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東京→パリ 飛行機は北極圏を通って飛ぶ

Vol.069
ウクライナ問題が生じてから、欧州便の全てはロシア上空を避けて飛行しなければならなくなった。
それは2022年2月27日にお欧州議会にて、EUの全空域でロシア航空機の飛行禁止を決断したためだった。
もちろんロシアもその決議に対抗するかのように、全欧州便のロシア空域の飛行禁止をした。
このことにより、ユーラシア大陸を横断して到着する日本行きの便もその不都合を被ることとなった。

最初の処置はゴビ砂漠上空を通過

たいてい2月から3月にかけては日本に滞在することが多いのえ、この決定を知った時、まずイタリアに帰れるかが心配になった。
私のフライトはエールフランスなので、パリにまず入らなければならない。
パリへ飛ぶには、いやでもロシア空域を通るしかない。
それを避けるには、軌道航路を下げることになる。
軌道航路を下げるということは、中国を通過して、中東上空を飛び、パリへ上がっていくというもの。

一番長いと感じたフライト。
2022年9月の記録。

当初初めてこの変更フライトに乗った時は、いつもはパリ東京間が12時間位に関わらず、17時かという壮絶なフライト出会った。
ゴビ砂漠上空になると、偏西風も多くあるために、何度も乱気流に見舞われ、らしくない飛行機酔いも体験した。

こんなフライトコンディションで飛べるわけがない

長時間の過酷なフライトを経験したのは、これが本当に初めてだった。
長距離フライトに関わらず、日本への往復は私にとってさほど苦ではなかった。
しかしこのフライトで飛行機に乗って日本に帰るということが、とても億劫になったのは本音だ。

ウクライナ問題で高騰するエネルギー問題。
それにより引き起こされた航空チケットの高騰。
さらにフライトコンディションもよろしくない。
日本に帰りたいけど帰れない。
帰りたくないなどの気持ちも高まった。

改善策は北極圏を飛んで逆回りとなった

ヘロヘロになってイタリアへ帰ったのは昨年のこと。
否が応でもまたフライトを取ることに。
東京から欧州に帰るとき、フライトマップはチェックしない。
理由は当たり前の認識が頭に入っているからだ。
そうしたらアナウンスでいつもとは違う説明がチーフパーサーから入る。

「この飛行機はアラスカ上空を飛行し」と続く。

ロシア上空が飛べないから、シベリア上空ではない。
アラスカ上空??

そして、「北極圏を通ってパリへ皆様をお連れします」という。

どんなフライト経路なのだろうと調べれば、いつもの方向とは異なり、飛行機はアメリカ方面を向いている。

毎度と慣れたフライトだったが、新しい航路に心が沸いた。
目的地はパリなのだが、チョット違う場所へ旅するような。

このようななんでも陽気にポジティブに考えてしまうのは、イタリア暮らしが長くなったせいである。

2023年3月現在のフライト航路

現在のフライト航路は、パリから東京はゴビ砂漠上空を通る航路。
一方で東京からパリのフライトは北極圏を通って飛行する。
つまり飛行機の往復で地球一周を果たしているようなものだ。

2023年3月。

そしてこの北極圏上空フライトを経験して分かったことだが、飛行中にグリーンランドを通過するときは、流石にエアコンが入っていても寒い。
通常配られるブランケット1枚では足らず、3枚もCAさんにお願いした。
それでも足元が冷える感覚。

窓から見る風景は、限りなく白。
一面氷の大地。

通常の航路で飛ぶフィンランド上空とは訳違う。

おかげさまで無事にパリへ到着し、いつものラウンジで温かいお茶をいただきながら、トリノ便を待つ。

とにかく早くウクライナ問題が終結し、日常の平和を取り戻しいたいと願うばかりである。

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