【育休体験談vol.10】男性の役割について、人生に対する価値観が変わった
「ひとりひとりの声や体験は、誰かの希望につながる」との考えから、パパママの声や体験談などを「LINEで1日1問育児クイズパパ力検定」でのアンケートなどを通して募集し社会へ発信しています。
育休取得体験談のコーナー第10回。
今回は、金融系の企業にお勤めで、「パパ育コミュ」代表、育休を1年間取得したパパさんのお話です。
「共育て社会」へのはじめの一歩
育休取得体験談
ピックアップ
育休準備編
【取得しようと思った理由】
第1子である長女を授かった時には、昭和時代の父親の背中を見ていたためか「家族のために一生懸命働こう」という気持ちが強かったように思います。当時の上司からも祝福の言葉と共に「子どもの分も頑張って働け」と言われた記憶があります。当時は月に1回ぐらいは出張があり、物理的にも家にいられる時間が少ない状況でした。
育児といっても、土日に長女を連れて遊びに行くだけというかんじで、普段の生活についてはタッチできていませんでした。そのような状況の中で妻が心身のバランスを崩してしまい、これはまずいと本気で思いました。
第2子である長男を授かった時には、自分が育休を取得して、育児や家事などの生活の部分に関わらないと大変なことになると感じ、育休を取得することにしました。
そして、第3子である次男を授かった時には、ためらいもなくスムーズな流れで育休を取得しました。
【取得にあたって準備したこと(仕事面)】
業務面では、自分の周りの同僚は優秀な人たちが多かったので心配していませんでした。
ですが、第2子の2015年の時と、第3子の2019年の時とでは、社会の風潮や、自分の周りの環境、そして、取得に踏み切るハードルの高さに違いがあったと思います。
2015年の時には、まだ、男性が育休を取得することに対する社会的なムードが強まっていなかったので、周囲からは驚かれました。親兄弟もやはり「男性が育休を取得するのはどうなんだ」という思いを抱いていたようですし、社会全体からもそういう感覚を強く受けていたので、正直に言って、会社に相談する前は思い悩んでいたところがありました。
ですが、思い切って育休取得について相談したところ、会社としては応援してくれる雰囲気があり、安心した覚えがあります。
2019年には会社の雰囲気が育休を推進する方向になっており、社会の潮流もあって、取得しにくさは解消したと感じました。
【取得にあたって準備したこと(家庭・子育て面)】
取得にあたり、夫婦の役割分担をざっくりと決めました。家事や上の子のお世話は私がして、新生児のお世話は妻。必要に応じて私が新生児のお世話もサポートするという分担です。
第2子が生まれた時には、長女が幼稚園に入るタイミングだったので、毎日の持ち物に気を遣いました。長女もまだ幼稚園に慣れていなかったので、間違えないようにしてあげようと思ったんですね。必要なものがどこにあるのか、何を用意しておいたら良いのかなど、夫婦で共有しながら整えていきました。
【育休取得にあたってのパートナーの反応】
第2子の時(2015年)に育休を取ると伝えた時には、喜ぶというよりは戸惑っていたようです。
物理的に私が担うことで楽になるという安心感はもちろんあったようですが、「男性が育休とって大丈夫なの」とも言っていました。安心と不安が入り混じっているようでしたね。
育休真っただ中編
【楽しかったこと】
子どもたちの日々の成長を見られるのが楽しいですね。
個人的には、寝るときにパパとママとどっちに寄ってくるのかということを気にしています(笑)。生理的にはおそらく、寝る時にはママにくっつきたい時が多いと思うんです。
第1子の長女は、赤ちゃんの時にあまり関われなかったこともあったためか、私と寝る時というのはその日1日中、一生懸命に一緒に遊んであげたときです。
ですが、第2子・第3子は普段から普通に「パパと寝る」と言ってくれています。赤ちゃんの時から、パパママ両方で育児をし、子どもたちと愛着形成をしてきたからでしょうか。「パパもママも好き」となってくれたのがすごく嬉しいです。
【価値観がアップデートしたと思ったこと】
育休を取得する前は、男性の役割はお金を稼ぐことだと思っていました。育休を取得してからは、家庭を優先するようになり、人生に対する価値観が変わったと感じています。
今は仕事をセーブしているということもありますが、会社の制度もコロナ禍の前と後でだいぶ変わっています。出社をしなくても在宅で働けることがありがたいですし、フレックス制度もありがたいです。
