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【1ヶ月海外放浪】エーゲ海の真珠?イズミル🇹🇷《Day11-13》

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2023-09-15 Day11
 イズミル観光

 目覚めると朝4時くらい。2時間も寝れなかったことになる。外は真っ暗だがGoogle Mapで確認すると目的地イズミルまではあと数十kmのところらしい。通路挟んで反対側の席ではおっさんがTikTokを見ていたが、これが音漏れしていてかなりしんどかった。そんなんで睡眠不足のままイズミルのオトガルには朝4時半頃に到着。
 イズミルはイスタンブール、アンカラに次ぐトルコ🇹🇷第三の都市。都市圏人口は約270万人で日本でいうと福岡にあたるくらいの規模の都市だ。エーゲ海に面していて、エーゲ海の真珠と言われたりするらしい。ドナウの真珠ことブダペストが最高だっただけに期待が高まる。

 イズミルのオトガル(バスターミナル)も他都市のそれと同じように街外れにある。オトガルから市の中心部へはセルヴィスとよばれる無料送迎バスがあるらしいので、早速それを探した。だがそれらしきバスの姿はどこにもない。というかオトガル内にセルヴィスと書かれた看板すらない。そして最大の絶望は超早朝だけあって全く人がいない。いるのは野犬くらい。ちなみにトルコは野犬がめちゃくちゃ多い。人に尋ねることもできず、A君と途方に暮れてオトガル内をほっつき歩いたり、ネットで検索をかけたりしたが全然わからない。とは言っても、市内までたった6kmほどなので、「日が昇りさえすれば最悪歩けるか」のマインドでベンチで体力を温存することにした。

まだ暗いイズミルのオトガル

 1時間くらい経っただろうか。ようやくオトガルの南側2階のあまり目立たない場所にセルヴィスの発着所らしき看板を見つけた。とりあえず一安心。そこでは結構な数の人が待っていた。どうやらそもそもセルヴィスの始発が7時台らしい。6時15分ごろになってようやくマイクロバスが何台か現れた。しかしどう見ても待ってる人を運べるだけのキャパシティがない。大丈夫か?何台かいるバスのどれがどこに行くのかわからないので、city centerの翻訳画面を運転手さんに見せたら、あっちのバスだよ。と指差して教えてくれた。

そのとき見せたスマホ画面

しかしこれがとんでもない混雑だった。マイクロバスのこの部分に立つことあるだろうか?もっと始発を早くしてくれよ。しかしバスは無事オトガルを出発し、市内中心部のBasmane駅に到着した。

こんなとこに立つなんて日本では経験できない。

 イズミルのメトロやトラムに乗るにはイズミルカード(Suicaみたいなもの)が必要である。というわけでメトロのBasmane駅でイズミルカードを買おうと、券売機らしき機械に並んで四苦八苦したが買えそうにない。警備員さん(?)にイズミルカードが欲しいと言ったが、どうやら窓口でしか買えず、しかもその窓口が10時まで開かないらしい。なんてこった。まだ7時半だぞ。
 とりあえず駅前のパン屋で朝食を取ることにした。パンはかなりのボリュームがあって1個100円程度とお得だった。

 オトガル、駅、パン屋ときてこの街についてなんとなく分かったことがある。まずイズミルでは英語が一切通じない。イスタンブールでもだいぶ厳しかったが、この都市ではそれ以上にダメっぽい。恐らくOne, Two, Threeくらいまではわかるが、Four以上は通じない。ここまでの会話もだいたい指差しや単語の連呼で凌いできた。でもだいたい感謝の意を伝えておけば人間なんとかなるというものなのだ。
 そしてもう一つ。この街には交通ルールが存在しない。イスタンブールもクラクションに溢れた騒がしい街だったが、イズミルはそれ以上だ。特に歩行者は信号を守るということを知らない。誇張抜きで信号を守る人が誰一人いないし、警察官さえ行け行け!と赤信号で渡ることを促してくる。なんて街だ!現地民が渡るタイミングを見て一緒に渡って行くしかない。我々はこの横断方法を「トルコ式横断」と名づけ、郷に入りては郷に従えの精神で実践して行くことにした。

