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お金の価値のちがい

たまたま読んでた歴史小説で慶長小判の成り立ちが書いてあって、それを読んでるうちに湧いてきた考えが面白かったので書いておく。
ちなみに慶長小判ってのは、家康が作った江戸時代のお金のこと。義務教育で習った気がするけどあんまり覚えてないね。
それでは行ってみましょう。


豊臣秀吉の時代、日本には大判ってお金があった。大名が成果を上げた家来にご褒美としてあげるお金なんだけど、市場ではあんまり使われなかった。

市場で人気がなかった理由はいくつかあるけど、1番は高価すぎたから。1枚で10両(今の価値にすると100万円くらいかな)の価値があった。高価すぎるが故に、その辺で買い物をするためには両替が必要になっちゃう。いま自販機でジュースを買おうとしたときに、財布に1万円札しかないみたいな状態。で、両替するには結構な手数料がかかるから使いづらい。こんな感じの理由があって、買い物には不向きだったわけ。

で、そこに目をつけたのが徳川家康さん。もうちょっと使いやすいお金を作ろうぜってことで小判を登場させた。ここでの工夫がすごい。

まずは価値の設定。大判が10両なのに対して小判は1両ってことにした。さっきの話でもわかるように、当然流通しやすくなる。

そして金の含有率を整えた。大判は75%くらいでばらついてたのに対して、小判は85%くらいで統一させた。個体によって価値が変わらないからそもそもお金としての信用度が高い。それに伴って重さを計る必要がなくなって、取引では枚数を数えるだけでよくなったから、格段に使いやすくなった。(それまでは計量して取引してた)

ついでに…
家康は秀吉の配下だから、勝手にお金を作ったら殺されちゃう。だから自分の領土だけで使えるお金ですよってことにした。

こうして、便利で信頼できる小判ができた。
これ1枚で1両ってことになってるんだから、大名たちは手持ちの大判1枚を小判10枚に両替したくなる。両替したい人が増えてくると相対的な価値が変わってきて、大判1枚と小判8枚とかの交換になってくる。秀吉からもらった大判がしょぼくなっちゃうわけ。
そんで小判は家康の領土で使うことになるから、秀吉の家来は気づかないうちに家康にお金をあげることになる…っていう仕組み。すごい。


ここまでが本を読んで知ったこと。家康の企みはスムーズにはいかなかったんだけど、大判小判ってこんな感じで生まれてたんだね。やっぱ歴史はおもしろい…

そんでここから先が個人的な考えごと。大判小判の話から考えられる、お金や価値のあり方について書いてます。


大判1枚≠小判10枚となる事態が起こり得る。
小判10枚の方が価値があるっぽい!となって交換する人が増えるのは現代の為替に似てる。表向きの価値が同じだったとしても、みんなが欲しい国の通貨は価値が上がるし、みんなが欲しくない通貨は価値が下がるみたい。お金や物の価値ってのは、設定・原価ガン無視で、みんなが欲しいかどうかで決まる。

この辺を見てると、お金の価値は「発行している国の信用度」で決まると言ってもいいっぽいってのがわかる。大判は小判に比べて信用度が足りないから価値が小さくなるんだね。

むかしジンバブエって国がジンバブエドルってお金を作ってたんだけど、作りすぎてゴミになった。100円で1ジンバブエドルを買ったとしても、ジンバブエドルは無限に増えてくから、みんなは「時間が経てば1ジンバブエドルが1円くらいの価値になってるかもしれない」と思うようになる。せっかくレアカードと交換したジンバブエドルがノーマルカードになっちゃうわけ。こうなると通貨は破綻する。



流通しやすさが価値になることもわかる。
小判の方が買い物しやすいじゃん!ってなると、みんなは小判の方が欲しい。そうすると小判の価値が上がる。人によると思うけど、自分は現金でもらった1万円よりPayPayに送金してもらった1万円の方が嬉しい。どれくらい使いやすいかで価値が増減する。

お金に限らず、株式にもこれが言えるのが面白い。1株当たりの額が小さいほど、買える人が増えるから価値が上がりやすい。

1株=100円のところを2株=100円にして株の数を増やす…みたいな株式分割って制度があるんだけど、これをめちゃくちゃやって逮捕された人がいる。
1株当たりの値段が下がって、例えば1株10円とかになったらめちゃくちゃ流通しやすくなる。そしたらお金との差がほとんどなくなって、国が発行している通貨とほぼ変わらない扱いになる。その後は日本円と株式どっちを信じるかって話になってくるから、日本円の価値が秀吉の大判みたいに下がる恐れがある。だからそれを防がなくちゃいけなかった…のかなと思ってる。知らんけど。

日本では商品券とかの発行上限が2000万円までって決まってるらしい。それが日本円の代わりになってしまったとき、日本円の価値が揺らいでしまうから。ばら撒かれたイオンの商品券を使えば日本円より割安で買い物できるってことになったら、みんな円をイオンの商品券に変えるよね。政府はそういうのを止めなきゃいけない。


いろんな点で、今も昔もあんまり変わらんですね。こういう歴史を見てるとビットコインやらも理解できてくる気がする。
人間の経済活動は、野菜や肉の物々交換から始まって、保存分割結合のできる金属が硬貨となり、より持ち運びやすい紙幣になり、インターネットの発達で電子マネーが生まれた。もうお金は実体がなくてもいいみたい。そういうところまできた。

これからどんな形になるのかわかんないけど、そろそろ発展しきったお金はオワコンになるんじゃないかな〜と思う。個人的には愛情とか親切心とか、お金以外のものが交換されるフェーズに入ればいいなって。そしたら優しい人がだんだん豊かになっていくんだ。その方が絶対、楽しいよね。

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