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12.脊椎動物の背側と腹側 四肢の外側と内側

独自見解を繰り広げております。わけが分からないかもしれません。ご興味のある方は、以下のマガジン「哺乳類の進化論」の最初からお読みください。


脊椎動物の胴体の背中側を「背側」、お腹側を「腹側」といいます。
なにを分かりきったことを、というところですがおつき合いください。

これを四肢に適用すると、やはり「背側」と「腹側」に区分けされます。
手でいえば、甲側が「背側」であり、手掌側が「腹側」となります。

四肢はもともとヒレであり、ヒレはもともと胴体から生まれました。背側の筋肉で上に上げ、腹側の筋肉で下に下ろす、こうした原型が引き継がれております。

さて地上に上がってからは、少し難しくなります。
少しはしょって四つ足哺乳類の四肢の区分けを説明します。

後肢背側の後側は「外側」となります。
後肢腹側の前側は「内側」となります。
前肢は逆で、
背側前側が「外側」。
腹側後側が「内側」。
(この分け方はわたしの独自概念です。)

これで「背側・外側・腹側・内側」という4区分になりました。

陸上を歩く際、四肢で支えながら、関節は伸展屈曲を繰り返します。
その際に、「体重を支える筋肉」と「伸展屈曲を行う筋肉」で分かれるのです。

体重を支えるのは、おもに内側・外側にある筋肉で、多くの靭帯も加わります。場所は四肢の関節の曲がらない側がメインです。とても大きなものでは腸脛靭帯で、腸骨から下腿まで長く広く覆っております。また膝関節の外側にある外側側副靱帯なども同様です。上げていくとキリがないのでやめておきますが、内側・外側は絶えず体重を支えているため、カロリーを消費する筋肉ではなく、靭帯の弾性というカロリー消費のない力に預けていることをご理解ください。

同時伸展・屈曲は、背側・腹側

同時伸展や同時屈曲は、四肢の背側・腹側の筋群によってなされます。
哺乳類はこれにより強烈な瞬発力・跳躍力を身につけました。その極致がチーターであり、カンガルーネズミです。短時間勝負においてはこうした生の筋出力の方が優位になるようです。

有蹄類は内側・外側を使う

偶蹄目は内側

内側のバネのイメージ

偶蹄目は四肢内側で強く支えます。チーター型の瞬発力ある走りも見せますが、基本的には持久力の走りであり、内側のバネに頼ります。四肢を伸ばして走る彼らは、チーターのような強い四肢屈曲を行わないので、必然的に強い四肢伸展も使えず、結果的に内側のバネに頼ることになります。しかし靭帯系の出力を大いに使えるので、その分ローコストな走りとなり、持久力が上がります。

チーターのように関節の伸展・屈曲の幅が大きくなるほど筋肉に頼ることになり、カロリー消費が大きくなります。また発熱量も上がるため、心肺能力が追いついても冷却能力の限界が早く訪れます。

内側系の大きい筋肉としては、肩甲下筋腸骨筋、があります。こうした筋肉に一時的に負荷を寄せることでも強い力を生み出します。

奇蹄目は外側

外側のバネのイメージ

奇蹄目は四肢外側で強く支える傾向があります。内側で支えない、というわけではないのですが、傾向として外側が強いです。外側にも靭帯がたくさんついており、持久力に秀でた走りが可能になります。

また外側優位の走りの特徴として、つんのめるような弾かれるような「ぴょんこ、ぴょんこ」といったステップがあります。ウマやサイの走りにそういった特徴がよくあらわれております。あれは外側系のバネに荷重がたまり、その限界からの反発力で跳ねるために起こります。

また外側系の大きい筋肉としては、三角筋臀筋、があります。こうした筋肉に一時的に負荷を寄せることでも強い力を生み出します。

ウマの頁で臀筋の働きを取り上げました。こちらもご参照ください。

有蹄類の趾

偶蹄目は足の趾が2本もしくは4本の動物です。
奇蹄目は足の趾が3本もしくは1本の動物です。
(バクの前足は4本趾)

学問的には形態上の違いしか着目されませんが、運動構造に内側優位と外側優位の違いがありますので、動作の力学上必然的に趾に掛かる負荷が変わり、趾の本数に反映したと考えられます。運動構造を見取ることの重要さを分かっていただけますでしょうか。また絶滅生物への理解も変わってくると思いますので、いろいろ面白いはずです。

現在生きている有蹄類は、圧倒的に偶蹄目が多いのですが、最初に生息範囲を拡げたのは奇蹄目です。また絶滅した超大型の哺乳類パラケラテリウム(Wikipedia)も奇蹄目でした。だからどうということはないのですが、予備知識として書いておきます。

サイの動画

奇蹄目の跳ねの特徴

サイ対バッファローの相撲?
画像が粗いのですが、両者の尻まわりと肩まわりの肉づきや、ふんばりの力感の差が観察できます。強い弱いでいうと、体格が違いすぎて判定不能です。


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