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パートナーシップ宣誓制度を広げるためには、積極的に使わないとという話
11月1日より、東京都パートナーシップ宣誓制度が始まる。
この制度は、オンライン上の届出に対して、東京都が受理証明を出すものだそうな。既に一部の各自治体(特別区や県・府など)がこの制度を進めていたけど、東京都が進めたことは大きいはず。
言ってしまえば紙切れ一枚だけど、性的マイノリティと括られる人たちだけではなく、そこにかかわるすべての人にとっての前進だと思う。
ところで、この受理証明、どこで使えるのかというと、下記のようにある。
(引用元:「東京都パートナーシップ宣誓制度」をよりよく知るためのハンドブック(PDF:1.91MB))
・賃貸物件の紹介における性の多様性への配慮
・診療情報や面会の機会などにおけるパートナーへの提供
・携帯電話などの家族を対象とした割引の適用
・生命保険の受取人の指定
・自動車保険の特約等におけるパートナーの適用
・損害保険の補償の範囲におけるパートナーの適用
・住宅購入時のペアローンの利用
僕は不動産業界に勤めているので、おそらく関係するのはここだろう。
賃貸物件の紹介における性の多様性への配慮
ただ、「配慮」と言われるとちょっとよくわかんない。
不動産の賃貸においては、基本的に大家、仲介業者、借主の三者がいる。
まれに賃貸をやる身からすると、差別意識で貸さない大家はあまりいない感じだけど、借りやすいかというと否。
理由は、「長く住み続けてもらえるか想像がつかない」といったところだと思う。
不動産は人に貸すことで収益になるため、部屋が空いてるとその期間は無収入。場合によっては損失。
だから、部屋を貸す以上、極力長く居続けてほしい、というのが大半の大家の発想になる。
そこで、長く借り続ける傾向のある人を選ぶようになる。
例えば、結婚している男女は、子供が生まれない限りは住居を変えることがめったにない。ひとり身は、転職や結婚の予定がない限り、あんまり変わらない。
しかし、ルームシェアになってくると、結婚ほどの制約はなく、ましてや他人同士である。2~3年過ごして「ルームシェア飽きた」となるケースは多い。
境遇が変わった人間は、かならずと言っていいほど転居をする。転居されると空室期間が生まれてしまい、大家には手間も金もかかる。
同性カップルの場合、上記のルームシェアの括りに入れられることが多いため、長く借りてくれないだろう、と判断され、不利になるというわけ。
だからこそ、今回の宣誓制度はすごく良いものだと思う。
結婚と同義であることは「長く住み続ける(可能性が高い)理由」になる。借りるうえでのメリットになるのは間違いないはずだ。
だが、僕はすごく懸念していることがある。
宣誓制度を利用したにもかかわらず、本人がそれを表に出さないことだ。
結婚は名字が変わるので、男女が同じ名字なら「夫婦だ」と一般的に解釈する。戸籍謄本や婚姻届けのコピーなんていらない。
でも、宣誓制度は証明書を出してくれないとわからない。
極論かもしれないけど、証明書がないなら、それはただのカップルと変わらない、とも言える。
そして、配慮は場合によっては遠慮だったりする。
同性カップルに対して「パートナーシップ宣誓制度してます?」という質問はしにくい。
たとえば異性カップルが百貨店にいて、男に対して「旦那さん」というべきか「彼氏さん」と言うべきか迷うのと似ている。
不動産は入居申し込みの段階で結婚の有無も書いてもらう(もしくは名字で判断できる)ので、わざわざ「結婚してるんですね?」と聞くことはないけど、パートナーシップ宣誓を書く欄はいまのところない。どう聞けばいいのだろう。
配慮を心掛けるほど、制度を使っているかどうか触れることができない、ということになってしまうかもしれない。
一方的な考えであることは承知の上だけど、宣誓制度は利用したら自主的に言ってほしい。言われて初めて配慮ができるようになる。
それがいずれ周知につながり、世の中を変えていくんだと、私は思っている。
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