1.1. 新築不動産投資に変えた10の理由

2015年頃から、中古物件が異様な高値で取引されるようになり、2016年から本格的に開発型投資にシフトしましたが、それには10の理由があります。
理由1. 取得価格を安くできる
不動産投資は、いい物件をいかに安く仕入れるかがポイントです。融資環境が良い時期は、中古は高止まりします。まず素地を仕入れないと何も始まらないので、売主をグリップすることを優先して、土地代はやむを得ませんが、建築費ならやり方次第で安くすることができます。

理由2. 借入期間が長く、ローンがつきやすい
スクラップアンドビルドの文化が根付いているからか、とにかく金融機関は新築が大好きです。評価も高く、融資期間も長くできます。RCの場合、仮に10年保有したとしても、残存年数は37年あります。ローン35年の残存年数としては十分です。
一方で、スルガ事件以降、法定耐用年数が短い築古物件は融資がつかなくなりました。地方案件は物件を買えない、売れない状態が続き、流動性が悪化しました。都心新築物件は融資がつきやすく、ニーズ拡大しています。
融資環境と物件価格は相対します。融資環境がいいときは当然、物件価格も上がります。しかし、物件価格が高いから買わないのでは、いつまでたっても買えません。個人投資家は融資環境がいいときに多少、無理してでも買うべきで、理由は取引実績がない人は融資環境が悪くなるとローンが組めないからです。融資が出るうちに銀行取引をはじめて、取引関係をつくっておくことが重要です。

理由3. 高い賃料を設定できる
中古物件に住む入居者の増賃はできても数%ですが、新築から賃料を高く設定できるというメリットがあります。特に都心の新築マンションはすぐ決まるからといって、安易に安い賃料を設定するのではなく、収入を最大化できる賃料でスイートスポットを見つけることが重要です。
賃料単価、利回りの相関関係でみると、坪単価170万に対して賃料次第で7%から9%まで利回りが上がります。
賃料坪単価1.0万→7.06%
賃料坪単価1.1万→ 7.76%(+70bps
賃料坪単価1.2万→8.47%(+70bps
賃料坪単価1.3万→9.18%(+70bps
理由4. 賃貸しやすい
日本の個人、法人問わず新築が大好きです。新築信仰は、都心の新築物件であれば、仲介会社への広告料を出さなくてもすぐに決まります。

理由5. 売却しやすい
売却しやすいというのは、2つの点から言えます。買う時の理由と同じで、新築大好きな金融機関は多少利回りが低くても融資を組んでくれます。再販するときも次の買主が買いやすくなります。もう一つは修繕の点です。銀行は築古物件の大規模修繕のタイミングを気にします。買った直後に大規模修繕をする必要があれば、キャッシュフローに大きく影響するからです。一般的な投資家はNOI=Net Operating Incomeで利回りを計算しますが、プロの世界ではNCF=Net Cash Flow(CAPEXを考慮したフリーキャッシュフロー)で物件評価をします。

理由6. メーカー保証で修繕できる
新築物件は、法律に基づき施工会社が10年保証する仕組みになっています。住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称 住宅品質確保法/品確法)により、引渡しから10年間の保証が事業者に義務付けられています。でも、万が一、事業者が倒産してしまい、その後に瑕疵(欠陥)が見つかったら、その解決策として“住宅瑕疵担保履行法”があります。この法律により事業者は【保険加入】または【保証金の供託】による資力確保が義務付けられています。仮に10年保有したとして、10年間使っていれば多少の修繕はかかるかもしれませんが、最新の設備であり、少なくともメーカー保証もあるので、当分の間は心配しなくても済みます。
理由7. 売却による開発利益を享受できる
不動産開発は、過去何十年も継続している確立されたビジネスモデルです。今ある大手デベロッパーの利益率、規模を見れば、それが証明しています。確かに、「完成までの金銭的負担」「施工会社の倒産リスク」が伴いますが、逆にこれらが障害になって、開発投資に参入できない投資家、ファンドは多くいます。大きな障害があるが故に、中古物件の利益とは比べられないほどの利益を享受できます。
理由8. 都心に物件を所有できる
都心の中古物件でキャッシュフローが潤沢に出る投資に見合う物件は存在しません。ボロボロで融資がつかないか、地方で人気がない物件くらいしかありません。しかし、開発型投資なら立地がよく自分が好きな場所を選ぶことができます。都心立地で、長期保有したいと考えるなら、開発型投資しかありません。
理由9. 企画、デザインで差別化できる
不動産投資において、デザインや見た目は極めて重要です。好みのデザインにできるのはもちろんのこと、投資においても、賃貸にしろ、売却にしろ、デザイン次第で差別化できます。好みだけでなく、時代の流れに合わせてデザインは変えていける点も、開発型投資しかできない特権です。バブル期の物件、10年前の物件、最新の物件のデザインを比較すると、かなり違います。売却するとしても、資産家や富裕層の好みや趣味に見合う、オシャレ、ステータスに見合う物件に仕上げられなければ、満足な金額では売却できません。
理由10. 用途を変更できる
新築のメリットとして、マンションやアパートだけでなく、店舗、オフィス、ホテルなど用途を自由に決められます。例えば、旅館業。既存マンションはまず賃貸人を追い出さない限り、用途を変えるのは難しく、旅館業登録できる既存物件はほとんどありません。一方、新築であれば、マンションからホテルに変えてバリューアップすることができます。用途変更により賃料が1.2〜1.5倍以上になることはザラで、それにより、不動産価値は爆発的に上がります。
リストアップしてみると、経済的なメリットだけでなく、リスクや手間、時間における負担は伴いますが、それらを考慮しても、やらない理由はありませんでした。区分や戸建てボロ再生がメインになってしまうといつまでもお金が貯まらず、いつまでも忙しいです。時間と労力を使って、現金不足の状態が続きます。最初はボロ物件で経験値を上げるのもいいと思いますが、必ず途中でレバレッジを使ってRCやS造マンションを買うことをお勧めします。

リストアップしてみると、これだけの理由がありました。経済的なメリットだけでなく、新しいモノを生み出すという行為が何より楽しいです。もちろん、リスクや手間、時間における負担は伴いますが、それらを考慮しても開発型投資をやらない理由はないでしょう。


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