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利害関係を伏せた情報発信はプロパガンダでは?

まず最初に、私はこの記事を書くにあたって、特にイベルメクチンの関係者からお金をもらっているわけではありません。医療に関することで、何の利害関係もないことを宣言いたします・・・といったところで、本題に入ります。

新型コロナウイルスは、文字通り多くの人々の命がかかった問題です。だからこそ、広く開かれた議論が大切です。多くの人々の命を救うためにも、言論に携わる人々には、真剣な議論を望みたいところです。

2021年4月28日の読売新聞オンラインに、イベルメクチンに好意的な記事が掲載されました。

イベルメクチンは、元々、駆虫薬として使われているもので、既に一年近く、新型コロナウイルスへの有効性が検討されてきた薬です。日本では、北里大学を中心に検証が行われています。しかし、大手製薬メーカーはワクチン偏向で動いているため、なかなか議論が進まずにいる状況にあります。

今回の読売の記事では、以下の通りまとめられています。

■治療薬開発とワクチン接種にはまだ時間がかかる。医療経済学の観点からも薬価が安く副作用がほとんどないイベルメクチンを使用するべきとの声は強く、その採否は世界的な議論になっている。
■日本は、イベルメクチンのCOVID-19治療への使用を医師・患者の合意を条件に認めているが、積極的に承認する意向は見えない。率先して薬の効果を確認する取り組みを進めるべきだ。
※読売新聞オンライン「イベルメクチンはコロナ治療に有効か無効か 世界的論争の決着に日本は率先して取り組め」2021年4月28日より引用

新型コロナはあえて撲滅せず」という記事にも書きましたが、大手製薬会社は、ワクチン開発には熱心なものの、安価で副作用が少なく効果の望める薬には無関心のようです。イベルメクチンを製造しているメルク社は、4億2500万ドルでOncoImmune社を買収し、米国政府から先行開発、製造、調達のために3億5600万ドルの支援を受けています。つまり、同社は新型コロナの新しい治療薬を製造しなければならないという深刻な経済的プレッシャーを抱えているわけです。

しかし、こうしたワクチン偏向の動きは製薬会社だけでなく、マスコミや行政にもみられます。マスコミと行政は、これまでイベルメクチンには極力触れないようにしています。とにかくワクチン関連の情報を積極的に流し、いかにも「ワクチンがあれば騒動が収まる」ような説明を繰り返してきました。

また、イベルメクチンを批判する記事もあります。

コロナから国民を本当に守りたいのならば、イベルメクチンは今、緊急承認する状況にない。イベルメクチンのコロナに対する効果は未だ不明であり、拙速な使用は副作用による不利益を招きかねないからだ。
※論座「日本のイベルメクチン狂騒曲に見る危険性」2021年04月05日より引用

いろいろツッコミたいところもありますが、一旦、ここでは流しておきます。今回問題にしたいのは、記事の内容ではありません。

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問題としたいのは、この記事の執筆者が、「武田薬品工業」と雇用関係があるにも関わらず、掲載された記事には、それが伏せられて「家庭医療専門医・公衆衛生学修士」とだけなっていることです。何でもないように思われるかもしれませんが、言論の世界において、これは非常に大切なことです。開かれた言論は大切ですが、それがフェアに行われるためには、利害関係を明確にしておく必要があります。

ここで、イベルメクチンの研究を進めている人々の動画を2つ紹介したいと思います。

2020年12月、イベルメクチンを推奨するFLCCCアライアンスの記者会見。冒頭で、自分たちがこれから話す薬(イベルメクチン)について、いかなる利害関係もないと宣言しています。そのうえで、イベルメクチンの有効性について語っています。

こちらの動画は、アメリカの上院聴聞会でのFLCCCアライアンス・コリー博士の発言です(Youtube上では不可解な削除がされました)。この動画でも、冒頭でコリー博士は「私は個人として発言しているのではありません。私は、自分が所属する組織を代表して発言しています」と自らの立場を明確にしています。

利害関係というのは誰にでもあるものです。生きている以上、いろんな繋がりや利害関係があって当たり前です。しかし問題なのは、それを伏せて情報発信をすることです。そうされることで、情報の受け手は知らぬ間に特定の方向に誘導されてしまいます。そういう危険性があるからこそ、広告記事には「広告」と明記されているわけです。いわば、そうした危険性を伏せたままの情報発信や記事は、プロパガンダの可能性があるともいえます。

テレビで連日、コロナワクチンの有効性についてコメントをする医師たち。ワクチン接種を待つ視聴者にとって、専門家の発言は判断を左右する重要な情報だが、気になるデータが存在する。
※NEWSポストセブン「ワクチン会社から謝礼を受け取っていた番組コメンテーター医師の実名」2021年4月26日より引用

テレビに限らず、ネットを含めたあらゆるところでの真剣な議論を望みたいものです。しかし、現実としては、それを望めそうにはありません。私たちは、利害関係が伏せられたプロパガンダが、あちこちに潜んでいると見た方がよいですし、それに注意する必要があるでしょう。

そして繰り返しですが、私はこの記事を書くにあたって、何の利害関係もありませんのであしからず・・・。

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