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コメ作りの一年計画

来年からコメ作りを進めるにあたり、一年間どのように進めるべきか、いろいろ心配していただき、一通りの講義をしていただきました。こちらで教わった方法は、この地域で自然農に近いかたちでのコメ作りをするためのものです。

自分用の備忘録も兼ねて、ちょっとメモを残しておきます。

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■2月末から3月初
-のぎとり

 ・のぎとは、籾(もみ)に着いている毛のようなもの
 ・のぎが付いていると籾同士がくっついたりしてしまうので、取り除く
 ・のぎとりをして、籾をツルツルにする(のぎとりの機械もある)

-種籾選別
 ・塩水選を行う
  v 比重1.15の塩水を用意する(もち米や麦の場合は別の比重)
  v 塩水に沈んだを選んで種籾にする
   →沈んだ方が中身が詰まっている
   →外側に病原菌がつくので、それらがいる可能性が低い
  v 選ばれた種籾はすぐに水で洗う
 ・温湯消毒
  v お湯で種籾の消毒を行う
   ※慣行農法では、種子消毒を行う
  v 一反分(約4kg)の種籾の温湯消毒だったら、キッチンでもできる
   ※一反分の種籾:200g(苗箱)×15枚だと足りないくらいの分量
  v 温湯消毒は60度10分(よくかき回しながら、キッカリでやる)
   ※58度とかだと失敗するので、キッカリ守る必要がある
  v 温度消毒が終わったら、すぐに冷水で冷やす
   →すぐに冷水で冷やせるように段取りしておく必要がある

-ビニールハウスの整備
 ・ 苗を作るのに使うビニールハウスを用意しておく

-種籾を水に漬けておく
 ・ 選別された種籾は水に漬けておく
  v 種籾はアブシジン酸の働きで一斉には芽が出ないようになっている
  v 水に漬けておくとアブシジン酸が溶けてくれる
   →一斉に芽を出してくれるようになる
  v 風呂釜やドラム缶に水を張って、ネットに入れた種籾を漬ける
 ・水に漬けるときの注意
  v 4~5日に1回は水を換える
  v (風呂釜やドラム缶には)蓋をして日陰を作る
  v 酸素ポンプで酸素をを送る
   ※種籾は呼吸するので、あまりたくさん入れると芽が出なくなる
  v 水温累積100度(例:水温3度で33日くらい)まで漬ける
   →終わったら日陰に干しておく

■4月初~中
-種まき

 ・土作り
  ①苗箱の下に敷く土
   v 花巻酵素からコメ用の肥料を購入し、稲作用の焼土を混ぜる
    ※比率が決まっているので、それに合わせて混ぜる
  ②「①」の上にタネをまく
   v 後工程で、田んぼに苗を植えるとき手撒き機械撒きの場合で違う
    →手植えの場合:苗箱1箱に80gくらいを撒く
    →機械植えの場合:苗箱1箱に200g(~240g)くらいを撒く
     ※田植え機に苗を掴ませるために、敢えて密集させる
  ③まいたタネの上に 稲作用の焼土を被せる
   v 肥料を入れすぎると、カビが生えたりするし無駄になる

-苗の育て方
 ・ビニールハウスやトンネルのなかで育てる
  v ネズミが発生することがある
  v トンネルの場合は朝開けて、夜閉める
  v 最高気温と最低気温を記録する温度計がある
  v 温度が高くなって焼けてしまうことがある

-プール育苗
 ・葉が数枚出てきたらプール育苗に移る
 ・周りに板を立ててブルーシートとビニールプールを作る
 ・水を入れると、イネが水面より上に伸びようとする習性を使う
 ・第一葉とそこまでの茎までの長さが同じになるとよい
 ・暖かすぎると上に伸びすぎる
  v 徒長を予防のためにペンキのコロコロで苗を倒す

-田起こし
 ・水を入れる前にざっくり耕す
 ・前の年に秋起こしをしておけば必要ない

■5月中旬
-あら代、本代

 ・水を入れて耕す
 ・トラクター(田んぼ用のものは20馬力以上、クボタ)
 ・あら代の一週間から二週間後に本代
 ・本代から田植えまでの間が3日
  v 田植えの日程を逆算して本代を行う

■5月末~6月初
-田植え

 ・田植え機(クボタ)を使う
 ・無農薬で成長が遅いので、6月5日くらいまでには田植えをしたい
 ・一反で苗箱を14~16箱程度使用する

■6月
-除草

 ・田植え4日後からチェーン除草(イネは活着しているから大丈夫)
  v チェーン除草は、水面に出る前の雑草を刈ることができる
 ・チェーン除草をしっかりやっておくとよい
  v 「草を見ずして除草する」という言葉があるくらい大事
   ※水面に出てきてからの除草では遅い
 ・1~2週間やっておくとあとが全然違う
 ・一般的には除草剤を使うが、それをしないからこそ除草は徹底する
  v イネは分決させるといいが、雑草が生えているとうまく分決しない
 ・除草の種類には、チェーン除草、田押し車、手除草などがある
  v エンジン付きの除草機は丸山や共立がよい

■7月10日前後(中旬)
-土用干し

 ・この地域独特の決まり事で、水路の水が止まる
  v 化成肥料を使っている人たち向けの方法
  v 土を固めるためのものであるが、これによりイネの分決が止まる

■8月、9月
あぜの草刈り
 ・自然農的には、益虫を残すためにも、根こそぎ草刈りはしない
 ・一応、放置状態にならない程度に草刈りをする

■10月
-稲刈り

 ・バインダーを使う場合(クボタ)
  v イネを刈ったらはざ掛けを行う
   →はざ掛け(天日干し)をして、水分量を落とす
   →最近は、人手不足ではざ掛けしない農家も多い
   →はざ掛けで水分量を15%くらいにまで落とす
 ・コンバインを使う場合
  v コンバインは、稲刈りから脱穀までを一気にしてしまう
  v コンバインを使う場合ははざ掛けをしない乾燥機が必要
  v コンバインは乾燥機もセットでないと持ってないといけない
  v 農協に出してしまえば、まとめて乾燥機にかけてくれる

-脱穀
・ハーベスタ(脱穀機)を使う

-もみすり
・もみすり機を使う
コイン精米などもあるにあるが、味が変わってしまうのでお薦めしない。

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かなり長くなりましたが、こんな感じです。

さすがに稲作はいろいろ大変そうですが、やはりこのなかでも一番厄介そうなのが「苗づくり」のような気がします。

実際、今では大部分の農家では、他所から苗を買ってきて稲作をしていると聞きました。それらを自分でやろうというわけですから、そりゃ大変じゃないわけがありません

けれども、できる限り循環型の農業を目指したいと考える自分としては、当然のごとく「苗づくり」からしていく必要があると思っています。

来年早々、いろいろ準備がありそうです。頑張りますっ!

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