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ひたひた、<牛乳に濡れたパン>

いつも多くの実感を自分の中に残してできるだけ還元されない言葉を喋る 牛乳でひたひたに濡れたパンをそっとテーブルに置くみたいに 静かであることが評価されない そのパンを食べてくれるのなら脳みそを触ってもいいよ 人格と性格の不一致はひたひたで物憂げなかたちを整えないで、新しいテーブルに、新しいテーブルにと牛乳に濡れたパンはまずそうにうつろう影の中にこぼす わたしを育ててくれた脳みそにわたしを殺す理由を肯定してはいけないように、大好きな人に脳みそを触らせてひたひたに溶けてはいけない 脳神経に指が差し込まれるみたいな頭痛が気持ちいいから薬飲まない 治るはずだったいまを一生手に入れないテーブルはやっと見つけたわたしの一致を、ひたひたに浮かばせながら世界を遠ざけてゆく

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