ。歴史に満月はないけれども、満月はあるわ。
難しいかしら?まぁ貴方も歴史になればわかることよ。
貴方はわからないだろうけども、私はわかるわ。
いつか貴方に会いたいわね。
それまでに、全部知っていて頂戴。そうすると貴方が全部知らないことを教えてあげるわ。
じゃあね。また、これからというものの満月の日に。
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