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在職老齢年金と社会保険加入についての私見

②65歳以降の在職老齢年金

在職老齢年金は「二つの年齢に区切られている」と書きました・・
前回は65歳未満(60歳〜64歳)の在職老齢年金のお話をしましたが、
今回は、もう一つの在職老齢年金「65歳以降」について触れたいと思います

65歳未満との一番の大きな違いは、1階部分である「老齢基礎年金は在職老齢年金の対象とならない」という事です。

一定の報酬・賞与のもとで年金が減額・停止になる対象は「老齢厚生年金」だけです。(加給年金は対象となりません)制度の詳細はこちらでご確認ください。

65歳以後の在職老齢年金の計算方法(日本年金機構HP)

65歳未満の場合は、年金減額の基準は28万円(年金月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円を超えると、減額の対象となる・・)でしたが、65歳以降は47万円です。(65歳未満も2022年4月から47万円に引き上げられる事は触れた通りです)

つまり65歳以降は「年金減額・停止される枠が相対的に小さい」と言えるかも知れません。老齢基礎年金は「厚生年金保険」に加入していない方にも給付される訳です。働く事(厚生年金保険に加入する事)で減額・停止される対象から当然、外される事となるわけです。

2022年(令和2年4月)からの法改正

その中で65歳以降の老齢厚生年金について、特筆すべき法改正も予定されています。やはり2022年4月施行です。その内容は・・

現在の制度下で65歳以上で厚生年金保険に加入しながら働いていた場合、その納めた保険料が反映される公的年金額が改定されるタイミングは退職時(資格喪失時)・65歳・70歳の三通りです。

今回の法改正では、65歳以降に納めた厚生年金保険料による年金額を「翌年(10月分から)反映させる」という形に変わります。つまり、納めた保険料分の年金増を毎年、感じられる事となる訳です。これが、働く事のモチベーションに繋がると考えられていると思います。それは、そうですね。今働いて納める保険料が年金に反映されるのが3年や4年先よりも・・・早い方が良いに決まっている。

※)在職老齢年金の基準にかかっていなかった人が、年金額改定によって「翌年から在職老齢年金の対象となる」という事も想定されない事もないのですが・・

再びの私見

65歳未満の在職老齢年金の記事を書いた際に、私はこういった事を書いたと思います。企業は、高齢労働者の報酬を年金額も加えた総収入と捉え「低く抑える制度として悪用している」

一方で高齢労働者も「在職老齢年金にかからない報酬額の設定」「社会保険制度に加入しない(できない)雇用契約を求める」つまり、在職老齢年金制度の適用にならないように「働き方を調整する」という考え方です。
被扶養者の「103万円の壁」「130万円の壁」といった「節税?」「節社会保険料?」のために働き方を調整する事と同じ考え方かも知れません。

良いか悪いか?ではなく「どのように働くのか?」といった考え方が大切だと思うのです。社会保険制度の適用要件(厚生年金保険の適用拡大を含む)が平成28年(2016年)に拡大された際、社会保険の非加入のために働き方を調整した人は少なかったというデータもあります。

社会保険料控除されず(被扶養者となり)「手取り収入を多くする」という考え方を否定する気などございません。
ただ、自らが社会保険に加入する事でのメリットをもう一度、考えてみても良いのではないでしょうか?という事です(続く)





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