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福島の廃水放出:マレーシア、国民の不安が高まる中、日本からの輸入食品を監視へ

by レア・ヤスミン・アリス・ハイザン

2023年8月24日 06:30PM
更新: 2023年8月25日 12:10PM

シンガポール:福島の原子力発電所からの廃水放出が懸念される中、マレーシアは日本から輸入される危険性の高い食品全てを綿密に検査すると発表した。


マレーシアのムハンマド・ラジ・ビン・アブ・ハッサン保健局長は、水曜(8月23日)の声明で次のように述べた:「保健省は、日本から輸入されるリスクの高い食品について、放射性物質の含有量を分析するため、国の入国地でレヴェル4(サーヴェイランス)の検査を実施する。

日本は木曜日、世界最悪の原発事故から約12年を経て、福島原発からの処理された廃水の放出を開始した。

ラジ博士は以前、処理された廃水の放出は日本の安全基準に従っており、7月に国際原子力機関(IAEA)から承認を受けていると述べる一方で、彼はまた、食品の安全性の保証のために、マレーシア保健省が入国地点や地方の市場における動きを監視することで、国民を安心させるようにと努めている。

博士によると、2011年の福島の原子力発電所の爆発事故後、保健省は食品安全品質課を通じて、2011年5月から2012年4月まで日本からの輸入食品を監視し、また、2019年にも特別なモニタリング・プログラムが実施されたということである。

ラジ博士は、厚生省のデータを示し、日本からの輸入品で最も多いのは魚と水産加工品であると指摘した。次いで果物、野菜、加工食品、飲料で、トータルでは8億8,011万5,437リンギット(1億9,000万米ドル)に上るとのことである。

処理された廃水が福島から海に放出されるというニューズを受け、マレーシアの人々は食品の安全性、特に日本から輸入される魚介類に対する懸念を表明している。

ソーシャル・メディア「X」のネット民たちには、東アジアの国から輸入される全ての水産物を禁止するよう政府に求める者もいる。

「この後、寿司はもっと高くなるのだろうか?」とひとりの「X」ユーザが言う。

また、別のネット民は日本には処理された廃水を海に放流するしかないが、これは「前例のない出来事」だと指摘する。

「(このことは)正確には何が起こるかわからないということです」と彼女は言う。

また、なかには処理された廃水が放射能から安全かどうかを疑問視し、病気になることを心配しているネット民たちもいる。

「癌やその他の病気になる人がどんどん増えていく」と、あるネット民が言う。

一般市民は〝冷静に〟なるよう呼びかけるために、マレーシアのチャン・フーン・ヒン農業・食料安全保障副大臣はフェイスブックの投稿で、マレーシアは現在、日本から生きた海産魚を輸入していないことを明らかにした。

また、日本からの活魚以外の魚介類については、同省が保健省や他の政府機関と緊密に連携し、食品安全問題のレヴェルを監視していると付け加えた。


また、チャン氏は、輸入後の安全認証や放射線のチェックなどが行われていると述べている。

マレーシア大学(USM)産業技術学部環境技術学科のアクバル・ジョン上級講師はCNAに対し、放射性物質の汚染レベルが国内および国際基準内である限り、一般市民がパニックに陥る必要はないと語った。

「日本から輸入されるリスクの高い食品、特に魚介類について、マレーシアの入国審査で採用されているレヴェル4(サーヴェイランス)検査を実施することで、マレーシアの食品の安全は間違いなく確保される」と彼は述べた。

しかしながら、検査だけに頼っていては、完全な安全性を保証するには不十分かもしれないと彼は指摘している。

「最も大きなな懸念事項は、"震源"(日本のこと)と水産食品を輸入する国々との、トリチウム汚染レヴェルに関する日本とその近隣諸国双方からのデータの透明性である」とジョン博士はCNAに語った。

「政府のオンライン・ポータルを通じて、汚染レヴェルを国民に知らせるべきであり、継続的な長期のモニタリングが、国民の安全を確保することに繋がる」

また、定期的なモニタリングや検査、国民へのデータの透明化だけでなく、マレーシア政府はリスク評価を実施し、輸入食品への依存を減らすために食料源の多様化を国民に促すことも出来るはずであると博士は付け加えた。

中国は、8月24日に福島原発から排水が放出されたことを受けて、すべての日本産水産物の輸入を禁止した。

AFP通信によれば、北京の外務省は声明で、この放出は「極めて利己的で無責任な行為」であり、「(リスクを)全世界に押し付け、将来世代の人類に苦しみを転嫁するものだ」と非難した。

市民団体も日本と韓国で抗議を開始したが、韓国政府は独自の評価で放出の科学的・技術的側面に問題は無いとしている。

日本は廃水放出は安全であると主張し、IAEAはそれが人々や環境に与える影響は「無視して構わないほど小さい」であると述べた。

福島第一原発は2011年3月、マグニチュード9.0の巨大地震によって強力な津波が発生し、3基の原子炉がメルトダウンした。

廃水放出は、溶融燃料の除去を含む、気の遠くなるような長く困難な廃炉プロセスの重要なステップなのだ。

(了)

CNA - Channel News Asia

Fukushima wastewater release: Malaysia to monitor Japan food imports amid rising public concerns


Translated by ital


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