 パン屋で食事を終え、ネットでイズミルのメトロ・トラムについて調べたところ、VISAタッチで乗れそうなことが判明した。とりあえず検証も兼ねて近くのトラムの駅で試したところ、これが成功。無事トラムに乗車し、Konak広場に行くことにした。
 Konak広場は海が見渡せて気持ちのいい場所だった。通勤用フェリーも発着してるらしい。広場の中心にはなにやら塔が立っていたが、鳩に溢れていた。鳩は世界中で見かける。そして鳩に餌を与える人間も世界中で見かける。なんと愚かな。

 そのあとは徒歩でバザール(イスラム世界の市場)を通り抜け、アゴラに向かうことにした。バザールは衣類がメインで、我々はあまり関心がなかったのでほぼスルー。チャイが所々で提供されていたのは少し気になった。まあどこかで飲む機会あるでしょう。アゴラとはギリシア人によって建設された広場や市場のことで、ここイズミルのアゴラは紀元前4世紀ごろに建設された。ただ現在残っているのはローマ帝国期に再建されたものだそうだ。ここに限らず、トルコはギリシア→ローマ→オスマンと異なる民族によって支配されてきた歴史があり、それらがいろいろな箇所で見られるから面白い。

 アゴラを見学し終え、メトロ1号線に乗車。南の終点まで行き、ショッピングセンターのフードコートで昼食をとった。帰りはトラム2号線に乗りKarataş駅に。ここは海岸線近くまで崖が迫っている。その崖上の住宅街のアクセスのためにアサンソルと呼ばれるエレベーターがある(アサンソルとはトルコ語でエレベーターのこと)。このエレベーター、なんと1907年に建設され、高さは約40mもあるんだそう。当時は蒸気機関で動き、その後水力、電気と動力源が変わりながらも現在に至るまで活躍し続けてるんだとか。

扉は手動で開閉する

 頂上まで登ると絶景を拝めた。綺麗な青色の海と赤い屋根の街並み。高低差があってより美しく見える。しかし階段を覗くとこの高低差は大変そう。そんなことを考えながらエレベーターで下り、再びトラムに乗った。

 トラムに乗り、Alsancak駅まで来た。ここは街の中心部で、今晩泊まるホステルもある。まだ15時だが、今日は朝が早くへとへとだったので早々にチェックインすることにした。ここには2泊する予定だ。ホステルのオーナーさんは、外国人慣れしてるだけあって英語がペラペラだった。明日はエフェス(Efes)に行く予定なので、どうやって行ったらいいか尋ねたら、親切に教えてくれた。それによればAlsancak→(IZBAN)→Tepeköy[乗換]→(IZBAN)
→Selçuk→(MiniBus)→Efes
らしい(IZBANとはイズミルの近郊電車のこと)。
 今後の予定を立てたり、休憩を取ったりして、再び街に繰り出したのは18時。夕飯を取ることにした。午前中は活気のない街だと感じたが、この時間になるととても賑わっている。トルコはどうやら朝に滅法弱いらしい。色々なレストランを見たが、結局店主さんに声をかけられたケバブ屋にした。ケバブ屋といっても日本のよくある屋台ではなく、しっかりしたレストランで、チャイだって出てきた。店主さんは英語はほぼ通じなかったが、年齢あてっこをしたりと楽しんで意思疎通できたような気がする。英語が通じないのがむしろ楽しい。

活気のあるイズミル
チャイ

 夕食を終えたのが18:40頃。明日Efesまで行くための下見としてAlsancak駅に行くことにした。今朝のように「窓口は10時まで開きません」とかでは困る。警備員さんらしき人にIZBAN(電車)はVISAタッチで乗れる?と聞いたが、どうやら使えるのはイズミルカードだけらしい。危ない。窓口で今のうちに買っておこうと考えたが、Alsancak駅の窓口は18:45〜19:00に小休憩を取るらしい(ちなみに18:44くらいに来たおじさんが弾かれてた。日本だったら絶対対応してくれる)。ちょうど日没の時間がやって来たので少し歩き、西の海岸に出ることにした。芝生と歩道のひかれた海岸沿いは多くの人で賑わっていた。空は橙色に染まり美しい。ただ近づいてみると波はかなり荒かった。

