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No,155.コロナストレスに強い人ってどんな人?

はじめに

政府は新型コロナウイルス対策として、特別措置法に基づく緊急事態宣言が発動し(2021年11月27日現在)、飲食店の時短営業や不要不急の外出自粛を要請してきた。

その防御策によって多くの人の生活は一変した。

「新しい生活様式」の実践例(出典:厚生労働省)👇

緊急事態対策については、人類が予期できないウイルス(コロナパンデミック)の猛威に対しての防御策であるが、対策については各領域の専門家の中でも意見の対立がるようだ。

また、地上波では連日連夜コロナ感染者数を報道していき、不安を煽っていったことは否めない。

このような状況下の中、人はどのようなストレスを感じていたのだろうか?ついてつらつらと書いてみる('◇')ゞ。

周りに左右されない力

世界的パンデミックによる混乱や、不安を煽る情報は間違いなくストレスだろう。

ストレスは個人の遺伝的背景や環境 、生活習慣 、性格特性などが左右されるが、パンデミックのような先行き不安こそ、自分で考え行動するといったことが重要だといえる。

このような自分で考え行動することを自己効力感という。

Bandura&Wood (1989)は、 自己効力感が高値であり、かつ内的統制的であるほど 、意欲的な目標設定や目標追求行動が期待されると述べている。その結果として健康維持へとつながっていくことは想定されだろう。

しかし、その背景には「自分の人生俺の力で切り開けるぜ」といった内的なものと「自分の力より結局は運や偶然なんだから成り行きに任せるのが一番じゃない?」といった外的なものとでは、行動を遂行し、結果まで道のりは違ってくるだろう。

Rotter(1966)によれば、結果期待とは、自己行動に対する強化の随伴性、すなわち強化が自身の支配下(Internal)にあるのか、外的な力(Extemal)によるのかによって行動の生起可能性が左右されるとし、この概念をLocus of Controlと定義した。

そこで、コロナストレスに対して内的統制感が強い人と外的統制感が強い人ではどちらがストレスを感じているのかを調べてみた。

方法

◉調査参加者

Googleフォームでアンケートを作成したのちネット調査をおこなった(n=30)。※100人は欲しかった・・・

◉調査内容

材料

① 「コロナ禍に伴いストレスをどの程度感じていますか?」について、「1=まったく感じなかった~5=とても感じた」の5件法で実施した。

② 全18項目からなるLOC尺度(鎌原ら,1982)を用いた。「1=そう思わない~4=そう思う」の4件法で実施した。

結果

コロナストレスを従属変数とし、Internal Control(内的統制)、 External Control(外的統制)を独立変数とした線形回帰分析にて抽出した(表1)

表1

キャプチャ

●内的統制感(Internal Control) (β=-.147,ns)

●外的統制感(External Control)(β=.394,p<.05)

コロナ禍において外的統制感が高い人ほどストレスを感じていないと判断予測した。この分析では15%を説明できることを示している。

考察

 Locus of Controlは、ある成果を自分自身の行動で生み出すことができる内的統制感と運や他の力のあるひとなど自分以外の存在によって生み出される外的統制感といった信念である。

先行研究では、内的統制感が高い人ほど学業や職業についてよい成果をあげたり、持続性や高い自尊心の持っているなどポジティブな結果が多く示されている(Cranadall、2013)。

しかし本研究の結果は、コロナパンデミックのような予期できない出来事については、外的統制感の高い人のはストレスを感じていないことが示された。

おわりに

コロナパンデミックのような、自分の力ではどうしようもない出来事については「運なのでどうしようもないこともあるでしょ?」みたいな開き直りもストレス緩和に寄与するってことなんだね~

最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)


参考文献

Banduraへ Wood R :Effect of perceived controhability and performance standards on seif−regulation of complex decisionmaking .JPersSoc Psychol,56 :805−14,1989.

鎌原雅彦・樋口一辰 ・清水直治(1982b)「Locus of Control尺度の作成と信 頼性、妥当性の検討」『教育心理学研究』30,302-307.

Crandall, Virginia C., and Beth W. Crandall. "Maternal and childhood behaviors as antecedents of internal-external control perceptions in young adulthood." Research with the locus of control construct: Developments and social problems (2013): 53-103.

鎌原雅彦・樋口一辰 ・清水直治(1982b)「Locus of Control尺度の作成と信 頼性、妥当性の検討」『教育心理学研究』30,302-307.

Rotter, J.B.( 1966) Generalized expectancies for internal versus external locus of control of reinforcement. Psychological Monographs, 80, 1-28.





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