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乃木坂46の楽曲を一日一曲語る。4日目『会いたかったかもしれない』

_______【この記事の構成】_______
▼今日のこばなし

本題の伏線になる時とならない時がある雑談

『○○』の基本データ
作編曲、歌唱メンバー、MV等の情報

▼『○○』を語る
愛と飛躍に溢れた考察

▼おわりに
総括とキメ台詞



▼今日のこばなし

「マクドナルド」

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ここ1年で、近所のマックが次々に店舗リニューアルしている。
そして改装後はどこも開放感や落ち着いた雰囲気と引き換えに中高生の溜まり場という顔を失っている。

長時間居座ったり、勉強をしたりしているガキどもを追い出して、クリーンで回転率のいい環境を整えたいのだろう。それは何も間違ったことじゃないので反論の余地はない。

しかし、だからなおさら、学校に行く感覚でマックに入り浸っていた時期もあった筆者の憩いの場が壊されてしまうさみしさ、奪われてしまう悔しさみたいなのがある。
初森公園が取り壊されると知ったときのななまるやコテの気持ちに似ているのかもしれない。((※1))

いや、まあホントにマクドナルドは何も悪くないし、これからも利用します。 


▼『会いたかったかもしれない』の基本データ

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▼収録 / 発売日
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1stシングル『ぐるぐるカーテン』Type-B / 2012年2月22日

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▼作詞 / 作曲 / 編曲
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秋元康 / BOUNCEBACK、補作曲:MIKOTO / 野中雄一

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▼歌唱メンバー
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生田絵梨花、生駒里奈、市來玲奈、伊藤寧々、伊藤万理華、井上小百合、衛藤美彩、川村真洋、齋藤飛鳥、斉藤優里、桜井玲香、白石麻衣、高山一実、中田花奈、西野七瀬、能條愛未、橋本奈々未、星野みなみ、松村沙友理、宮澤成良

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▼センター
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生駒里奈

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▼MV(ミュージックビデオ)
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監督:久保茂昭


▼『会いたかったかもしれない』を語る

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・『会いたかった』

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『会いたかったかもしれない』は2006年にリリースされたAKB48のメジャーデビューシングル『会いたかった』をロ長調からホ短調にマイナーロックアレンジしたもので、歌詞や振り付けは『会いたかった』と全く一緒という変わった曲である。


・判官贔屓

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この曲が『乃木坂ってどこ?』((※2))でお披露目された当時はネット上で賛否両論あったようだ。まあそりゃそうだろう。
『会いたかった』と作詞/作曲は同じなのでパクリとは言えないが、

「公式ライバルって言っときながらおもいっきりAKBのふんどしで相撲してんじゃん!」

という批判は当然出るだろう。

ただ、バカみたいに深読みすると、“秋元康”プロデュース・“AKB48”の公式ライバルなんてメディアから注目されない訳ないし、そこそこのセールスは保証されているようなものだ。
その中でどうやって「不完全さ」や「やらされている感」((※3))みたいな応援したくなるアイドルの要素を持たせていくか考えた結果、なるべくスタート位置を低く見せるという作戦に出たのではないだろうか。

「なんだよこれただのパクリじゃん。公式ライバルとか言ってるけどAKB48の足元にも及ばねえな。」と言われても、これは私たちの曲ですという態度で一生懸命歌うことで、むしろそのやらされてる感や健気さみたいなものに心惹かれて応援したいと思った人も中にはいるだろう。あくまで憶測だが。

 
・サビどこ?

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当然だが、この曲の歌詞を考える=『会いたかった』の歌詞を考える、である。

というわけで改めて『会いたかった』を聴いてみたところ、この曲はなかなか不思議な構造である事に気づいた。

あまりに人口に膾炙しているせいで見落としがちだが、『会いたかった』のサビはどこからどこまでなのだろうか。

出血大サービスの引用祭りで紐解いていこう。

会いたかった 会いたかった
会いたかった Yes!
会いたかった 会いたかった
会いたかった Yes!
君に...

 -出典:『会いたかった』/作詞:秋元 康 作曲:BOUNCEBACK

 出だしの歌詞である。サビのフレーズを最初にもってくるのはよくあることで、今後の展開から考えてもこれがサビなのは間違いない。

 

自転車全力でペダル
漕ぎながら坂を登る
風に膨らんでるシャツも
今はもどかしい

-出典:『会いたかった』/作詞:秋元 康 作曲:BOUNCEBACK

 この部分がAメロ。状況や風景をイメージさせるパートになっている。二番のAメロも同じ役割を担っている。

 

やっと気づいた 本当の気持ち
正直にゆくんだ
たったひとつこの道を
走れ!

