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落ち着いて話せるとよいね

私が大学で書いた卒業論文は、「日本の戦後補償問題」でした。

私が、大学を卒業したのは1996年です。当時、デマ太郎で有名な河野太郎氏のお父上である河野洋平氏による「河野談話」などもあり、従軍慰安婦問題が盛り上がっていた時期でした。

学部生だった私は、韓国人に会うような機会があると、「なんだか申し訳ないな」という後ろめたさがありました。「日本は酷いことをした」、「日本は謝罪しないといけないんだ」、「人道に対する罪ってなんだ?」・・・何やらいろんなことを考えてしまい、卒業論文に「日本の戦後補償問題」を選んだのです。

私の指導教授は、中国政治の専門家で、キャンパス内では東アジア研究に関心がある学生を集めていた小島朋之先生でした。

論文に着手する前、小島先生には一通り、私が書きたいと思っている方向性について説明をしました。すると先生は、ニコッと笑って「よく調べなさい」とだけおっしゃいました。

その後、いろいろと調べました。調べていくうちに、自虐史観に基づいていた私の戦後補償問題に対する見方は、ガラガラと崩れ去ってしまい、思っていたのとは真逆の結論になっていました。

先生は、とくに方向性についての指導はされませんでしたが、結局、そういうことをおっしゃりたかったんだと思います。

それからずいぶんと月日が経ちますが、韓国社会には少し違う風が吹いているのでしょうか。

慰安婦運動は言うまでもない。1992年1月8日に始まった水曜集会以降、最も情熱的に活動して自身の慰安婦の経歴を全世界に伝え、米国やフランス議会、国連など天下を周遊して、自身が日本軍慰安婦被害者であると涙を流して無念を訴えた。しかし、誰もが日本軍に連行されて性奴隷生活をした可哀想な年寄りだと認識しているイ・ヨンスだが、はたして日本軍慰安婦であり日本軍慰安婦被害者が正しいのか、私たちは冷静に問わなければならない

メディアウォッチ「”ニセ慰安婦イ・ヨンスを拘束しろ”、反日は精神病だ」2021年12月1日
(声明文)ニセ慰安婦イ・ヨンスを拘束しろ

慰安婦の問題について、韓国国内で異論が呈されているようです。このような動きは、これまでほとんどなかったように思います。

声明文には、このような内容も含まれています。

彼らが1991年8月14日、日本軍に連行されていないキムハクスンを日本軍慰安婦被害者に仕立て上げ、記者の前に立たせたことから全ての偽りは始まった。その後、数多くの女性が日本軍の犠牲であるかように先を争って申告をし、挺対協と政府はこれらに対して慰安婦被害者といいながら、世界中に知らせることに尽力していた。

ずいぶんはっきりと、慰安婦問題の「嘘」を告発しているように思います。1991年に端を発しているとすれば、それから30年の歳月が経っているわけです。

ようやくここまできたのか、という思いがします。

2019年、「反日種族主義」という書籍が発刊され、ベストセラーになったのも、私にとっては少し驚きでした。

 簡単におさらいすると、こんな内容だ。李氏は「嘘の国」と題し、嘘をつく国民、嘘をつく政治、嘘つきの学問、嘘の裁判、と韓国を徹底的に批判している。そうした嘘について寛大な社会の底辺を流れているのは、「物質主義」だとしている。その根本にあるのは韓国に長い歴史を持つシャーマニズムだという。
 「シャーマニズムの世界には善と悪を審判する絶対者、神は存在しません。シャーマニズムの現実は丸裸の物質主義と肉体主義です。シャーマニズムの集団は種族や部族です。種族は隣人を悪の種族とみなします」
 こうして日本に対して客観的な議論が許容されない土壌が形成されてきた。 「韓国の民族はそれ自体で一つの集団であり、一つの権威であり、一つの身分です。そのため、むしろ種族と言ったほうが適切です」。それゆえ、同書のタイトルは「反日民族主義」ではなく、「反日種族主義」となっていた。

デイリーブックウォッチ「事実に基づいて韓国の「嘘」を実証した韓国の学者魂」
2020年11月4日

「反日種族主義」では、韓国全体を「嘘の国」と断じ、その問題を徹底的に論じています。

韓国人による韓国批判というのは、とても大変なことだと思います。それも殊更、日本に関係することとなると、韓国社会では生き証人のご老人にまで鉄槌が下るほどです。

韓国で、95歳の韓国人男性日本統治時代を「肯定」する発言をしたところ、居合わせた男の怒りを買い、殴られて死亡するという事件が起こった。
「愛国心ゆえ」の犯行だと男は供述、韓国ネットユーザーなどからも擁護の声が上がる。あまりにも惨い事件に、日本では驚きが広がっている。

J-Castニュース
「95歳男「日本統治よかった」発言で殴り殺される
韓国ネットでは「死んで当然」「正義の審判だ」」
2013年9月13日

とてもではないですが、真実を追究し、真剣に歴史をみつめていくような作業ができる社会であるとは思えません

しかし、それが少し変わってきたかも?と思わせてくれる報道だと感じます。

ただし、この問題の本質は、韓国社会にのみあるのではないと考えます。韓国だから、韓国人だから、韓国政府だから、という視点だけでなく、マスメディアの問題は外せません。そういう意味では、この問題は韓国に限ったものではないのです。

つまり、政府や報道機関の発表ばかりを鵜吞みにしてしまっては、無駄に感情が振り回されますし、我々民衆は扇動されるばかりとなってしまいます。

大切なことは、それらを鵜呑みにせず自分たちでもよく考えることです。それができれば、意図的な扇動にも振り回されることはありません。

両国のためにも、感情的にならず、落ち着いて話ができるようになれるといいですね。学生時分のことを思い出しつつ、あらためてそんなことを思うのでした。


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