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新規事業の実践論 麻生要一著 を読んで

なんの本か?


新規事業をどんどん立ち上げた元新規事業兼開発室長が書いた本です
どんなふうに最初のユーザーを見つけて、どう社内会議を通し、どう新規サービスを作っていくかということが書かれています

面白かった箇所

新規サービスを立ち上げようとした社員を新規事業部に100%異動させてはいけない

新規事業の中にもフェーズがあり、初期段階で社員を新規事業部に100%専属にしてしまうと、新規事業サービスの初期ユーザーが見つからないで早々に撤退という事態が起きてしまいます

新規事業専任にするのは撤退可能性を考えると、MVP期(事業仮説を検証し、事業計画として成立させる段階)あたりに設定した方が良いとありました

確かに初めのユーザーを見つけるまではどんどん事業のアイデアが変わっていくので確かになぁと思うポイントでした


新規事業は市場調査から始めてはいけない

新規事業を市場調査から始めると、ロジックは完璧だが、具体性のない案に着地します
必ず実際に顧客になりそうな人に聞くことが重要だそうです

最初のユーザー(Primary Customer)とはどんな条件を備えた顧客か?

最初の顧客って友達が使いたいと思ったらそれでいいのか?など考えていましたが、この本によると最初の顧客は以下の条件が当てはまります

1.身内や関係者ではないこと
2.営業されて「はじめてその商品を知った」状態から購入に至ること
3.正規の価格を支払って買ってくれること
4.購入しただけではなく、購入後たしかに使ってくれること
5.使った結果「支払ってよかった」と満足してくれること


確かに実際購入するシチュエーションにより近い状態でないとダメですね
サービス企画側が熱量があるあまり必要ですよね?と押し付けや誘導尋問になるケース、質問をしにいくのが身内すぎるケースなどはあり得るので気をつけなければと思います

MVPの6レベル

MVPはミニマムバイアブルプロダクトの略でミニマムで実行可能なプロダクトという意味になります。
それはデザインツールを作る前にもっと簡易的に出来るパターンもあり、初期のアイデア段階ではミニマムで用意するのが望ましいです

Level.1 「Paper」
紙でささっとコンセプトを書いて顧客に見せます(30文字くらいでok)

Level.2 「Analog」
プロダクトは作らず人力で顧客に応えてみる 

Level.3 「Combination」
LINE、Twitter、ブログなど既存の便利なサービスを組み合わせてプロダクトを再現してみる

Level.4 「Only Visual」
初めてオリジナルのビジュアルを作る デバイスなら見た目だけ

Level.5 「Prototype」
動的なプロダクト figma、AdobeXDでのプロトタイプなど

Level.6 「Minimum Viable Product」
核となる機能のみをデザインツールで作り実装

デザイナーだとついついデザインツールを触りそうになりますが、新規サービスではアイデアの正確さをいかに判断するかが重要なので目的を忘れずにいたいです

事業企画を通す社内会議で用意すべきもの

社内会議は重箱の隅を突っつかれるようなものなので、必ず用意するべきものとして以下が挙げられていました

準備1.数値ロジック
準備2.顧客の生の声
準備3.リスクシナリオと撤退ライン
準備4.関連諸法規の提示
準備5.社内キーマン・社外権威者のコメント
準備6.空気を読んだ戦略図

最後の準備6だけわかりにくいので補足すると、新規事業が既存事業とどう相乗効果を生むのか?という問いに答えられる戦略が必要だそうです

例えば、
・既存事業のアセットが使える
・新規事業が立ち上がったあと、既存事業がそのアセットを使える
・中期経営計画のコンセプトにあっている
 ex)グローバル展開、デジタルトランスフォーメーション、モノからコト消費etc…
などですね
撤退ラインを明確にしたり、法務の方にサービスとして問題ないかリスクチェックをしてもらうと良さそうです

終わりに


まとめるとどんどん顧客になりそうな人に会え!という本でした

いかに素早く必要とする顧客の声を掴めるか?アイデアを形にできるか?などを考えていくと無駄を省き、いかにそれぞれのフェーズで目的を達成する最小限のものを作っていくかが大切です

そうなると、いきなり初期チームは多い人数(2人がベスト、4人以上は厳しい)にしてはいけないし、いきなりプロダクトを作り始めてはいけないし、リリース直後にプロモーション、マーケティングをしてはいけないし、顧客の声を聞かず、プレゼン資料を作り始めてはダメです

アイデアが成立しない可能性も高いので、新規事業企画者を専任にするのも危険です

こう考えていくと新規事業にはフェーズがあるというのを知っておくのがとても重要だと感じます

また気づきとして読んでみると最初にペルソナって意外に重要じゃないのかも、、、というのもありました

ペルソナを細かく作って聞きにいくというよりは、最初はペルソナを雑に作ってよくてユーザーインタビューなどでペルソナ像を明確にしていく方が具体性が出そうです

今回は書いていなかったですが、成長フェーズの話、チーム編成の話なども触れられているのでよかったら読んでみてください

おわり


p.s.
ちゃんとした本を久しぶりに読んだので、サムネイルで中和しておきます

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