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外国人学習者を前にした教育実習 初回の失敗!

25日に、ヒューマンアカデミー社、教育実習の第2回がありました。対象は中級。5名の外国人学習者がきてくれて、その前で10分間の授業をします。初めて外国人学習者の前に立って、舞い上がっていたようです。タイマー入れるの忘れてました・・・。

学習項目は文型「~をはじめ」
① ご両親をはじめ、家族のみなさんによろしくお伝えください。
② わたしは日本に来てから先輩のリンさんをはじめ多くの方のお世話になりました。
③ 東京の永田町には国会議事堂をはじめとして、国のいろいろな機関が集まっている。
(例文は「日本語表現文型500」)

まず「導入」、失敗しました。「~をはじめ」って、けっこう「固い」言葉なので、「重め」の例文として、②を選びました。この言い方を覚えてもらえば、お世話になった方の前での「あいさつ、スピーチ」でも使えると思ったのですが・・・

外国人学習者に、「日本に来てからお世話になった方はいますか?」と尋ねます。

ヤンさん(仮名、以降名前はすべて):「・・・・」「お世話になったって???」

「え~っと、日本語を教えてくれた先生とか、一緒に生活している友達とか・・・」

ヤンさん:「ああ、田中先生。日本語の担当の先生です。」

「そうですか。他にはいますか?」(「~はじめ多くの方」にもっていきたいので先を急ぐ)

ヤンさん:「・・・・」「いますが、名前思い出せません・・・」

(この学習者から例文を引き出すのは難しいと判断して別の学習者に)
「ヨウさんは、日本に来てからお世話になった方はいますか?」

ヨウさん:「森先生。私の日本語の先生です」

「そうですか。他にはいますか?」

ヨウさん:「ランさん。友達です。〇▽■・・・(ここから際限なくお話が始まる)」
3分くらい続いたところで、一応「お世話になった方」のお名前が3名出たので、その中で一番お世話になった方はランさんだと聞きだして、例文へ。

「わたしは日本に来てからランさんをはじめ多くの方のお世話になっています」

私が読んで、ヨウさんに言ってもらって全員でコーラス。ここで「タイマー未設定」に気付き動揺するが、居直って「どうとでもなれ!」と次の例文へ。次の学習者と会話しているところで、教室の一番後ろで聞いていたT先生が「うちわを振り回して」いるのが目に入り、タイムオーバーと気付き、途中終了しました。

失敗の根源は、例文の選定にありました。

「お世話になる」をわからない学習者がいることは想定にあったのですが、「お世話になった」人を挙げていく、あるいは思い出すことが「個人的な繊細な想い」に触れるところがあり、せっかく「お世話になった人を口に出したのに」教師が「そうですか。他にはいますか」
と「学習者の気持ちをスルー」して授業を進めてしまったことや、話しているうちに「気持ちがあふれ出し」話が止まらなくなってしまう状況を、教師が作ってしまったところがありました。

そもそも「~をはじめ」が書き言葉であることからくる、「固さ」「重さ」に似合った例文でなければ、「本当らしさ・真正性」が無いからダメなのではないかという、私の「先入観」が、学習者にとって「わかりにくい」例文を選んでしまったのではないかと思います。