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分からなければ「不明」に分類

ふと、とある会社で声をかけられました

「ツイッターみつけました。私も目覚めている側です!」

わー!?ま、たしかに実名でやっていますし、そりゃみつかりますわね?

いろいろと思うところもあるようで、短い時間のなかで、ギュッと詰まった情報交換をさせてもらいました。

そのなかで気になったのが、イベルメクチンの話です。

「イベルメクチン、不妊になるんですよね?」

へ?わけが分からなかったので、ちょっとだけ調べてみました。このあたりの情報でしょうか。

ナイジェリアの3つの大学の共同研究で、
イベルメクチンには85%の確率で精子機能障害になる後遺症があると判明。
新型コロナに有効というデマのせいで、
今でもいろんな国でイベルメクチンが投与されていますが、
イベルメクチンに新型コロナを治す作用がないことは、偽薬対照実験で判明しています。
※雑学まとめブログ「イベルメクチンは85%の確率で精子機能障害になる」2021年9月9日より引用

不妊というか、精子の機能障害ということのようです。この記事には、参照記事のリンクが張ってあったので、そちらも確認してみました。

編集部注:2011年にナイジェリアで行われたイベルメクチンの研究で使用された科学的手法の有効性と正確性に対する視聴者の懸念を受けて、元の出版局であるKTSMは以下のように訂正しました。

for the record: KTSMが掲載したイベルメクチンと男性の生殖に関する研究に関する記事は、当サイトから削除されました。

この記事は、科学的な調査方法、査読付きの報告書の信憑性、およびFDA(米国食品医薬品局)による「不妊はイベルメクチンの副作用として知られていない」という公式声明などの問題があり、編集部で削除を決定しました。
※WFLA.com「Ivermectin infertility story correction: FDA rejects 2011 Nigeria study」より引用(機械翻訳)

元々、9月8日に記事がアップされたようですが、翌日には削除された模様です。みる限り「ガセネタ」なのでしょう。読者からも、総ツッコみが入ったように見受けられます。

今は、情報戦です。日々飛び交う情報の中には、「ガセネタ」もありますし、本物の情報の中に偽物を混ぜて拡散させるような、巧妙な情報工作も考えられます。

私たちは、受け取った情報に対して、それが「本物」なのか、「ガセネタ」なのか、はたまた判断のつかない「不明」なものかについて、きちんと仕分けができるようになっておく必要があるかと思います。

例えば、上掲のブログ記事の場合、「イベルメクチンに新型コロナを治す作用がないことは、偽薬対照実験で判明しています」と書かれている時点で、かなり疑わしいものと考えられます。

イベルメクチンは、インドなどで大規模に投与が行われており、統計データがあるにもかかわらず、それとは真逆の結論を取り上げている時点で、その信ぴょう性は疑われなければなりません。

インドではほとんどの州で投与が進んでいる状況です。中には投与を見送っている州もあり、5月以降、投与を見送ったタミル・ナードゥ州では感染者数が増加を続ける一方、投与をしているゴア州では感染者数が減少しています。感染状況に大きな差が生まれているというデータが出てきました。
 実はインドだけではなく、ペルーでも投与に踏み切った州は効果が出ています。イベルメクチンが投与された8つの州と、投与が遅れたリマ州とでは、発生数と死亡者数に歴然とした差があります(グラフ参照)。投与後は、新規感染者が10分の1から15分の1まで減少したのです。その後に大統領が変わって、ペルーでは投与しない方針に転じましたが、再び感染者数が急増し、元の木阿弥になってしまいました。
※AERA dot「日本発「イベルメクチン」 インドがコロナ治療で感染者数減もWHO「反対」のナゼ」2021年5月26日より引用

仮に「イベルメクチンに作用がない」と言い切るのであれば、インドなどでみられた統計データについての問題点が指摘されると、説得力は増すかと思います。

しかし、それは難しそうです。

ショッキングな情報があったとしても、まずは一旦、「不明」に分類しておくくらいがちょうどいいかもしれません。

出てくる情報を受け入れていくだけでは、よりショッキングな情報に流されがちになり、本質を見失うことにもなりかねません。

「わー、そうなんだー!」
「えー、そうじゃなくて、そういうことー!?」
「うそー、逆にそれもあるわけー?」

情報を集めていると、それはもういろんなものが出てきます。

仮に偽情報を「本物」として扱い、それを拡散してしまったりすると、仮にそれが「ガセネタ」であることがはっきりした時、「やっぱり陰謀論者はいい加減なことを言う」というレッテル張りの口実を与えてしまうことになります。そうなると、いろいろともったいないことにもなります。

目の前の情報にいちいち振り回されず、まず分からないものは、一旦「不明」に分類しましょう。

「不明」に分類すること自体、けっして悪いことではありません。「不明」に分類された情報は、機械で言えば、部品ネジみたいなものです。

そこから、自分なりの分析を加えて、それが真実らしいという結論になれば、それはそのまま、真実像を組み立てるための部品・ネジとして使えばいいのです。全然、無駄にはなりません

逆に、「ガセネタ」を真実像を組み立てるための部品・ネジとして使ってしまったら、せっかくの真実像がまがい物になってしまいます。

不明」なものは、その中身がはっきりするまで使わず、「部品箱」に入れておけばいいと思います。貯めてある部品が多ければ多いほど、真実像は作りやすいです。「不明」なものが多ければ多いほど、情報の組み立ては簡単になります。「不明」な情報も立派な財産なのです。

情報収集をするにあたっては、それくらいの心づもりで整理をしていってはどうかと思います。

最近、よく言われる「情報リテラシー」の観点からして、もっと多角的な情報に基づいて、情報の「確からしさ」を検証する必要があります。
これがデマだと決めつけるわけではありません。一旦、そういう情報があるということは分かりました。ただ、この情報の背景については、もっと細かくみていかないと何とも言えません。今後、これを裏付ける情報があったら、拾っていきたいと思います。
※「情報リテラシーを大切にしよう」より引用

本来、マスメディアが、そのあたりの整理をしてくれるといいのですが、残念ながら、今のマスメディアにそうした機能は期待できません

自分で見極めていくしかないですね。


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