Count0とはいったい何だったのか

挨拶と前置き

皆さん明けましておめでとうございます、イソノケです。
皆さん、この年末年始はどのように過ごされましたでしょうか。私はと言いますと、友人を頼りに東北の山を降りまして、西日本まで旅行に行っておりました。名古屋、京都と観光をした最後、年越しの瞬間、私は兵庫のイオンシネマにて「Count0」というVR音楽イベントのライブビューイングに参加していました。

「バーチャル空間最大の音楽イベント」と銘打たれたこちら。結果的に言うと多数の反省点を残して終えたように感じます。もちろん貴重な機会であった事に違いはないですし、参加されたVtuberの皆さんもそうそうたる方々で音楽はどれも素晴らしいものだったのですが、TLに流れてくるTweetには、苦々しい思いが感じられるものが多数見られました。
では一体何に私たちは困惑したのか、今後のVRイベントの為にも一度文章でまとめておこうと思い、三ヶ日も明けた1/5に思い出しながらこの文章を書いています。
以上前置きでした。


何が起こったのか

まずはことの流れを時系列順にまとめていこうと思います。

11/2
Count0実施プラットフォームである「VR SPARC」の広報Twitterが始動。年末にイベントがあることを示唆する。

11/13
上記アカウントよりCount0開催の告知が入る。同時にライブビューイング・VR SPARCでの先行チケット販売開始。ライブビューイングチケットは、2部限定チケットと、1部・2部通しチケットの販売が開始する。
この時点でVR視聴環境がVIVE・VIVE Proのみに対応であることが記載されている。OculusuRiftなどの他のHMDでも見られるのか、リプライで質問も入っていたようだが、回答の形跡はなし。必要なPCスペックなどに関する情報も明かされておらず。
※この時点ではYoutubeでのライブ配信がある旨は連絡なし
※事前問い合わせにて、VIVE・VIVE Proのみの対応を確認した上で、当日OculusRiftでも視聴できた事を確認した方がいた模様。

(@tsubu_srsさん提供)

11/23
18:00にて先行チケットの販売終了。
Youtubeにてライブ配信がある旨、またライブビューイング会場で限定グッズを販売する旨の発表あり。

11/29
TSUKUMOより、VRチケットとHMDのセット販売が12/1より実施される旨の発表あり。
http://panora.tokyo/81796/
単純なVRチケットはこの日に完売した模様。

12/1
TSUKUMOより、VRチケットとHMDのセット販売が開始。

12/5
VRチケットの増席が発表。

12/18
VR SPARCでの視聴チケットが完売。追って追加販売がある旨の連絡あり。
※最終的に追加販売は実施されず

12/27
VR SPARCスタジアム解放。VRチケットを所持している人はVR配信会場に入場出来るように。

12/31
19:30、VR SPARC、ライブビューイング限定中継スタート。※一部ライブビューイング会場は19:30に会場に入れなかった模様。分かっている範囲では幕張・名取会場。
19:40頃、VR配信の中止が発表。
20:00、ライブビューイング・Youtubeでの配信スタート
※なお、協賛であるHTC japanへは21時頃に中止連絡が入った模様。

2019年
1/2
VRチケット購入者へのチケット代金払い戻し、及びHMD・PCの買取が連絡、実施される。
https://sparc.tokyo/count0/repayment/
https://tenpo.tsukumo.co.jp/static/info/count0.html

以上が、ざっくりとした時系列になります。もちろん足りない部分が多数あるでしょうから、気になる箇所がある方は自分まで教えてください。事実確認が取れ次第追加します。


何がいけなかったのか

では今回、主催の株式会社カヤックがCount0を実施するにあたり、何がいけなかったのか、3つのポイントから整理してみました。

1. VR SPARCの中止、及びその対応
2. イベント本番の企画準備不足
3. 1、2から来る、VR体験へのトラウマの植え付け

- 1. VR SPARCの中止、及びその対応
今回使用された配信プラットフォームのVR SPARCは本格的な使用はCount0が初めてという事もあり、直前での機材トラブルなどはある程度致し方ないように思えます。ですが、年越しカウントダウンというやり直しの効かないイベントではやはり確実に成功出来るまで準備を重ねるべきでしたし、それが無理であれば実績のあるプラットフォームを使用するべきだったでしょう。
また、開始20分前での中止発表も、判断が遅すぎると言わざるを得ません。年末年始というただでさえ忙しいタイミングなのですから、協賛への連絡も含めて中止の判断はもっと早い段階で行うべきだったでしょう。
(後述の準備不足感も相まってもしや満足なリハーサルを行っていないのではないか、という気がしています。そのため中止の判断が直前にならざるを得なかったのではないでしょうか)※使用された配信プラットフォームであるVR SPARCは、Count0以前に抽選形式でそれぞれ35人、200人規模の無料配信を実施実績あり。詳細はhttps://sparc.tokyo/

