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愛すべきインチキ!板橋競馬場(現地レポート編)

こんばんは。板橋競馬倶楽部です。

先日アップした板橋競馬場の記事はご覧いただけたでしょうか。ありがたいことに、この記事には想像をはるかに上回る反響があり、倶楽部note史上過去最多となる1500ビューを達成しました。

さて、記事の続きです。ウィキペディアによると、板橋競馬場の痕跡は現在は残っていないそうですが、果たして本当なのでしょうか? この目で見るまでは信じられない!

というわけで、さっそく現地レポートに行ってきました。

出発する前に、板橋競馬場があった位置を確認しましょう。

無題のプレゼンテーション

東武東上線「大山」駅より北に約300メートル。現在、豊島病院があるあたりに競馬場があったようです。現代の地図と照らし合わせたところ、ざっくり緑で囲んだ部分がコース、オレンジの部分が観客席だったことがわかりました。

大山駅

やってきました大山駅。大山には、東京を代表する2つの商店街「ハッピーロード大山」と「遊座大山商店街」があります。華やかさこそありませんが、都心が近い割に物価や住宅価格が低いため、とても暮らしやすい街なのです。

商店街

駅北口を出るとすぐに商店街。ここから線路沿いの細い道に入ります。

東上線沿い

アイフル

板橋を代表する金融機関です。


この道を抜けると、巨大な建造物「健康長寿医療センター」が姿を現します。この施設は、病人や孤児などの困窮者を保護するために、明治初期に設立された「養育院」を源流としているそうです。養育院の運営には、かの渋沢栄一も関与していたとのこと。

交番

今は養育院という名前はなくなりましたが、近くにある交番の名称は「養育院前交番」とかつての名残をとどめています。さらに線路沿いを進みましょう。

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ちょうどこのあたりが、向正面からコースの西側へ向かうカーブだったと思われます(コースは東武東上線によって分断されています)。やがて見えてくる「東京都立板橋看護専門学校」の建物を右折すると向正面です。

向正面入口

向正面

これが向正面の直線です。長いストレートは、確かに競馬場のようにも思えますが、普通に生活していればまず何とも思わないでしょう。この道をコースの東側方向へ歩いていきます。……と、あることに気づきました。

高低差 (2)

写真ではわかりづらいのですが、進行方向左手(北側)の土地がいやに低いんです。

高低差 (4)

高低差

下から見上げるとこんな感じ。約400メートルにおよぶ直線の左手がずっとこうなんですよね。板橋は凸凹の多い土地ですが、そんな板橋でもあまり見ることのない不思議な風景。高低差好きの心がうずきます。

この不自然な高低差はなんなのでしょう。崖線かとも思ったのですが、川はもっと北にあるしなあ……などと考えていたら、いつのまにかコース東側にたどり着いていました。

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公園では高齢者の皆様がゲートボールに興じていました。

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コースの東側エリアにくると競馬場の面影はまったくありません。ごくありふれた板橋の街並みが延々と続くだけです。

中華屋

板橋を代表する三つ星レストランです。

銭湯

板橋が誇るリゾート&スパです。残念ながら開店前でした。


あたりを散策していたら図書館を発見しました。渡りに船とはこのこと、競馬場に関係する資料がないか探すことにします。

図書館

一目散に郷土資料関係の書架へと向かうと……。

板橋と馬

どストライクな資料を発見! 板橋と馬は、史学的に見ても切っても切れない関係だったようです。ここにはきっと板橋競馬場に関することが書いてあるに違いない……と思ったら、やはりありました! 以下に抜粋します。

板橋競馬場は12月に竣工し、東京近辺では川崎・池上・目黒に次ぐ4番目の競馬場であったこともあり、他の競馬場とは異なった造り方をしています。例えば、田んぼを埋め立てて使用していないこと、随意で作られた傾斜など様々な期待が込められて建設がされました。

注目していただきたいのは太字の部分。もしかしたら、さっき歩いてきた不自然な高低差は「随意に作られた」ものではないでしょうか? 

冒頭に掲げた地図をご覧いただくと、コースの北側には観覧席があります。観覧席からよく見えるように向正面を高くしたと考えると合点がいきます。

板橋区のホームページにもこのことを裏付けるような記述を見つけました。

競馬場の特徴は、石神井川に近い段丘地形を削って造成したため、トラックの中で高低差が8.5mもの傾斜があることでした。

現在の東京競馬場の坂が2m程度であることを考えると、8.5mという数字がいかにいかれたコースなのかがわかろうというものです。ともあれ、さっき歩いてきた向正面の謎が解けてよかった。これぞ街歩きの楽しさです。

ちなみに、図書館にあった「板橋と馬」には、板橋競馬場の投票券も掲載されていました。インチキ競馬場のくせに格好いい。今は馬の博物館に展示されているそうです。

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思いがけずアカデミックな展開になってしまいました。地球防衛に妄執するカストリnoteとしてあるまじき展開です。先を急ぎ、今度は観客席の方に足を向けてみましょう。

と言っても、さっきまでの風景と何も変わりません。

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インディーズのスターバックスカフェです。

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競馬場の北を流れる石神井川。今では護岸整備されていますが、明治時代は大きく蛇行していました。大雨の日は競馬場一帯が冠水したのではないでしょうか。


観客席があったあたりに蕎麦屋を見つけたのでお昼を食べることにします。

蕎麦屋

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名物のせいろそばです。


この後、東武東上線の線路を渡ってコースの西側も散策してみましたが、大部分が「クローバーのさと」という高齢者施設の敷地だったため、立ち入ることはできませんでした。

クローバーのさと


これにてレポート終了! なのですが、跡地とは言え、せっかく競馬場に来たのですから、ひと勝負しないのは野暮と言うもの。それが忘れ去られた競馬場に対するはなむけになるのではないでしょうか。

そうと決まればさっそく競馬新聞を買ってパドックを探しましょう。

公園2

いい感じのパドックを見つけました。グーグルマップで探したのですが、想像していたよりもはるかにパドックだったので、もしかしたら本当のパドックかもしれないと思ってしまいました。パドックってなんですか。

発送間近のレースを探します。どうやら東京6レースの2歳新馬戦(10/31開催)がもっとも近そうです。

公園

誰もいないパドックで競馬新聞とにらめっこ。パドックの周囲は閑静な住宅街で、そっと窓を開けてこちらを観察するような視線をあちこちで感じます。静かにしてくれ! 馬が興奮するじゃないか!

悩んだ末に1番人気のアメリカンエールに決めました。◎がいっぱいついてるから間違いない! アメリカンエールの単勝、それから5番人気との馬単で勝負だ。君に決めた! いっけえー!

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さあ、結果は…。


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インチキ! インチキ! インチキ!

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