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普通の大学生が闇金業者になりました

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【売上の一部はどうぶつ基金へ寄付します】 闇金時代に見た、お金に憑りつかれた獣たちのお話しです。
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普通の大学生が闇金業者になりました【総集編】

第1話:ただの大学生が闇金業者になりました 僕は、福岡市内の闇金業で、20歳から4年間ほど働いていたことがある。 闇金業に足を踏み入れたきっかけは、1冊のアルバイト情報誌だ。 何の変哲もない大学生だった僕は、遊ぶお金欲しさにアルバイトを探していた。 当時のアルバイトの時給は、居酒屋で750円~800円が相場だった。 そんな中、ある会社が時給1500円でアルバイトを募集していた。 業務内容は「テレホンオペレーター」とある。 この好条件を逃すまいと思った僕は、急いで

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普通の大学生が闇金業者になりました

僕は、福岡市内の闇金業で、20歳から4年間ほど働いていたことがある。 闇金業に足を踏み入れたきっかけは、1冊のアルバイト情報誌だ。 何の変哲もない大学生だった僕は、遊ぶお金欲しさにアルバイトを探していた。 当時のアルバイトの時給は、居酒屋で750円~800円が相場だった。 そんな中、ある会社が時給1500円でアルバイトを募集していた。 業務内容は「テレホンオペレーター」とある。 この好条件を逃すまいと思った僕は、急いで電話して面接の予約をした。 面接場所は、歓楽

初日の取り立てで、殺されかけました

借金の取り立てをするとき、債務者(お金を借りている人)をがむしゃらに怒鳴ってもお金は出てこない。 なぜなら、闇金からお金を借りている人は、借金まみれで、正規の金融機関では借りれなくなった人ばかりだからだ。 そんな借金まみれの人を相手にいくら怒鳴っても、お金は出てこないどころか、開き直られて何をされるかわからない。 映画やドラマでは、闇金業者に怯えて、震えながらありったけのお金を返済する債務者がよく描かれている。 しかし、リアルな債務者のほとんどは、借金慣れしているので

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ホストにハマった少女たち

ホストという職業は、ローランドの登場により、市民権を得たような気がする。 もっと前から、ホストの市民権は在ったという人もいるかもしれない。 だが、僕が闇金時代に見てきた20数年前のホストはめちゃくちゃで、市民権なんてなかった。 20数年前、ホストクラブに通っていた客のほとんどは、ツケで飲んでいた。 ツケは、月末に支払う。 ツケが払えなくなると、客は店を出禁(出入り禁止)になる。

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身を滅ぼすほどハマるギャンブルとは…。

2016年にIR推進法が施行されてから、ギャンブル依存症についての議論も活発になってきた。 ギャンブルといえば、福岡県だ。 福岡県は、競馬・競艇・競輪・オートレース、全ての公営ギャンブルが、一つの自治体に存在する、全国でも珍しい県だ。 僕は、ギャンブルをしないので、ギャンブルの魅力はわからない。 ただ、闇金時代に出会ったギャンブラーたちを見ていると、えげつない、ハマり方をするのが、競艇だ。 競艇は、他の公営ギャンブルに比べて、出走する選手が少ないので、当たる確率が上が

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引きこもりVS闇金業者

借金の取立てに行って、まともに出てくる債務者なんてまずいない。 債務者は居留守を使うが、そもそも、そこには住んでいない場合もある。 債務者が住んでもいないのに、何度も訪問していると、時間も労力も無駄になるので、居住確認はめちゃくちゃ大事だ。 債務者が住んでいるかどうかを判断するうえで、一番わかりやすいのは、電気メーターの動き方だ。

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虎の威を借る狐

小学生の頃、同級生とケンカになって、相手を泣かしたことがある。 放課後、僕が公園で友達と遊んでいると、ケンカした同級生が、中学生の兄を連れてきた。 「お前か。オレの弟を泣かせたんは」 その兄は、当時ヤンキー界で流行っていた変形学生服のボンタンに両手をつっこんで、金髪頭をガクガクと上下に振りながら僕を威嚇した。 「兄貴を連れてくるなんて卑怯やぞ。明日またシバくからな」 僕はその兄にどうされるかわかっていたので、せめて同級生に悪態をついてやろうと思って大声で叫んだ。

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母性の凄み

タコのお母さんは、卵が孵化するまでの長い期間(最長で約10ヵ月)、飲まず食わずで卵を守り続ける。 そして卵が孵化したとき、お母さんの体力は残っておらず、体を動かすことすらできない。 そんな力尽きたお母さんは、孵化した我が子を見届けながら死んでいくらしい。 我が子を命懸けで育てるタコのお母さんには、メスにしかない凄みがある。 人間社会でも、命がけで我が子を守り抜こうとする母親を、僕は闇金時代に見た。

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親と友達に捨てられた少年【前編】

闇金業というのは当然だが、超ブラック企業だ。 労働基準法や倫理という概念がない業界なので、会社内では常に怒号と暴力が飛び交っていた。 そんな会社だったが、年に数人は入社してきていた。 しかし、質の悪い先輩が教育係になると、新人はすぐに辞めていく。 その点、僕は先輩に恵まれた。 僕の教育係は、社長である村上だった。

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親と友達に捨てられた少年【後編】

僕の家政婦となったカズヤは、8畳ワンルームの僕の家に住むようになった。 カズヤの家政婦ぶりは見事なもので、ゴミ屋敷だった僕の部屋はあっという間にキレイになった。 料理経験がなかったカズヤは、料理本を読み漁って、料理の腕を上げた。 カズヤを家政婦として雇って3ヶ月が経った4月、僕たちの共同生活が終了した。 カズヤが、僕の知り合いの自動車整備工場に、住み込みで働くことになったからだ。

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闇金の世界に生きる獣たち

お金は、人の命をいとも簡単に奪い取る。 自殺・他殺・事故死。 死に方は人それぞれだが、その時は突然にやってくる。 僕はこれまでの人生で、闇金業界にいた4年間ほど変死が身近にあったことはない。

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