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読書日記 ドゥームズデイ・ブック

ちょっと前に読み終えました。コロナ禍でちょっと話題になってたみたいですね。私は夫が10年以上前に読んで面白かったと言ってて、でも最初から最後までストーリー全部聞いてしまって、忘れたら読もうと思っていました。
で、めでたく忘れられたので読みました。

あらすじはAmazonからコピーします。

歴史研究者の長年の夢がついに実現した。過去への時間旅行が可能となり、研究者は専門とする時代をじかに観察することができるようになったのだ。オックスフォード大学史学部の史学生キヴリンは実習の一環として前人未踏の14世紀に送られた。だが、彼女は中世に到着すると同時に病に倒れてしまった……はたして彼女は未来に無事に帰還できるのか?

という、話です。 

以下はネタバレ少しの感想です

かなり分厚くて、読むの大変かなあと思っていたのですが、意外とスッキリしていて、複雑さが無いストーリーでした。
タイムトラベルによって歴史を変える可能性がある時には、時の流れがその事物を受け付けないので、タイムトラベルが成立しない、という設定になっています。なので「映画ドラえもん のび太の魔界大冒険」とか「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の方が複雑と言えば複雑です。
主人公は二人います。中世の調査をするキヴリンという女学生と、2054年でキヴリンの事を心配しているダンワーシイ先生です。
キヴリンが降り立った中世のストーリーと、2054年のストーリーが交互に続いて行きます。どちらも想定外のアクシデント続きで大変です。話がなかなか進展せず、二人の主人公は、同じような苦労を何回もします。でも話の進行がとても上手いのでイライラしません。そして、このなかなか進展しないストーリーの中でじっくりと描かれる人物描写や主人公達の心理描写が最後に収斂して、ドワーッ!と感動しました。


以下はネタバレ気にしない感想です。

人は沢山亡くなるのに、読後の爽やかさがありました。
キヴリンが最後に看取ったローシュ神父の信仰心が希望を残してくれます。この辺りはキリスト教徒の人が読むと更に深い感銘を受けるんだろうなあと思いました。
ローシュ神父はキヴリンを神の使いと思っています。キヴリンが来ていなかったらローシュ神父は神に疑念を抱いて死んでいたかもしれません。歴史上は二つの死の間に差は無いかもしれませんが、一人の人間の魂が救われたか否かというのは大きな違いだと思います。
ローシュ神父はめちゃくちゃ良い人なので、「よかったねえ……」と思いました。

過去と未来で沢山のテーマやイメージを共有させていて、その使い方が上手で読んでいて気持ちよかったです。伝染病、鐘のイメージ、寂しい子ども、神の救い……等など。

コニー・ウィリスの本はこれが初めてだけど、もっと読んでみたいと思いました。

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