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No,177.疑いの目で人を見る人について

他人を信じることより、常に疑いの目をもっている人っていますよね?

疑いをもって接しているということは、つまり他人を信用していない。

そもそもプライベートだとそんな人とは付き合わなければいいが、仕事関係なら付き合わざる得ない。非常に残念なことですが、諦めるしかないです。が、個人的には学ぶべきものもあるなと思っています。

そういった人の傾向についてつらつらと書いてみる。

特徴

(1)心配性で警戒心が非常に強い

ささいなことでも不安になって「大丈夫だろうか」と心配しているので、他人に対して強い警戒心を持っていて、表面上は普通に会話などをしていても心の底では疑念を抱いています。

(2) プライドが高く、基本的に人のことを見下しやすい

無意識に相手を見下していることにつながっています。「本当のことを言っているか分からない」などと思うのは、自分の方が上位に立っていて相手がちゃんとした人かを判断する立場にいる、という意識が働いているためです。プライドが高いので、自分から折れるという考えもありません。

(3)自分の事ばかり考えているため、相手もどうせ自己中だと勝手に決めつける

人を信用できない人は、他人に対して気遣いをしよう、できることがあったら助けてあげようという意識がとても薄いです。つまり利己的な人です。自分が相手にだまされないか、不利な立場に置かれないかを非常に気にします。「あの人は自分勝手なことばかり言うよね」などと発言し、自分のことは棚に上げて相手を強く非難することに力を注ぐには、自分のことばかり考えていて、損しないことに集中しているのです。

(4)他人にに対して、干渉したり束縛したりしがち

他人を信用できない結果、他人に対して過度に干渉したり、わがままを言ったりして束縛する傾向が強いです。

(5)すぐに勘ぐって、人の揚げ足ばかりを取ろうとする癖がある

信用していないからこそ、何か裏があるのではないだろうか?と疑う

(6) 過度な神経質で「大丈夫かな?」とずっと考える

仕事上のささいなミスやなど、普通の人だとほとんど気にしないことをいつまでも引きずります。つまり自分の言動に対して自信がなく、「あれで大丈夫だっただろうか」と考え込んでしまうのです。失敗したくないという思いが神経質に物事をとらえる原因である可能性が高いと言われている。

(出典:人を信用できない人の特徴8選|トラウマの原因を改善して治す方法とは)

心理的傾向

以上の特徴から少し心理学的に考察してみます。

自分の意見やアイデアはとても優れていて、誰よりも正しいと強く考えているため、他人の意見やアドバイスを聞いて参考にしようという気がほとんどありません。他人を尊重するよりも自分を大切にして守ることが優先順位として高く、自己愛が強すぎるがために人を信用できない原因になっている。

ダニングクルーガーや強迫神経症などの要因は考えられるが、自己愛が強すぎるといった視点から「自己愛性パーソナリティ障害」についての特徴を記述していきます。

自己愛性パーソナリティとは

ギリシャ神話に出てくるナルキッソスに由来し、その特徴として自己への過度な陶酔、誇大な空想、他者からの注目や賞賛の追求、権力・美への欲求などが挙げられている(増井・浦、 2018)。Raskin & Terry(1988)は、自己愛傾向は優越感、自己満足、権力、虚栄、自己顕示、特権意識、搾取性を特徴とすると述べている。

ナルキッソスって中学校の英語の教科書に出てきましたよね。つまり、自分自身の言葉や考えなどを素晴らしいものとして、自分自身に酔いしれ、周囲に賛美されたいという強い欲求から、権力を持ちたい人。それにより、自己顕示欲の塊で、見栄を張り、特権こそすべてと思っている人です。

こういった、自己愛性パーソナリティ傾向については多くの研究がある。

自己愛性パーソナリティは強い誠実性と神経症傾向と関連している(Paulhus、 Williams,、2002)。

小塩 (2005) は、自己愛性パーソナリティ傾向の高い者の中に対人ネガティブライフイベントを多く経験した際に抑うつ的な感情を抱きやすい。

対人関係や仕事上のストレッサーにさらされた結果、自己評価が一時的に低下し、抑うつ状態や感情コントロールの困難さを訴えて受診する者が多く見受けられ、臨床場面からも自己愛とストレスへの脆弱性との関連性が示唆される(小西ら、2008)。

まとめ

神経質で見栄っ張り。また権力志向であり特権を得ようと躍起になる人格である。

つまり権力や特権を得れば周囲から賛美される(自己愛)と思っているのだろう。しかし、権力があるからといって他者が認めるかどうかはひとそれぞれであり、人格とは別物である。

そして、ここまでの述べてことから、気付いた人はいるだろう。

自己愛性パーソナリティ障害の人は常に他人の評価を求めていることです。じつは自分に自信がない(不安)からこそ他人に評価を求める。

神話のように「水を飲もうと、水面を見ると、中に美しい少年がいた。もちろんそれはナルキッソス本人だった。ナルキッソスはひと目で恋に落ちた。そしてそのまま水の中の美少年から離れることができなくなり、やせ細って死んだ。また、水面に写った自分に口付けをしようとしてそのまま落ちて水死した」と、ならないように願います。

参考文献

小西瑞穂・山田尚登・ 佐藤豪 (2008)「 自己愛人格傾向についての素因–ストレスモデルによる検討」『 パーソナリティ研究』17(1) 29-38

増井啓太・浦光博(2018)「「ダーク」な人たちの適応戦略」『Japanese Psychological Review 2』61(3)330-343

Paulhus, D.L., & Williams,K.M.(2002).The Dark Triad of personality: Narcissism, Machiavellianism and psychopathy. Journal of Research in personality,36, 556-563.

Raskin, R., & Terry, H.(1988) A principal-components anslysis of the Narcissistic Personality. Inventory and further evidence of its construct validity. Journal of Personality and Social Psychology,54, 890-902.




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