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イーロン・マスクを偉大なる愛おしい次の魔王にしようと思った。

「山本さんはPonanzaおじさんにはなりたくなかったんですね」

TURING共同創業者の青木さんにそう言われた時、ぎくりとしたが正直そのとおりだった。 スタートアップをはじめた最初の個人的理由はすべてそこに集約されていた。

2017年、私が作った将棋プログラムが名人を破った。10年間の結実がそこにはあった。そして魔王を倒した勇者の後日談が急速に物語性を失うように、人生の色合いの急速な消失を招いた。

それも悪くないと思ったが、しかし人生は長い。すべてを捧げたと思ったが、結局は私の身体は相変わらず元気よく動くし、頭だってまだ機能する。正直困った。

漫画の主人公たちは楽だよな、次から次に魔王が勝手に来てくれるから。現実世界の魔王不足は極めて深刻な問題だ。

Multiplanetary という単語を知ったのはそのあたりだった。人類をMultiplanetary species つまりは他惑星種族にするのが spaceX の究極の使命らしい。そうすることで人類の絶滅抵抗性を上げることができるらしい。

なんだそりゃと思った。地球が核戦争で滅んで、火星に1万人の街だけが残っていたとしても文明再興の可能性はほとんどないだろう。彼一流の魔王のでっちあげだと思ったけど、それでも地球でくだを巻いているよりはいいか。100万人の街なら結果が変わるかもしれない。

そこで私も彼を偉大なる愛おしい次の魔王にしようと思った。はじめてこの妄想を思いついた時は震えた。
彼我の戦力差はあまりにも大きい。しかし昔と違ってできることもちょっとは増えている。夢を束ねて、メンバーを集め、そして資金を獲得すれば届きうるはずだ。将来はダイソン球を作るっていうのも悪くない。

いつも思う。豊田喜一郎や本田宗一郎は自分たちの将来の勝ち筋をどれくらい考えていたのだろうか。あるいは創業直後のテスラは?どんな大きな恐竜も最初は卵だったはずだ。人生は長い、二度目の挑戦を歌おう。

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