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乃木坂46の楽曲を一日一曲語る。14日目『せっかちなかたつむり』

_______【この記事の構成】_______
▼今日のこばなし

本題の伏線になる時とならない時がある雑談

▼『○○』の基本データ
作編曲、歌唱メンバー、MV等の情報

▼『○○』を語る
愛と飛躍に溢れた考察

▼おわりに
総括とキメ台詞



▼今日のこばなし

「アイデアマン」

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筆者は学校という社会で、専らアイデアマンとおだてられて生きてきた。

これは半分自慢であり、半分懺悔である。


アイデアとは0→1ではなく、既存の100と100の掛け合わせである。
包み隠さず言うと、筆者は昔からこの事を感覚的に心得ていた。


一方で、「アイデアは、それ自体に意味はない」ことも気づいていた。

しかしそれに気づいていながら、
アイデアマンと一目置かれることにかまけて、アイデアを形にする努力を怠った。


そんな日々が積もり積もって、
筆者は、行動できない脳内完結野郎になってしまったのである。


このnoteは、筆者が行動できない脳内完結野郎から脱却するリハビリの第一歩である。


▼『せっかちなかたつむり』の基本データ

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▼収録 / 発売日
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3rdシングル『走れ!Bicycle』全てのタイプ / 2012年8月22日

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▼作詞 / 作曲 / 編曲
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秋元康 / 山本加津彦 / 湯浅篤

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▼歌唱メンバー
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白石麻衣、高山一実、中田花奈、西野七瀬、橋本奈々未、深川麻衣、松村沙友理

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▼センター
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松村沙友理 ((※1))

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▼MV(ミュージックビデオ)
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監督:中村太洸

リリース当初、『せっかちなかたつむり』のMVは製作されていなかったが、
2015年12月23日に発売された乃木坂46初のミュージックビデオ集、『ALL MV COLLECTION〜あの時の彼女たち〜』に合わせて行われた「MUSIC VIDEO化して欲しい既存楽曲」に関する投票で上位に入ったため、MVが作られた。

 
▼『せっかちなかたつむり』を語る

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・隠れてない名曲

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乃木ヲタからすれば、言わずと知れた名曲であろう。
あの天才カイザー設楽さんも『乃木坂工事中』でこの曲が好きと発言していた。((※2))


・以外っていうか、前からおかしいと思ってた

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筆者の敬愛する前田裕二は、秋元康をレトリックの天才と表している。

レトリックにもいくつか類型がありますが、よく目にするものとして、「今までに組み合わさったことのないような単語同士の組み合わせ」という技法があります。秋元さんはまさに、人が一瞬「えっ」と思うような、新しい言葉の掛け合わせを瞬時に生み出す達人です。

-出典:前田裕二『メモの魔力 The Magic of Memos』(幻冬舎、2018年)

「せっかち」と「かたつむり」という一見すると相反する言葉を大胆に掛け合わせ、そこから生じる違和感が我々を曲へと誘導するのである。

この考察厨ホイホイにまんまと引っ掛かった筆者は、「せっかちなかたつむり」の意味を考えてみた。


「せっかちなかたつむり」が意味するところを端的に表した歌詞の一節を抜き出そう。

頭じゃわかってても
身体はわかってない

- 出典:『せっかちなかたつむり』/ 作詞:秋元康 作曲:山本加津彦

「せっかちなかたつむり」は、主人公の内部に生じる矛盾のメタファーである。

「せっかち」  恋を進展させようとする「頭」(あるいは「心」)

「かたつむり」  ビビって動かない「身体」

にそれぞれ対応しているのである。


さらに言えばこの曲は、

1番 → 恋を進展させようとする「頭」

2番 → ビビって動かない「身体」

と分けることができる。1番は積極的な歌詞、反対に2番は消極的な歌詞が展開されているのだ。
その対比が最も分かりやすいのは、1番、2番のそれぞれサビ前の歌詞だろう。

【1番】

100回会ったって
たった一回だけでも
チャンスはきっと同じだわ

- 出典:『せっかちなかたつむり』/ 作詞:秋元康 作曲:山本加津彦

いくら先延ばししても、告白の成功確率は変わらない。なら今すぐ告ってしまおうという気概のある歌詞である。

【2番】

100回我慢して
たった一回告れば
そこそこ両思いになれる

- 出典:『せっかちなかたつむり』/ 作詞:秋元康 作曲:山本加津彦

もっと仲良くなってから告れば、まあそんなに悪い結果にはならないだろう。
だからタイミングは今じゃない、という完全に先に延ばしたいだけの後ろ向きな歌詞である。


『せっかちなかたつむり』は、主人公の内部でせめぎ合う矛盾を歌ったものである。


・スティックスタック

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画像2

(画像) https://jellyjellycafe.com/games/stickstack


さて、ここからが『せっかちなかたつむり』の最大の魅力であり最も不可思議な点である。

この曲の特徴を3つ上げてみよう。

①、1番と2番で歌詞が矛盾している。

②、この曲は終始、脳天気なバックトラックに乗せて淡々と歌われる。
加えて、AメロとBメロのメロディラインがほぼ一緒で、サビが特別盛り上がるようにも作られていない。
ゆえに、全体的に平坦な曲調に感じる。

③、歌割りが各メンバーのソロパートを軸に構成されているため、歌声に個性はあれど統一感はあまりない。

①~③をまとめるとこうなる。

『せっかちなかたつむり』

1番と2番で矛盾した歌詞
×
平坦な曲調
×
バラバラな歌声

一見すると、どう考えても支離滅裂だ。カオスと言っても過言ではない。

ところが、『せっかちなかたつむり』はそのカオスがスティックスタックのごとく奇跡的な均衡を保って成立しているのである。

スティックスタック


我々が『せっかちなかたつむり』を聞いた時に「クール」と「キュート」を同時に感じるのも、
このスティックスタックが色んな方向に揺れるからであろう。

カオスの奇跡的な均衡によって生じる説明不能な快感が、我々を虜にするのである。


・ひらがなで恋したい

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『せっかちなかたつむり』を漢字で書くと、

『性急な蝸牛』

なんか全然可愛くない。

やっぱりこの曲はひらがながしっくり来る。


 ▼おわりに

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『せっかちなかたつむり』のMVの見どころは、ななみん(橋本奈々未)の息を呑む美人さと、まいまい(深川麻衣)のデコルテである。

では、また明日。 stay tuned!


((脚注))

※1)ただし、MVのセンターは松村沙友理だが事実上センターは決まっていない、とエケペディアには表記されている。

※2)2018年2月25日O.A.の『乃木坂工事中』#144「ファンが選ぶ!乃木坂46ベストソング歌謡祭!」にて

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