- 2. イベント本番の企画準備不足
ここに関してはライブビューイングで私が見た限り、気になったポイントを箇条書きで書き連ねていきます。大変申し訳ないのですが、正直部分的には高校の文化祭レベルに感じる箇所もあり、「ライブビューイング組はこれを見るためにお金を払って拘束されていると考えるとこっちも地獄だな…」といったTwitterも当日見かけました。期待値が高かっただけに、不満点が目立ってしまったようにも感じます。

・演者に「カンペが見えないのですが〜」と言わせてしまう。
・カメラによって、演者の手が消える現象が発生。
・合いの手のSEが曲のリズム、音量バランスと合っていない。
・ライブ中もトーク中もカメラモーションが動き過ぎて見辛い。酔う。
・紹介がない為、登場している人、歌っている曲のタイトルが分からない。
・画面に矢印カーソルが表示される。
・Unity?のカメラガイドが画面に表示される。
・人によって、トラッキングがひどく崩れている。
・トークパートが長すぎる。(トーク自体は面白かったのが幸い)
・Vtuberの表現へ配慮されていない、ライブ中の「ただいまモーションが崩れており〜」のテロップ。
・進行の流れが不自然。(演者のトークの後に歌に入らず、別の演者のトークに入る、など)
・演者の過負荷。(人によってはアドリブで約1時間もたせる事になった)
・予定されていた演目のカット。(当日のトラブルが原因か?)

以上が本番の進行で思いつく限り、気になった箇所になります。細かい箇所や、個別のファンへの配慮なども上げていくとキリがない為、一部割愛させていただいたものもありますが、全体的にリハーサルなどの準備が不足していた感が否めませんでした。おそらく生配信と収録部分が組み合わさっているとは思いますが、出演された方のトークスキルやアドリブでなんとか形になっているといった印象を始終受けました。トークパートが面白かっただけに、進行の雑さが大変もったいなかったです。

- 3. 1、2から来る、VR体験へのトラウマの植え付け

1、2を踏まえて、今回Count0が"やってしまった"一番の事は、このイベントを機にVRに触れてみようとした視聴者に「直接にせよ、間接にせよ、VRはまだまだ体験するに値しない辛いもの」というトラウマを植え付けてしまった事だと思います。自分自身、2018年の1年間で様々なVR体験をして、感動した事、嬉しかった事、悔しかった事などを味わっていた為、このイベントもある程度冷静に受け止め、VRの技術自体へ失望する事はありませんでしたが、このイベントの為にHMDを揃えたような方の中には、VRの技術自体からしばらく離れよう、という考えになってしまった方もいるのではないでしょうか。VRという技術は特に生理的な快・不快につながりやすい事もあり、そのコンテンツは特に注意深く視聴者へ配慮する必要があります。今回のCount0は、視聴者への配慮が充分に練られていなかったように感じました。


おしまい

今思いつく限りでも、KMNZのVRライブ、輝夜月のVRライブ、第二回バーチャルマーケットの開催と、2019年もVR界隈は企業・個人を問わずたくさんのイベントが開催される事と思います。中には今回のイベントのように多数の反省点を残すものもあるかもしれません。その時、文句のクリエイターになるのではなく、しっかり反省をして次に活かせるよう、運営側も視聴者側も十分に心しておく必要があると思います。
渦の中にいると忘れそうになりますが、まだまだVRの技術、及びVtuberといった文化は普及への入り口に立ったに過ぎません。今年も一歩ずつ、着実に、目指す未来へ進んでいきましょう。

2019.1.5 - イソノケ

※Count0に関して、「私はここが気になった」などありましたら連絡お待ちしております。事実確認が取れ次第、追記したいと思います。

2019.1.5.14:16
@continent8604さん、@atw01さん、@zap3さんからの情報を追記。
2019.1.5.15:53
@tsubu_srsさんからの情報を追記。


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