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11.哺乳類の進化 運動構造の伝染性

「哺乳類の進化」シリーズ、10回書き終わりました。
予想通りですが、興味を持って読み進めてくださる方はおられません。まあしょうがないです。
50本くらい書いたら面白がってくださる方が出るかな、と思っております。

運動構造が進化を牽引する

わたしが小学生だったか、中学生だったか、そんな頃、マイケル・ジャクソンがムーンウォークを披露しました。衝撃でした。
それはあっという間に広がりました。みんなテレビの映像を目に焼き付けて、ああかこうかと練習しました。なかには結構うまくなる友達もいて、うらやましく思ったものです。
小中学生男子はそもそも伝染性が高い人たちと思いますが、高校生から三十代くらいまでは真似をした人が沢山いると思います。

こうした運動の伝染性はとくに不思議なことではないので誰も学問的には考察しませんが、過去の人類たちも同じような運動の伝染性という感受性を持っていたなら、ことは俄然興味深いものになります。
要するに、二足歩行もそうであったかもしれない、ということです。

伝染性は必要に迫られて広がることもあるでしょうが、興味に応じて広がった運動も多いと思います。
ウマが様々な歩き方、走り方をこなすように、われわれ人間も、スキップやステップ、ナンバ、フォアフットランなど複数の様式に興味を持ったり、身につけたりしております。

人間の運動模倣はまた、集団形成にも繋がっております。
同じスポーツを愛するもの同志は友好を深めやすいものです。ともに運動し、ともにレジャーに出かけ、ともに食事を楽しむことも珍しくありません。同じ運動をするもの、もしくは愛するものは、分かり合うことも容易であるという証拠です。

同じように、過去における人類、あるいは動物たちも運動模倣によって集団形成していったのかもしれません。

イヌは頭を前に振り出して走りますが、振り出さない走りもできます。しかし振り出すことが多くなり、イヌになったと思われます。
ウマも頭を前に振り出して走ります。そして脚をなるべく伸ばして走ります。

大胆に想像するなら、イヌのような哺乳類がなるべく脚を伸ばして走るようになり、より長距離を走り抜くようになり、いつの間にかウマになっていた、というストーリーも描けます。

イヌとウマは見た目がまるで違う動物ですが、運動構造の共通性と相違を把握していくと、そこに繋がりのあるストーリーを組み立てることもできます。もちろん組み立てが正しいかどうかは別問題なのですが、運動構造の理解は、そういうストーリー発想を可能にします。

ハイエナは進化の分岐上はネコに近い動物です。
しかし形態はイヌによく似ています。首が太く長いのはネコにはあり得ない形態ですが、イヌにはありふれています。
ハイエナの走り方は、ネコには似ず、イヌのような頭を前に振り出す走り方です。背骨の動きもまた、ネコ科特有の柔らかい丸める・伸ばす(反らす)といった動きがありません。分岐上はネコ科に近くても、「運動はイヌに近い。ゆえに形態もイヌに近い」といった考察ができます。

こんな感じで、運動構造を探り、概念として抽出していくことは非常に面白く有意義だと思っております。
またこうした考察が人間を理解することにも繋がると思うのです。

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