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学生の時にこそ行っておきたかった考古学博物館

考古学博物館へのお誘い

10年以上前のこと、イタリア南部シチリアの州都パレルモを旅したとき、時間を潰すために考古学博物館に立ち寄りました。そこで私は日本の幻を見つけて一瞬で考古学の虜になりました。

埃っぽい館内にたたずんでいた地味な石像は、衣の雰囲気が仏像そのもの。そういえば、ギリシャの彫刻様式がインド北西部ガンダーラに伝わり、そこで作られた仏像が日本に渡ったと教わった記憶が。

その時、目の前の地味な石像は、教科書ではわからなかった世界をグンと色鮮やかにつなげてくれました。

考古学博物館は世界を知るのに役立つ

世界史は学校で習ったはず。それで充分だと思っていました。でも、日本から1万キロも遠く離れた考古学博物館の石像は、一目見ただけで感じられる世界とのつながりを教えてくれました。
これこそ学生の時に見ておきたかった!

でも今からでも間に合う、知れば知るほど惹かれる考古学。その魅力を3つ挙げてみます。

  1. 教科書に載ってる出土品が目の前にあるリアル

  2. 3500年もの時空の旅ができるロマン

  3. 遺跡保存の意義と未来へつながる想い

それでは、この3つを念頭に私のお気に入り考古学博物館を見ていきましょう!

あちこちに遺跡があるアテネは街自体が博物館

いきなり別格のアテネを紹介してしまいますが、やはり王道は外せない!トップ画像もアテネのパルテノン神殿です。教科書で見た柱の存在感は現地でこそ感じてほしい。
アテネ市には遺跡が点在していて、街自体が考古学博物館です。

オリンピアのゼウス神殿:柱って輪切りのパーツに分かれていたんですね
ゼウス神殿の周りに転がっている柱の一部:こんな間近で見られるなんて!

クレタ島で3500年前の文字を見る

ギリシャ南部クレタ島には紀元前2000年ころからミノア文明が栄えていました。島の中心ハニア市には考古学博物館があり、周辺から見つかった出土品が収集されています。
特にロマンを感じたのは未解読の線文字でした。

ハニア考古学博物館に展示してあった粘土片の線文字:紀元前1500年くらいのものらしい
ハニア考古学博物館:浮世絵を思い浮かべるイラスト入りの壺

ハニア考古学博物館 (Archaeological Museum of Chania)

リスボンで遺跡保存の意義を見る

ポルトガルの首都リスボンでの注目はカルモ考古学博物館。元は1389年に建てられた教会でしたが1755年の大地震で崩壊してしまいました。現在はその廃墟を利用した考古学博物館となっています。
日本も地震国。身近に感じられる災害と遺跡の保存について思いが巡る場所です。

カルモ考古学博物館内部:再建を試みたが断念されたとのこと
ラテン語が彫られた石板:文字が美へと昇華している

カルモ考古学博物館 (Museu Arqueologico do Carmo)

遠すぎる?だったらデジタル博物館に行ってみよう

Google アートプロジェクトでは、世界中のパートナー・ミュージアムの収蔵品をオンラインで鑑賞できるサービスがあります。
せっかく考古学に興味を持ったのに、すぐに博物館まで行けない!という人にピッタリ。考古学だけでなくいろんな種類の博物館、もちろん美術館もあるので鑑賞していると時間が溶けますよ!

ここでは特に私のお気に入り2ヶ所を挙げておきます。

アクロポリス博物館(Acropolis Museum

上でも紹介したアテネの出土品を収蔵する考古学博物館。公開写真数は少ないですが、これらの彫刻技術がインドを経て日本に伝わったと思うと感慨深い!

京都国立博物館

京都にまつわる文化財を中心に収蔵している博物館。
インド北西部ガンダーラで作られた如来頭部の写真もあります。ギリシャ彫刻のように彫りが深い顔立ちで、地球の裏側から伝わってきた文化を感じます。

考古学博物館は美術館ほど有名ではありません。だからこそ人も少ないし、入館料も控えめの場所が多いです。
世界とつながれる発見がいっぱいの穴場です!


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