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芸工式アート思考

<今週の能大マガジン week 20>


芸工式アート思考


今回は、私が3年前に卒業した「芸術工学部」という学部で自然と身についたアート思考について、大学時代の経験を基に話します。

※芸工式アート思考というものはありません☺️
※あくまでOBの一意見として私の主観でお話しします
※サムネは芸工生におなじみ多次元(デザイン実験棟)でライブしたときの私です

正確な情報に関しては、詳しくは九州大学芸術工学部の公式HPをご覧ください😉


芸術工学部とは

まず、芸術工学部についての説明をWikipediaから引用します。

芸術工学部(げいじゅつこうがくぶ、Faculty of Design)[1]とは、技能や技術の総合学としての工学に、芸術という学際性を組み込み、摺り合わせていくことでの融合を目指した[2]、人文・社会科学・科学技術にまたがる学際的複合領域の学部である[3]。
なお、芸術工学はデザインの学術用語である
1. ^ a b c d e “九州大学|芸術工学研究院・芸術工学府・芸術工学部|芸術工学部・大学院について”. 2014年4月閲覧。
2. ^ “芸術工学【Art and Technology/DesignArchitecture】― Kazuo KAWASAKI”. 2014年4月閲覧。
3. ^ a b c d e f “九州大学|芸術工学研究院・芸術工学府・芸術工学部|芸術工学部・大学院について|研究院長からのメッセージ”. 2014年4月閲覧。

つまり、芸術と工学を融合した複合領域にまたがる学部であるということですね(繰り返しただけ)。
私の体感としても同じような感覚で、工学を中心としながら生理学や心理学、そして芸術(の考え方・歴史・社会学・感性)など多くの領域を学んできました。
このように多くの領域の分野を横断的に学ぶことは重要だと考えるようになりましたし、純粋にとても面白かったと振り返っています🗽

芸術を学んだことの重要性は、卒業後に感じることが多く「アート思考」「デザイン思考」において語られると考えています。
「アート思考」「デザイン思考」という言葉では学習していませんが、これらの概念を知るうちに大学で学んだことと通じる部分があることに気づきました。
今回はアート思考に関して、大学時代の経験を振り返りながらお話しします😉


アート思考

ゼロイチを生み出すための「アート思考」については、主に現代アート・デッサンなどの講義や教授の言葉から学ぶことが多くありました。

現代アート

の講義では、固定概念を覆す新たなコンセプト・表現がどんどん出てきた現代アートの歴史や評価方法に触れることで、新しいものを生み出すための思考法を学ぶことができました。
現代アートにおいてはコンセプトが重要視され、それまでになかった発想が評価されるところがあります。
現代アーティストたちは、それまでのアートの考え方やその時代の社会に対するアンチテーゼを含む作品を生み出し、固定概念を覆してきました🤯

⛲️

例えば、現代アートの父と呼ばれるマルセル・デュシャン『泉』⛲️など既存のものを使用したレディ・メイド(⇄オーダー・メイド)の作品において、それまでのアートの概念自体を覆しました。
この『泉』という作品は男性用小便器🚽に「R. Mutt(リチャード・マット)」(詳細割愛) というサインを書いただけの作品で、絵でもなければ自分で作ったものでもありません。
しかし、アートは視覚的に魅力的なものでければならない自ら創作しないといけない、というようなアートの固定概念を壊し、後に大きなインパクト💥を与えました。
「後に」と書いたようにこの作品をデュシャンの名前を伏せて出展した当時、展示会の委員会に却下され、『泉』が展示されることはありませんでした。
これに対してデュシャンはすぐに抗議文を発表し、「アートとは何か」という疑問を人々に投げかけたのです。
この一連の流れがパフォーマンスだとも考えられていて、コンセプトパフォーマンスなど無形の表現がアートになり得るという現代アートにおける重要な潮流を拡げたとも考えられています。

現代アートは分からないとよく言われますが、このように目に見えない部分を見ないと分からないものが多くあると言えます🙈

とにかく、現代アートの歴史に触れることで、固定概念を覆すことの面白さや考え方を学ぶことができました。

デッサン

の講義では、デッサンすることを通して、アーティストがどう考えどう表現しているのか、を学ぶことができました。
特に、目の前にあるものを正確に表現するためには固定概念を捨てて細部を観察する必要があるという考え方は、この講義での実践を通して感覚的に身につけることができました。
詳しい講義の内容は、こちらの記事をご覧ください🐎

教授の言葉

の中でゼロイチを生み出すための思考法に関して印象に残っている言葉を紹介します。
一言一句同じではないことはご了承ください。

✔︎ 面白いアイディアは違う領域の組み合わせから生まれる
これはよく言われることですが、特許取得の条件とともに話されていたことを覚えています。
特許取得においては、新規性・進歩性があるという判断基準があります。
新規性・進歩性があれば、以下のようなケースでも特許になり得るとのことです。
・既存技術や概念の組み合わせ
・同じものでも用途が違う

これらにより、アイディアを生み出すことに関して以下のような認識を持つようになりました💪
・アイディアはゼロから生み出す必要はない
・知識の幅を広げることはアイディアを出す上で重要
・一般的ではない方法でものを使用してもいい


参考:

新規性の判断

請求項に係る発明と、引用する先行技術(引用発明)とを対比する
相違点あり → 新規性あり
相違点なし → 新規性なし

以下のような場合、進歩性が否定される

通常の技術者が容易に発明をすることができたもの

特許庁 審査第一部 調整課 審査基準室「特許の審査基準のポイント」より


最後に

今回は、芸工型アート思考と題して芸術工学部での学びを通して身についていたアート思考について簡単にお話ししました。

振り返れば振り返るほど、大学時代の学びは面白かったなとつくづく感じます。
専攻の「音」の勉強も面白かったですが、他学科の芸工の講義を積極的に受講することで「芸術工学」の考え方が体系的に身についたのかなと考えています。
正直、学んだことを忘れている部分も多いですが、聞けば理解できるようにはなりましたし、何よりマインド的な部分を自然と身につけられたことが重要でした。
そのおかげで卒業してからも芸術に関心を持ち、学びを続けられています。

来週以降では、大学時代に学んだことを様々な視点から書いていこうかなぁ🤔と思ったりして😉

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