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春
春だからってふわふわしたことない
一生の季節が19才の夏に溶け込んで
春の匂いがわからない
ピンク色の婦人科のピンク色の待合室に寝転んで、大事そうな女の体たちが春にふわふわと浮いているのを撃ち落とし、代わりに沈み込んだわたしはするりと体を抜けた
生きる季節の前では自由なのだと叫びたくなる
そんなことしなくてもいい
そこにあるだけでやさしいものは重たい碇となりここに落ちてゆくから
わたしは舞い上がろう
繋がりの不自由をくるしく抱きしめて
あたらしく鼻から息を吸う
19才の夏の匂いが流れる体が
だれにも撃ち落とせないくらい
生きる季節を離れていても
ふわふわよたよた生きていてほしい
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