自由が丘でイタリアの懐かしい味に出会う
Vol.061
イタリア料理。
これが好きになって、イタリアの食品業界へ入った。
私がイタリア料理を好きになった時代は、まだイタリアンというよりも「イタメシ」という表現のほうが合っているかもしれない。
時代とともに「イタリアン」とか「イタリア料理」と言われるようになったのは、この仕事に携わってきたなりの成果ではないかと思うこともある。
いろいろ野暮ったいが心地いいイタリア
自由が丘で会食することになり、その場所はイタリア人が経営するお店だという。
場所はバッボアンジェロ。
もう自由が丘で20年も運営される立派な老舗だ。
オーナーシェフのアンジェロには、もうすで出会ってから20年以上が経過する。
それも東京から神戸に引っ越してしまったイタリア人からの紹介だったので、彼が私を覚えていることなどはないだろうと思っていた。
久しぶりにアンジェロに会い、時代を説明し、共通の友人を説明すると、「あー!」 となり、突然合点となった。
こうやって東京でイタリア人と接することも多いので、通づることも早い。
さらにいえば、在日イタリア人が全員仲が良いわけではないし、いい人ばかりでもない。
コミュニティはコミュニティでいろいろあう。
そんな誰彼を答え合わせしながら話しているうちに、「こっち側」というのがわかってくる。
私もこのコミュニティとそれなりに付き合ってきているので、その分別は私のものさしではわかる。
そういえばFOODEXで久しぶりに麹町のエリオロカンダのエリオに会ったが、相変わらずで、お互いほんと長く知りすぎている。
他にもコッツォリーノやエルネスト、ルカ、ファビオ他、多くの在日イタリア人が顔出してくれて嬉しかったなと。
「お前はこっち側(イタリア)の人間だろ!」 と言われれば、違うよ! って言いたいけど、実際はその通りだったり。
ほんと長い付き合いだ。
イタリア人のお店でお任せ料理にするとどうなるか
メニューはおまかせにした。
アンジェロはニッコリとして、最後のお肉料理は後で決めようとなった。
こういうイタリア料理を私は好きだったのかもしれないと思う瞬間があった。
チョットチョットだけど、イタリアのエッセンスが一品ずつに入るアンティパストミスト(前菜盛り合わせ)。
しかも盛り付けの野暮ったさが良い。
フレンチにはない気取らない料理が前菜からあれこれくれば、緊張感もほぐれる。
プリモピアット4種類も出てきた!
前菜の次に提供されるプリモピアット。
イタリア料理では、セコンドピアットがメインディッシュとなるその前の料理で、基本炭水化物系だ。
イタリアでは最近、このプリモを飛ばしてアンティパストとセコンドが多い食べ方の中、ガッツリと4種類のプリモをいただくなんて、相当久しぶりだ。
イタリア料理に憧れた20代だったら喜んで食べただろう、プリモピアットのオンパレードだが、この年だと流石にきつい。
最後にピッツァも来るというから、半分半分でとオーダーしたら、アンジェロがテーブルまでやってきて、
「そんな量でいいのか?」 と。
一人一枚を食べさせる気でいたらしい。
いやいや、無理ですから。
いっぱい食べていきなさい! がイタリア人シェフの流儀かも
ということで、イタリア人シェフのお店でお任せ料理にすると、これでもか! というくらいの量が出てくることがある。
それは、お腹いっぱい食べていきなさいという心遣いなのだろう。
なんだかおもてなしに愛情を感じた夜だった。
最近、めっきりイタリア人シェフのお店へ行かなかったので、なんだか不思議とノスタルジーさもあって良かった。
なんだかイタリアンをベース似したり、フレンチだったり、フュージョンだったりと、レストランなのかワインバーなのかわからないお店が多い中、しっかりとイタリア料理を食べたという思いが残る。
イタリアンって、こうやってラフに食べられるというのがやっぱりいいと思う。
イタリアに住んではいるが、日本に行く機会が多いので、トリノでは日本食は全く食べに行かない。
なので東京に行って、イタリア人シェフのお店も同様な理由で行かなくなってた。
でもこれを機会に、懐かしい友人のイタリア人シェフのお店にもたまには顔を出そうと思った。
居心地がよかった。
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