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New Yorkの気温が49度???

今回は気温にまつわるお話です。と思っていたけど、余談が暴走しすぎて余談が余談ではなくなり、もはや本題と化した事件が発生しているnoteです。


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NewsPicksを見ていたら、このようなタイトルの記事が出てきた。

Appleが天気予報をアプリの会社を買収したって話だ。


気になったのは

"このニュースを見て実際にこの会社のサイトなりアプリを見た人ってどれくらいいるんだろうなぁ…?"

ということである。

このnoteを書いている2020年4月2日0時44分現在で、NewsPicksのサイトにコメントを残している人が134人いるみたいだ。この中で、どの程度の人がDark Sky Weatherのサイトに飛んだんだろう…。


飛んだら"あれ?"と思うことがあるかもしれません。

(2020年4月2日1時52分現在の画像)

Broadways, New York, NYは49°で晴れ。

……?????

え、冬なのにNew Yorkは気温49度????


地図の方を見ても、

(2020年4月2日00時39分現在の画像)

どこもかしこも40度越えじゃん!


って初見の人はなるはず。

これにはちゃんとした理由があります。

答えは単純。

単位が違う!

ただそれだけです。

恐らく、日本で理科を習っていた場合、温度の単位は" °C "(セルシウス度、摂氏)で習ったはず。対して、アメリカで使われている温度の単位は" °F "(ファーレンハイト、華氏)が使われています。

違いはこんな感じ。

°C:水の凝固点を0℃、沸点を100℃とし、間を100分割

°F :水の凝固点を32°F、沸点を212°Fとし、間を180に等分

こんな感じで全然違う!


変換式はこんな感じです。

授業の一環でアメリカに2週間行ったときは、この変換公式は使いまくった。テレビで天気予報を見て、頭の中で計算して…。最後の方は結構慣れたけど、最初は大変だったなぁ、という懐かしい記憶です。

Death Vally行ったときは、温度計が(確か)115℉、つまり約46°Cを指し示していて、"こんなに暑いのか!"と驚いた記憶があります。人生史上、もっとも暑い日でした。


もっとも、この摂氏華氏はある程度知られた話なのかなぁと思ってはいるのですが、初見の方はもちろんのこと、知ってた方でも"華氏と摂氏ってそういう定義の違いがあったのかー"って思っていただけたらと思う。

ちなみに、(少なくとも自分の周りの)研究者の人たちは華氏や摂氏を使わずケルビン温度(K)を使うことがほとんどです。これは高校生のときに理科系科目(化・物・生・地)を習ったことがあれば知っているはず。華氏より知名度は高いと思います。


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最後に余談。

個人的な本当の興味は、この会社がだす気象情報は"どこのデータを元にして出しているのか?"ということだった。

探すとあっさり見つかった。


中心となるのはやはり欧米の気象機関であるMet OfficeやNOAAが関連したものであった。なので、日本は蚊帳の外なのかなぁと思って調べてみると、どうもそんなことはなさそう。

天気を全地球的(全球的に)に計算できるもの(モデル)が2つほど

GFS: The USA NOAA’s Global Forecast System

ICON: The German Meteorological Office's icosahedral nonhydrostatic


全球的な観測データを集積しているのは

Integrated Surface Database (ISD)

(他にもあったらごめんなさい)


ただし、やはり欧米のデータの方が多いように思えるので、日本の天気予報が出たとして、どれくらい当たるのかはわかないなぁ…。

って思っていたらMapsで全球のデータが見れることがわかったので見てみた。

(2020年4月2日2時17分現在の画像、物理量は気温)

Tokyoは56℉の表示。つまり約13.3°C。恐らくだけど、日本時間になっていると思われるので(Nowのボタンを押すとこの画像通りの画面になる)、AMeDASの観測データを見てみると、13.7°Cの表示。

結構、ちゃんと当たってるじゃない。

さらにすごい細かく見れることも発覚。

(先ほどの全球画像と同時刻)

もう1つくらい見てみるかと甲府盆地を出してみる。

なんで甲府盆地?と思われる方もいるかもしれない。理由としては、先ほどあげたモデルは水平解像度が十分に細かくないと予想しており、そうした場合、甲府盆地のような水平解像度が細かくないと予測出来ないエリアの気温がどんな具合か見てみたかったから、という具合だ。プラスして、先ほど東京の気温がほぼ正確であったけど、これは観測値を元にしているのか?、それとも計算した結果に基づいたものなのか?っていうのも見当をつけてみたいというのもあります(ちゃんとサイトをチェックして回れば載っているのかもしれないけど…)。

なので、甲府の気温でチェックしよう!って思ったら、なぜかしら甲府という表記はなく隣駅の竜王が示されている。…謎だ。ともかくその竜王は48℉の表示(約8.9°C)。

甲府と竜王は一駅分の距離だし、間に特別山があるわけでもないので、甲府のAMeDASと比較することにした。

甲府の2時の気温は13.6°C。

予想通りの外れ。

恐らくだけど、何かしらの補間を施して表示しているんだろうなと。

つまり、凄く大雑把に言えば、竜王(甲府)の気温を直接計算して出しているわけではなく、"例えばモデルで東京は13°Cくらいで松本で4.2°Cという結果が出ていて、竜王は計算してないけど間をとって8.9°Cくらいじゃね?"、ていう感じなんだろうな、ということである。

これ自体は悪いことではない。地図上に表示するからには何かしらの値がないと困るわけで、計算が出来ない、してない場合はそうした補間を行わないといけない。しかし大事なのは、

表示されたデータを鵜呑みにしてそれが正しいと信じて疑わないことはダメ

ってことだ。

これは自戒の念を込めて書いている部分もある。やはり、出てきたデータがちゃんと合っているかは、きちんと精査するべきこと。

これは研究職にかかわらず、世の中に出回る数字全般に言える。新聞だったりテレビで出ている数字は、どこから出された数字でどのような計算をしたものなのか?とか、統計を取ったにしても標本を取るときにある集団に偏ってないのか?とか。

しっかりと見極めることが大事。


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ふぅ。やっと最後の段落らへんで余談話感が出てきた。思ってたより力を入れて書いてしまった。

調べながら書いて、良い勉強になった。このnoteにおける説明ではまだ足りてない部分もあるだろうけど、それはこの後自分で勉強しよっと。


はい、今日はおしまい!


自己紹介note


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