Photo by snafu_2020 王友俳壇 (王友第十號) 38 一錢亭文庫 / 菊池 與志夫 2022年9月5日 12:33 本 社 菊 池 一 錢 亭松 の 根 に 酒 注 ぎ け り 今 朝 の 霜春 麗 ら 釣 り 落 し た る 魚 の 音舟 べ り に た ゆ た ふ 波 や 春 麗 ら伊 豆 の 湯 の 厠 の 窓 の 小 梅 か な (「王友」第十號 昭和十年六月二十日發行 より) 句 境 管 見 (十號王友俳壇瞥見) 十 條 小 沼 九 人 像 {前略} 一錢亭氏の、 春麗ら釣り落したる魚の音 次の「船べり」の句と共に、よくのんびりとした春の日の情景は、現されて居りますが、然し二句共「春」の字は不要と想ひます。「麗や」又は「麗に」で充分だと想ひます。「今朝の霜」の「松の根に酒注ぎけり」は、私共小供の時分何の事はなく、松に酒をやると勢ひよくなると云ふ觀念があつて、永く神棚にあつた御酒とか、古くなつた酒などはよく庭の松の根にやつたものであります。この酒はどう云ふ酒であらうか。それが何の爲めに注いだのかと云ふ事を、詮捜する必要はない、しかも印象的に霜の下りた土を踏んで、庭の松の根に酒を注いで居る、作者の姿が見えて賴母しいのであります。「梅」の句は上五を「伊豆の湯の」と、說明に費ひやした事により、この句にゆとりを失はしめた結果となりました。 {後略}「王友」第十一號 昭和十年十二月三十日發行より #俳句 #旧王子製紙 #王友 #昭和十年 紙の博物館 図書室 所蔵 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #俳句 #旧王子製紙 #王友 #昭和十年 38