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誰もが起業できる。起業のスモールステップとは?

一新塾講師の藤村靖之氏が提唱する『月3万円ビジネス』

面白そうと思う人。
たった3万円と思う人。

「今まではそうでしたが、文明が繁栄している時には、必ず分業化が進みます。社会が安定化していれば、一つのことに集中した方が楽だし、効率的だから。

でも、現在のような文明の転換期には、一つの仕事では稼ぐことが出来なくなって、一人の人が複数の正業をかけもちしなければならなくなります。

複業は時代の必然なんですね。
『月3万円ビジネス』は、そんな複業のモデルです」


と藤村靖之さんの話は始まった。

「従来の”競争に打ち勝つ”ビジネスとは大局にあるのが、月3万円ビジネス。人や社会が幸せになれることをテーマにして、一つの仕事で月に3万円だけ稼ぐ。
それに、月3万円ビジネスのテーマは無数にあるんです。なぜなら、社会には幸せを阻む問題があふれていますからね。人や社会が困っている問題を解決することを仕事にすればいいんです。」

藤村さんの著書の『月3万円ビジネス」には、「卵を一日に20個売るビジネス」「バッテリーをリフレッシュするビジネス」などのアイデアや「オーガニック・マルシェ」「シェアするマタニティウェア」などの実例が紹介されている。


「身の回りの人間関係やモノを最大限利用して、初期投資はなくし借金はゼロにする。また家賃などの固定費もゼロにすることで起業をノーリスクにするのだ。

月3万円ビジネスの極意だが、難しい点でもある。
ノーリスクなら、失うものはない。これが従来のソーシャルビジネス、ベンチャービジネスなどの起業と違う点です。
競争から離れたところにあるビジネス。奪い合わないで分かち合うビジネスなんですね。
たとえば、その仕事で月6万円稼いでしまったら、その仕事の月の3万円分の仕事は友達に分けていく。
一つの仕事を分け合い、時間を増やしていくんです。
さらに、月3万円ビジネスが支出が少ない生活スタイルとセットになれば、新しい生き方が出来る。
「日本人は世界で一番、自分では何もできない人間になりました。
都市の生活では、衣食住などすべてを他者に依存していて、その支出に見合った収入を得るために心身をすり減らして働かなければなりません。
ほぼ週休二日で月30~40万円も稼いでいても支出が多く、貯金はゼロ。自分では何も作れず、すべてお金を払って買う。
ストレスが大きく、人間関係は悪くなるばかりです」

そこで、藤村さんは、月3万円ビジネスのこんなモデルを提案する。


「一つのビジネスに賭ける日数は2日くらいにする。月3万円ビジネスを10個組合わせ、実働20日で30万円の収入も夢ではない。
ただ、僕のおすすめは3つです。週休6日で、9万円稼ぐ。残りの時間は自給を愉しみます。自給が愉しければ、娯楽もあまり必要なくなる。
こうして支出が減ってゆきます。
しかし、自給のやりすぎはダメ。自給は愉しめないと継続できないともいう。自給するには、技も必要ですから。
トレーニングもしなければなりません。もし家をセルフビルドするとして、お金がないから見た目はどうでもいいというのは、
多田の貧しさです。それを、たとえば、廃材を活かして、新築よりおしゃれなデザインの家を建てる。そうなれば文化ですよね。
セルフビルド仲間をが遠隔地からはせ参じ、お互いの家の建築を手伝い合うスタイルもいい。
顔も知らない遠隔地の同好の士が現場で助け合うことで、友情が生まれ仲間になる。人間関係も豊かになる」。

「収入を減らして短時間で稼げば、自由な時間が増えます。その時間を使って自給率を高めることができ、支出を減らすことが出来る。
自給コストはマーケットで買う価格の30パーセント以下に抑えることを目指してほしいです。週休6日で、貯金と仲間が増え続け、しかも
ストレスが全然たまらない。そんなゴールにたどり着けば素敵ですね」

こんな暮しを実現するには、場所選びも重要だ。
藤村さんは、奥深い田舎、中都会に隣接している中田舎が最適だと言う。


「都会から少し稼がせてもらうようなしたたかさが必要ですね。中田舎に住み、できることはなるべく自分たちでやり、支出を減らす。収入は中都会で稼ぐ。そうすれば、収入は都会型、支出は田舎型という理想的な形になります」

藤村さんが講演などで、月3万円ビジネスの提案をすると、素直に納得する若者が多い一方で、「けしからん、仕事は甘いものではない。日本経済が縮小してしまう」と40代以上のオジさん世代は手厳しく反発するという。
「競争が血となり肉となっている世代ですから」と藤村さんは苦笑する。


「しかし現実は、日本政府は借金を重ね、見かけ上GDPの成長を維持していますが、この国の経済もエネルギーも食料も破綻は時間の問題、今の繁栄は幻のようなもの。その富と地位にしがみついていれば、破綻後の人生は暗い。実際、都会の恵まれた仕事を捨てて地方に移住する人も出始めています。3.11をきっかけに、今までなんとなくそう思っていた人、いつかは自分のライフスタイルを変えなくてはと思っていた人が、確信を持ったのではないでしょうか」

一新塾の塾生も3.11以降、コロナ禍以降に、ライフスタイルを変えて、田舎暮らしを始めた人や故郷に戻った人も少なくありません。

「今の生活を変えることで失うものが大きい人にとって、今の生活を変える決断をするには勇気が必要かもしれない。
しかし、若者はどうだろうか。都会で立身出世を夢見る若者は、もはや少数派です。多くの若い人が都会に働きに出て、都会から離れない一番大きな理由は、地方に仕事がないからです。安定した地位も名誉もまだ築いていない。多くの若者にとって『月3万円ビジネス』を始める勇気はいらないと思います」

先日、藤村さんは韓国の大学から招かれて、「月3万円ビジネスワークショップ」を開いた。そこで、一人の大学生が「自分にもできるのだろうか?」と質問したという。それに対して、藤村さんはこう答えた。


「君には3つ足りないものがある。仲間、技術、困っている誰かを幸せにするテーマの3つだ」。しかし、「これらが欠如しているのであれば、月に5日間社会活動をやりなさい」ともアドバイスした。「そうすれば仲間が出来る。そして、どこで誰が困っているかがわかり、テーマが生まれる。そして、仲間から教えてもらうことで技術が生まれます」

「今までのビジネスは、世界中の人が市場を拡大して専有しようとしてきた。その先には争いしかないでしょう。商品やサービスをめぐって出来るのは、上下の垂直関係。経済が大きくなればなるほど、人々の中が悪くなって、平和から外れてしまう。そうではなくて、ともに生産することで、人と仲良くなり、人に対する優しさが培われます。人間関係が水平関係になり、世の中が平和になるというビジネスがあってもいいのではないでしょうか」

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