枯木星

淡く澄んだ空、ピンと張った空気、無機物のような樹木

冬は嫌いだ。
生気を失った景色は全くもって不快で興醒めだ。
この季節を考えついて創造した者は頭に大鋸屑の詰まった大馬鹿者か、稀代の逆張り星人しかありえないとまで言い切れる。

そんな冬にも一つだけ認めてやってもいいところがある。

星空だ。
この星空だけはどんな季節のものよりも優っていると言えよう。
澄んだ空に強く光を放つ星々は最も簡単に人間の心を奪う。その瞬間だけは寒さを忘れ何千年前の光に魅入られる。

それ以外の要素は総じてクソだ、一分の評価にも値しない。
しかしもし太陽の神がいつの日かこの冬を吹き飛ばしてくれるなら、どうかこの星空だけは残してやってほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?