 日没を見届けてからはそそくさとAlsancak駅に向かった。窓口でSelçukと言ったら、Selçukまでの片道分の金額もチャージしてイズミルカードを発行してくれた。




2023-09-16 Day12
 エフェス遺跡

 今日は予定通りエフェスに向かう。昨日のホステルのオーナーさんの説明通り、Alsancak駅8:34発のIZBANに乗り、Tepeköyには9:34に到着。9:50発のIZBANに乗り継いでSelçukには10:13に到着した。

IZBAN

 このSelçukの街がエフェス観光の起点となる。小さい市場を通り抜けて、バスターミナルまで歩いた。小型のバンがたくさん止まっている。これがミニバスと呼ばれるもので、お客さんが集まったら出発するというシステムを採用している。我々が乗るPamucak行のミニバスもすぐに見つかった。丁寧にEPHESUS(Efesの英語表記)という看板まで掲げている。20TL(≒約110円)を支払い、早速乗り込んだ。まだ車内にはほとんど客は乗っておらず、お客さんが集まるのを待った。10分もしないうちにミニバスは満席になり、Selçukを出発、ミニバスは10分程度でエフェス遺跡の駐車場に到着した。

ミニバス

 エフェス遺跡は、ギリシア時代からローマ時代にかけて栄えた古代遺跡で、現在こそ海岸からは離れているが、当時は港湾都市だった。特に世界七不思議のアルテミス神殿と、世界三大図書館のセルシウス図書館で知られている。あのギリシアの哲学者・ヘラクレイトスもここエフェス出身なんだとか。2015年には世界遺産にも登録されている。
 入場料を払い、遺跡に入る。まず訪れたのはThe Church of Mary(マリア教会)。西暦431年にエフェソス公会議(第三回キリスト教公会議)が開かれた場所としても知られてるんだそう。これがかなり広い。145×30 mもあるんだとか。古代人すごいな。

マリア教会

 次に訪れたのは一際目立っている大劇場。ローマ時代に建設されたこの半円形の劇場は2万5千人もの聴衆が収容可能なんだとか。

大劇場

 アレクサンドリア、ペルガモンと並んで世界三代図書館に数えられるらしいセルシウス図書館や、古代のトイレ跡、古代アゴラなどを見て回った。自分たちの使ったトイレ跡地が、何年も後の人々にありがたられているとか、いくら頭のよかった昔の人々でも想像もつかなかっただろうな、とか考えてたら写真を撮り逃した。

セルシウス図書館
古代アゴラ

 しかしこの遺跡はかなり広い。そのうえ日を遮るようなものが何もなく、ずっと太陽に焼かれているような暑さで汗も止まらない。この遺跡には博物館もあるのだが、そこまで興味のない我々は、暑さから逃げるためにもエフェス遺跡を去ることにした。

かなり広い

 エフェス遺跡の駐車場にはちょうどミニバスが来ていた。既に満員だったが乗り込むとミニバスはすぐに出発した。ドア付近に立つことになったが、このドア、かなり建て付けが悪く、落ちるんじゃ無いかと不安になる。だがこういう雑さがこの国の魅力なのだと思う。

半開きのドア

 Selçukの街に戻るともう既に13時になろうとしていた。昼飯にありつこうと歩いていたらレストランの店主さんに日本語で声をかけられた。メニューにも良さげな料理が並んでいるのでここに決定。どうやらこの店主さん、日本に住んでいたことがあり、日本人の奥さんもいたらしい。もう離婚したそうだが、来年春にまた日本に来るんだとか。久々に日本語が話せて楽しいらしく、食事中も我々の横に座り、色々な話をした。昨晩たくさんお酒を飲んでしまったんだとか。イスラームなのにいいのか。それにしても日本語ペラペラである。

美味しかったがかなりの量だった。

 食事を終えたが、まだ帰りの電車まで時間があるので、気分のいいままSelçukの街を散策することにした。この街にも聖ヨハネ聖堂、セルチュク要塞といった遺跡があった。スーパーマーケットにも入った。

