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人間万事が塞翁が馬、禍福の波の乗り方

今日の言葉

二宮翁夜話より引用

61)人道興廃のきざし
翁のことばに、山も谷も寒気に閉じて、雪は降り、凍りついていようとも、柳の一芽が開きそめれば、山々の雪も、谷々の氷もみなそれまでで、ないも同然だ。また秋になって、桐の一葉が落ちそめれば、天下の青葉はやはりそれまでだ。この世界は自転してやまないから、時に会うものは育ち、時に会わぬものは枯れるのだ。午前は東向きの家は日が照るが西向きの家はかげり、午後は西に向くものは日を受けて東に向くものはかげる。この道理を知らぬ者が惑うて、自分は不運だといったり、世も末だなどと嘆くのは誤りだ。今ここに幾万両の借財があっても、何万町歩の荒地があっても、賢君があってこの道によるときは憂えるに足らない。喜ばしいことではないか。逆に、たとい何百万両の貯蓄があり、何万町歩の領地があっても、暴君があって道をふまず、これも足らぬあれも足らぬと、慢心、増長に増長を加えてゆけば、さしもの財宝も秋の葉が嵐に散乱するように、消滅してしまうのだ。恐ろしいことではないか。だから私の歌がある。「奥山は冬気に閉じて雪あれどほころびにけ り前の川柳」

【引用 二宮翁夜話(上) 福住正兄:原著 佐々井典比古:訳注】

人間万事が塞翁が馬、禍福の波の乗り方

「人間万事塞翁が馬」(にんげんばんじさいおうがうま)という諺があります。

この諺は、人生の禍福は予測できないことを表現しています。

昔、中国の老人の馬が逃げてしまったが、数か月後には駿馬を連れて帰ってきました。

しかし、老人の息子が駿馬に乗って落馬し、足を折ってしまいました。

その時、息子宛に兵役通知がきましたが、骨折していたので兵役を免れて命が助かりました。

老人はこれらの出来事の度に一喜一憂しました。

つまり、人生には良いことも悪いこともあるということです。

この諺では、良いことと悪いことが繰り返されるという点がありますが、もう1つ大切な視点があると思います。

それは、禍福ある人生の中で、どのような精神で過ごせば良いかという点です。

多くの場合、良いことがあれば喜び、悪いことを憂う。

出来事に精神が追随していく。

しかし、禍福が繰り返されることを考えると、常に次の流れに備えておくために、出来事と精神は相反させておくことが大切だと思います。

具体的には、良い出来事の後は過信や慢心をせずに慎重に過ごし、悪い出来事を良い流れに変えるように大胆に行動するような意識を持つ。

禍福が繰り返される人生だからこそ、出来事とは反対の精神面を意識しておくことで、出来事と精神を整えられ、極端に一喜一憂することなく平常心で過ごせる。

「人間万事塞翁が馬」、人生の流れは今も昔も変わらないと思います。

禍福の波を理解して、波に乗ることが人生を楽しむ秘訣なのかもしれませんね。

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