例えば、朝5時から働くことができたら、昼で仕事を切り上げることも可能です。自由に時間をコントロールできることが育児中の身としてはありがたいですね。
【しんどかったこと】
第2子が生まれた時に、最初の育休を取得しました。その頃、コロナが本格化してきて、社会情勢や自分自身の環境もガラリと変わりました。社会との断絶感があり、家にこもっていて外出できない日々だったので、気持ちが鬱々としていた記憶があります。その状況をなんとかしたくてSNSを始めました。仲間と繋がっているだけでも気持ちが楽になるだろうと思い、パパのコミュニティ「パパ育コミュ」を立ち上げたのです。
第3子の育休中は、育児にも慣れてきていたので不安は少なく、毎日の成長を楽しんでいましたが、はじめての育休中は辛かったですね。
【印象に残っていること】
最近、1週間以上前のことは思い出せなくなってしまっているのですが(笑)、子どもが生まれるタイミングで旅行したことが印象に残っています。第3子が生まれる時には、私一人で長女と長男を連れて旅行しました。自分ひとりで2人の子どもたちをみられると、自信がつきます。子どもたちとの信頼関係がないと夜の寝かしつけも大変だと思いますが、旅行を経ると育児も一人前のような感じがしますね。
【家事育児の工夫】
分担や、困っていることなどのシェアは、週に1回、金曜日の夜に話す機会を設けていました。かっちりとした打ち合わせというよりは、お菓子食べたりお酒を飲んだりしながら、1週間お疲れ様とお互いに労いながら話している感じでしたね。
家事については、好きな家事・嫌いな家事、得意な家事・苦手な家事と、人それぞれだと思います。私たちは、子どもが生まれてから、日々の分担についてすり合わせていきました。
コミュニティメンバーでよく話題に出るのは、夫婦間で何か思うことがあったら、とりあえずLINEでもいいのでこまめに伝えると良いのではないかということです。マイナス感情を貯めるよりはいいんじゃないかという意見が大半ですね。それで喧嘩になることもあるかもしれませんが、伝えないで貯め込んでしまうよりはいいのではないかと思います。
【シカゴリラさんにとっての「育休」とは】
私にとっての「育休」は自分を見つめ直す時間となりました。私は欧米で働いた経験もあるのですが、日本と欧米では、キャリアを方向修正することに対する考え方が違うと思っています。
日本では多くの人が定年まで働くなど、人生の途中で働き方の方向修正をする人が少ない印象がありますが、欧米ではそうではありません。職場からちょっと離れて自分の人生を見つめ直したり、人生を振り返ったりする機会をもつ人は少なくありません。
育休を取得したパパさんたちと話していると、「育休は人生で一番幸せな時間だった」と言う人が多いと思っています。家族と一緒に過ごす時間、子どもの成長を日々感じられる期間というのは一生に何回もあることではないので、やはり育休は特別だと思います。
育休後
【取得期間について】
1年取得しましたが、ちょうどよかったと感じています。期間がこれよりも短いと、妻が精神的に参ってしまうかなと思います。
【復帰してから大変だったこと】
復帰してからは業務量をセーブしながら働いているので、仕事面でのストレスはありません。育児にも携わりながら仕事と両立できています。
育休は育児のスタートであって、育休が終了しても育児は終わりではありません。
復帰した後の自分の気持ちや、最初の職場での挨拶がとても大切だと思います。例えば、「ご迷惑をおかけした分、一生懸命に働きます」と言ってしまうと、育児と仕事の両立は難しくなるのではないでしょうか。
復職する前にきちんと、人事なり上司なりに「こういう働き方をしたい」と、明確な意思をもって伝えるのが双方のためだと思います。
【育休取得する(した)部下のいる管理職の方へ期待すること】
育休を申請する方は、心のどこかでは申し訳なさを感じながら申請していることが多いので、まずは反対せずに快く送りだしてほしいし、復帰する時にも快く迎え入れていただきたいと思います。
育休取得で人員が減ると自分のチームのパフォーマンスは下がりますが、もっと大きな視点で見たら、パートナーが助かることでパートナーが働く会社のパフォーマンスは上がるかもしれませんし、母子ともに健やかに過ごすことができたら国力が上がることにもつながります。近視眼的な視点ではなく、マクロな視点で見てもらえたらいいなと思っています。
【シカゴリラさんが立ち上げたコミュニティ】
パパ育コミュ
パパたちが”いつでもどこでも”パパッと集えるオンラインコミュニティ
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