好意の返報性
「返報性の法則」
心理学の基本ともいえる原理で「何かを与えられたとき、お返しをしようとする気持ちが生まれる」というアレです。スーパーマーケットの試食なんかはこれを上手く利用して、夕飯を考えながら店内を歩く主婦にソーセージを売りつけています。
さて、この「返報性の原理」は「譲歩の返報性」「自己開示の返報性」など細かく分類することができます。その中でも特に重要な「好意の返報性」について、いま一度考えてみましょう。
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「好意の返報性」とは 与えられた好意に対し、好意で返したくなる現象 です。
人はおおかた、自分を好いてくれる人を好きになるものです。私も中学生の頃、友だちから「A子お前のこと好きらしいよ」と言われ、それまで意識の外にあったはずのA子に焦がれていました。ちなみに友だちからのお告げは冗談でした。
このように、誰かが自分に対して好意を持ってくれているという意識が、そのままその人への好意につながるのです。
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そもそも、なぜ人間にはこのような性質が備わっているのでしょうか。理由は2つ考えられます。
1つは、遺伝子を残すため。生物が生殖を行う際は、男女ともにより優れたパートナーを選び、自分の遺伝子を安全に残そうとしますよね。とはいえ、集団内で優れた異性しか選ぶことができないとすれば、その人(特に男性)の遺伝子は絶たれてしまう可能性が高くなります。であれば、既に自分に好意を持ってくれている異性で妥協(と言ってはなんですが)することも必要になるわけです。
1つは、集団で生きていくため。好意の返報性は、存在を遺伝子レベルで認識されています。他人に好意を与えれば好意となって返ってくることを、人間は本能的に知っているわけです。これによって人間は、何も与えられていない状態からでも、他人に好意を与えることができます。そうした遺伝子を持つ人間の集団がより生き残ってきたことで、現代の私たちがあるのです。
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では、現代を生きる私たちは、この法則とどのように付き合っていくべきでしょうか。
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利用されないために
世の中には、私たちに好意を示し利益を得ている人たちがいます。前述のスーパーマーケットの試食販売員がわかりやすい例ですね。もちろん大半は善良なビジネスであり、何の問題もありません。しかしその中には、事前に与えた好意を盾に不当な金額を要求する人間もいます。彼らに必要以上の好意を返し、損害を被らないために、自分に備わっている性質を知っておくことが非常に大切です。
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恋愛への応用
私がA子に恋をしかけたように、恋愛においては「この人は自分のことが好きなんだ」と思わせることが非常に有効になってきます。想い人がいる人は自分の気持ちを早急に気づかせた方がいいし、なんなら伝えてしまうのがいちばん良いと思います。かつて島田紳助が告白のセリフとして「あなたを好きでいてもいいですか」を提案していましたが、ほとんど断られることなく成就へと向かえる万能の言葉だと今にして思います。
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苦手な人
好意の返報性は逆向きにも働きます。つまり「自分を嫌っている人を嫌いになる」のです。他人に苦手意識が生まれる理由として「その人から嫌われているから」が多いのもそのためです。そういったときに、一度本当に嫌われているのかを考えてみると良いと思います。案外そんなこともなかったりするし、それに気づければ苦手意識が逃げていくことも珍しくありません。
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最後に
家族や友だちに好意を持っている人は、行動なり言葉なりでそれを伝えることが大切だと思います。そうすれば互いに幸せになれるはずです。私もまた、その意識と恥ずかしさの狭間で悩みながら生きていこうと思います。
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