Selçukの街と聖ヨハネ聖堂

 いい機会なのでここでトルコのスーパー事情を書いておく。我々は旅行中主にŞOKとA101というスーパーを利用した。この2つは恐らく全国展開している。しかも安い。水2Lがわずか4TL(≒22円)で買えた。トルコのローカルブランドと思しきパチモンコーラやパチモンファンタも9TL(≒50円)で売っており、しかも味は正規品と変わらない。正規品が同じサイズで20TL(≒110円)なのを考えると、パチモンコーラ/ファンタはかなりお得である。

パチモンファンタ(後日撮影)

 電車の時間が近づいてきたのでSelçuk駅に戻る。帰りの運賃をイズミルカードのチャージしなくてはならない。機械の横にいるおじさん(駅員さん?)がいくら必要か教えてくれたが、どうやらこのチャージする機械、お釣りが出ないらしい、ちょうど高額紙幣しか持っていなかったので、駅前の商店でコーラを買って崩す羽目になった。さっきもスーパーで買って飲んだのに...

TCDD Selçuk駅

 15:20発のIZBANに乗り、行きと同じようにTepeköyで乗り継いだ。ただ帰りはAlsancakまで行かず、一駅手前のHilal駅でメトロ1号線に乗り継ぎ、Basmane駅に行くことにした。イズミル1日目の朝、オトガルからセルヴィスでやってきた駅だ。

メトロ1号線

 イズミルにはAlsancakとBasmaneという2つの中心駅がある。AlsancakはIZBANという近郊列車のターミナルで、Basmaneは遠距離列車のターミナルとなっている。我々は明日デニズリという200kmほど離れた街に行くので、その切符を買いに来た。なにせ窓口が10時まで開きませんとかでは困る。だがどうやら明日の切符は明日にならないと買えないらしい。まあ当日買えることが判明しただけ大戦果である。
 というわけでBasmane駅からAlsancak駅近くのホステルまで公園を突っ切って歩いて戻ると、時刻はちょうど18時になろうとしていたので夕食を取ることにした。槌と斧の描かれた旗を持ったやばめの若者集団を見たりしつつ、夕食を決めた。なんと2日連続のケバブ。とはいっても昨日がアダナケバブだったのに対して今日はドネルケバブである。

 夕食を終え、昨日サンセットを見た海岸まで歩いた。今日も沢山の人で賑わっている。明日は電車に乗るだけなのでイズミルは今日が実質的な最終日である。この街に着いた時は、セルヴィスは来ないし、人通りも疎だし、英語は通じないし、交通マナーは終わってるし、正直何もない街で少しガッカリした。しかしこの街は夕方になると急に活気が溢れる。そして何より人が優しい。交通マナーでさえも「トルコ式横断」に慣れてしまえば楽しいものだ。「エーゲ海の真珠」かと言われれば疑問符がつくが、とても楽しい街だった。そしてもう2度と来るかわからないこの街を去るのが少し寂しくなった。空が橙色に染まる中、そんなことを考たりし、ホステルに戻った。

 ホステルではパキスタン人の方に、デニズリまでの行き方を聞かれた。明日電車で行くよ〜と言ったが、彼はバスで行くことにしたっぽい。




2023-09-17 Day13
 イズミルからデニズリへ

 朝飯をパン屋で取り、早速Basmane駅に向かった。切符を買うと既にホームには乗車予定の列車が停まっていた。乗るのはイズミルを10:40に出発するTCDD;トルコ国鉄の列車。デニズリには15:33着の予定だ。たった200km程度に5時間もかかる。TCDDがこの有様じゃそりゃバス大国になるわけだと納得しながら列車に乗り込む。ただ運賃は格安である。5時間も乗って185TL(≒1,000円)しかかからない。

 たいそうに4両も連ねた列車内はガラガラだった。しかし座席はしっかりしていて快適。列車は定刻通りイズミルを出発した。

 列車はいくつもの駅に停まり、そのたびに人が増えていく。Selçukを過ぎると車内はほぼ満席となった。出発時点のガラガラの車内が信じられない。車内販売でパンが売られていた。峠を越えて、小さな田舎駅にも停まる。雰囲気がとてもいい。こういう駅で途中下車するのも楽しそう。

 途中、大手バス会社のMETROが運行するバスと並走したが、すぐに抜かされてしまった。

 列車は徐々に遅れを拡大させながらも、16時にはデニズリに到着した。


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