薔薇色

タイムラインが静かなのでひとつ話でもしようと思う。

ある男がいた。
彼はそこそこの高校でそこそこ受験勉強を頑張り、地元の国立大学に合格、入学した。
彼もまた多くの新入生と同じように†薔薇色のキャンパスライフ†を夢見ていた。
きっと来年の自分の傍には長髪のかわいらしい彼女がいて、何か楽しげで素晴らしいことをするサークルに参加し、共にサークル活動に励む仲間もいて、勉学にも精を出し、アルバイトで社会貢献するのも忘れず日々輝ける未来へ邁進していくものだと思っていた。

しかし現実は違った。
一年後の自分の傍に乙女は影ひとつなく、当初入った地域貢献農業サークルには何と無く居づらさを感じ参加の気配がなくなっていた。勉学に精を出すどころか、ネイティブ中国人の教授の授業はその怠惰さで単位を滑り落とし、アルバイトは未だかつてない長時間労働に辟易していた。
唯一たどり着いたのはバーチャルキャンパスを名乗る怪しげな団体であり、そこには一癖も二癖もある社会不適合者個性的な廃人どもがいた。
彼は戸惑いながら入ったこの空間に蟻地獄のように引き摺り込まれていく………


まあ僕のことなんですけどね。
ここまでではないにせよまあ大半は事実だよ?こんなサークルにハマるなんて思わなかったしもうちょっと生産的なことをしていると思ってた。でも不思議と悪い気はしない。
森見登美彦風に言うなら運命の黒い糸というやつなのだろうか。ただお前が陰気で怠惰なだけだろ

新入生諸君もいつかこんな気持ちになるのだろうか。彼らも一年後の今頃晴れやかな顔をしてどこかで学生生活を楽しんでいることを願うばかりだ。


差し出がましいかもしれないが、それが現在所属している僕らの泥沼ならどれほど嬉しいことか。

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