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制作日記No.112〈ダイアローグ③〉

2021年8月4日(水)

お疲れ様です。いたがきブログです。

乃木坂46メンバーの卒業後をテーマに、僕の妄想を短篇小説集にしようと企んでいます。
タイトルは短篇小説集『振り向けば青春 ~あの後の彼女たち~』です!

(略して #短篇小説集ふりはる


ようやくその第一作目となる松村沙友理篇が完成しました! 無料で公開しています。

本日もロバート・マッキーさんの『ダイアローグ』を読んでお勉強したことを受け売りでご紹介します。

テーマは、一人称・二人称・三人称です。

小説には一人称視点や三人称視点といった、誰の目線で書かれた文章なのかによって違いが出てくるのはみなさんおわかりかと思います。

では具体的にそれぞれにどんな特徴があるのでしょうか。教えてマッキーくん!

(#ウラでは学校の先生のことをあだ名で呼ぶタイプの陰キャ)

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▼一人称視点
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・読者に対して思いつくままにできごとを語っていく

・できごとの説明をすることもあれば、自分と他の人物が直接対話しているシーンで劇のように語りをはさむこともある

・胸の中で自分自身に語りかけることもできる。その場合、読者は語り手に寄り添って、内なる会話を盗み聞くかのように感じる

一人称視点の小説にはこのような特徴があります。

さて、

短篇小説集『ふりはる』松村沙友理篇は一人称視点だったのですが、ノーマルな一人称視点ではありませんでした。

これは先日読んだ『小説を書きたい人の本』に書いてあったのですが、小説は一般的に「一人称」と「三人称」に分かれ、さらに「三人称」の中には「一視点」と「多視点」があるそうです。

「多視点」とは一つの作品の中で視点になる人物が複数いる場合です。例えば誘拐犯の逃亡劇を三人称視点で警察側と犯人側から交互に描いた小説は「三人称多視点」です。

「一人称一視点」、「三人称一視点」、「三人称多視点」の3つが一般的だそうです。

ところが、松村沙友理篇は「一人称多視点」になってしまいました。全然知らないで書いちゃったけど、どうやら少しトリッキーなことをしてしまったみたいです。

(#どおりで書くのに手こずったわけだ)

ただしここで弁解しておきたいのは、セオリーを無視したトリッキーなことをして目立ちたかったわけではなく、作品に真摯に向き合った結果このような形になってしまったのです。

どうしても「一人称」じゃなきゃいけなかったし、どうしても「ふたりの登場人物によるそれぞれの視点」じゃなきゃいけなかったんです。

その理由は「一人称」の欠点にあります。マッキーくん、説明よろしく。

一人称の語り手はストーリーに深く関わる登場人物だから、周囲の日常を観察するものとしては不十分であり、できごとの全体像もしばしば理解できずにいる。

この「不十分さ」とか「全体像を理解できずにいる」といったものこそ、僕が松村沙友理篇に求めていたものなんです。それぞれの登場人物から見た世界の断片を重ね合わせてひとつの物語にしたいと思ったんです。

「一人称多視点」を選んだのは正しかったと思います。ただ、いまの僕の力ではハンドリングしきれなかったのも事実です。やっぱり難しいからあまり使われないんですね。


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▼三人称視点
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・語り手をつとめる知的存在が読者を導いて、ストーリーを案内していく

・この語り手は全登場人物の思考や感情を知り尽くしていることが多く、作中に顔を出さないにも関わらず、物語世界と社会に関する強い倫理観やその他の意見を持っていることもある

・登場人物とは一定の距離を保つのがふつう

三人称視点にはこのような特徴があります。


僕が小説を読むようになったのは「小説を書きたい」と思うようになってからなので、昔から本を読んできた人なら感覚的に進めるところでしばしば引っかかっちゃうことがあります。

そのひとつが、「作者」でも「登場人物」でもない「声だけの存在」に対する違和感ってないの?、という疑問です。

作中に顔を出さない知的存在による三人称視点の物語って、そんなにすんなり受け入れられるものなのでしょうか。少なくとも、現実世界では馴染みがないですよね。

しかし、マッキーくんはこう言うのです。

観客が舞台上や画面外のナレーターにみずからを委ねるのと同じように、読者が話の進行の約束事として、非登場人物によるダイアローグなしの語りを受け入れることを作家は知っている。

マッキーくんがそういうなら信じます。もうそこに引っかかるのはやめます。

(#車輪の再発明を回避)

さてさて、短篇小説集『ふりはる』第二作目の西野七瀬篇は、いまのところ三人称一視点になりそうです。

西野七瀬篇も含め4つの小説をいま書こうとしているので、一人称や三人称の色んなパターンを試してみたいと思います。

そうそう、あと忘れちゃいけないのが「二人称」でした。といっても、「二人称」は他の2つに比べるとかなりレアで独特なものです。

主観カメラを思わせるような映画的な空気の中でストーリーの流れが進んでいくようなイメージらしいです。

いつ使えるかわからないけど、いちおうそういうのもあるということだけ覚えておきます。

続きはまた明日。


【出典】著者ロバート・マッキー『ダイアローグ 小説・演劇・映画・テレビドラマで効果的な会話を生みだす方法』(フィルムアート社、2017年、一部改変あり)

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綾鷹カフェの抹茶ラテを飲みました。美味しかったです。


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では、また後ほどお会いしましょう。


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