-出典:『会いたかった』/作詞:秋元 康 作曲:BOUNCEBACK

 この部分がBメロ。ひとことで言うと主人公の意識改革を表現しているパートだろう。二番のBメロも同様で、「よし、行こう!」と前向きな感情でペダルをグッと強く踏み込む主人公が目に浮かぶ。

 

好きならば 好きだと言おう
誤魔化さず 素直になろう
好きならば 好きだと言おう
胸の内 さらけ出そうよ

-出典:『会いたかった』/作詞:秋元 康 作曲:BOUNCEBACK

 さて問題だ。この部分はCメロなのかサビなのか?

Bメロの終わりからこの部分にかけての盛り上がり方を見ると、サビのような気がする。

この後に出だしと同じ『会いたかった 会いたかった ...』のパートへと続くのだが、歌詞のつながりがどうも薄い感じがして、これらを同じサビと呼んでいいのだろうかという気もする。

この問題を解く手がかりはこれと同じパートの二番の歌詞にあった。

誰よりも 大切だから
振られても 後悔しない
誰よりも 大切だから
この気持ち伝えたかった

-出典:『会いたかった』/作詞:秋元 康 作曲:BOUNCEBACK

 ここで筆者は、この曲は2パターンの解釈ができることに気づいた。


①告白しようと決心した主人公が、自転車でその人のところへ向かっている。
そして、ようやく意中のその人に会えたとき「会いたかった」という気持ちがあふれ出た。

「振られても 後悔しない」「好きならば 好きだと言おう」と決心した主人公。
勢いそのままに自転車を走らせ、彼に会えた瞬間の素直な気持ちが「会いたかった 君に」
さて、告白の結果はどうなるのか。。。

このように考えると、
『好きならば 好きだと言おう ...』までが彼に会うまでのプロセス
『会いたかった 会いたかった ...』が彼と会った現在の主人公
と言える。

つまり、この2つのパートは場所・時間ともに異なっているのである。

なのでこの場合、問題のパートはCメロと考えるほうがしっくりくる。


②主人公は好きな人に告白したが、フラれてしまった。
だが正直に自分の気持ちを伝えたことに後悔はないので、もしあなたが自分の気持ちを伝えることにためらっているのなら、素直に好きと言ったほうがいい。

「誰よりも 大切だから」、「振られ」たけど「後悔」はない。むしろ「この気持ち」を「伝え」られてよかった。
「会いたかった 君に」会えた、それだけで幸せだ。

これは、すでに告白は終わっているという解釈である。

つまり、問題のパートの歌詞と、『会いたかった 会いたかった ...』のパートの歌詞はどちらも過去の同じ出来事(好きな人に会って告白したがフラれたこと)を振り返って思いを語っていることになる。

なのでこの場合、2つのパートには「過去の同じ経験に関することをいま語っている」という時間的・意義的に一致する部分があるため、両者をひっくるめてサビと言える。


シンプルなようでいて、なかなか奥の深い歌詞である。


・余談タイムス

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余談だが、『会いたかったかもしれない』より『会いたかった』のほうが音程の上下がはげしいため、個人的には後者のほうが歌いづらい。
もともとの音痴と相まってあまりにも音程がとれなかったので、『1本指ピアノ【会いたかった】AKB48 簡単ドレミ楽譜 初心者向け』を見ながら練習した。


▼おわりに

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『会いたかったかもしれない』を歌っているのに『会いたかった』の音程が邪魔してくることを「会いたかったかもしれない」と言う。

『会いたかった』を歌っているのに『会いたかったかもしれない』の音程が邪魔してくることを「会いたかったかもしれないかもしれない」と言う。

あの人はひょっとして『会いたかった』を歌おうとしているけど『会いたかったかもしれない』の音程に邪魔されているのかな?というときは「会いたかったかもしれないかもしれないかもしれない」と言う。

では、また明日。stay tuned!


((脚注))

※1)初森公園は、2015年にテレビ東京系「ドラマ24」枠で放送された乃木坂46主演のドラマ『初森ベマーズ』内に登場する公園。町の再開発によって初森公園は取り壊されようとしていたが、主人公のななまる(演:西野七瀬)やコテ(演:高山一実)は再開発に抗議し、都市開発の会長の娘であるキレイ(演:白石麻衣)から、もしソフトボール大会で、ななまるの所属する「初森第二女子商業高等学校」がキレイの所属する「セント田園調布ポラリス学園」に勝つことができたら、再開発を白紙に戻すと提案されるところから物語が始まる。

※2)『会いたかったかもしれない』のスタジオライブは #15「メンバーを個人面談!あの曲を初披露!」内で披露。

※3)筆者は初期の『乃木坂ってどこ?』の「右も左も分からない少女たちが“おとな”に無理矢理やらされている感」にとても惹かれるものがあった。過酷な状況下で急に光を放ち始める子がいて、次に光る子が誰なのか予測不能な感じが面白かった。しかし、この「やらされている感」が必ずしもアイドルに必要とは限らないし、どのようなアイドルが人の心を掴み、応援されるのかというのは常に更新されていくもののようにも思われる。

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